パリ協定が採択されたCOP21
その達成のために、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す科学的根拠に基づいて、21世紀末のなるべく早期に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること、つまり「脱炭素化」を長期目標として定めています。
IPCCの1.5度特別報告書(2018年発表)によれば、すでに世界の平均気温は、産業革命前に比べて、人間活動によって約1度上昇しており、このままの経済活動が続けば、早ければ2030年には1.5度の上昇に達し、2050年には4度程度の気温上昇が見込まれています。
気温上昇を2度未満に抑えるためには、2075年頃には脱炭素化する必要があり、努力目標である1.5度に抑えるためには、2050年に脱炭素化しなければならないことが分かっています。
すなわち、パリ協定のゴールを達成するには、遅くとも2075年に脱炭素化、できれば2050年までに脱炭素社会を実現させることが必要です。
また、たとえ2度未満に気温上昇を抑えることができたとしても、異常気象や海面上昇などの温暖化の悪影響は避けられないので、こういった悪影響に対応するための適応策の強化や、途上国の持続可能な開発を支援する資金や技術供与の仕組みも、パリ協定の大きな要素として組み込まれています。
パリ協定のルールの概要
【削減目標を5年ごとに深掘りすること】
すべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。更新の際には、目標を深掘りすること
5年ごとに世界全体として、2度(1.5度)目標に沿った削減ができているか等についてレビューすること(グローバル・ストックテイク)
【削減実施状況の国際的な「見える化」】
すべての国が排出削減の取り組みについて、その実施状況を、原則として共通のルールで国連に報告し、検証を受けること
【適応計画と、途上国への資金・技術支援】
各国が温暖化の悪影響に対する適応の計画を立て実施すること,その適応報告書を定期的に提出更新すること
途上国の削減や適応を支援するために、緑の気候基金(GCF)が設置された。先進国が資金を提供することになっているが、途上国も自主的に供与する
削減目標を5年ごとに深掘りすること
パリ協定は、30年弱に及ぶ先進国と途上国の深刻な対立を経て合意された協定であるため、特に目標の設定の仕方、そしてそれを守らせるための制度に工夫がされています。
具体的にはパリ協定では、各国が国内で自ら最大限の努力だと思える目標を設定し、それを国連の場において世界各国からのレビューを受けて提出することになっています。その一方で、目標未達の時の厳しい罰則は設定されていません。これによって、各国はパリ協定に自発的な目標をもって参加しやすくなっています。
しかし、2度未満達成に必要な削減量を各国に割り当てているわけではないため、各国の削減目標を足し合わせても2度未満達成のために必要とされる削減量には届いていないのが現状です。
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