あさねぼう

記録のように・備忘録のように、時間をみつけ、思いつくまま、気ままにブログをしたい。

漱石「こころ」

2019-07-02 19:50:51 | 日記
「先生と遺書」の「五十五」に、次の文があります。
「記憶して下さい。私はこんな風(ふう)にして生きて来たのです」
この作品の頂点をなす一文であると、私は感じます。

私は絶望しながら生きてきた。友を死なせてしまった、妻を幸せにできなかった。Kの死を、人間不信を、自我という怪物を、乗り越えられなかった。無為の人として生き長らえ、苦しみを引き延ばした果てに、敗北して死んでいく。それでも、あなたに最後に告げます。記憶して下さい、こんな風にして生きて来た人間がいたことを……。



☆ 友人とはなにか、友情とはなにか、人がこの世で生きるとは、自己・エゴとは、いろいろな課題の詰まった作品で、漱石の中では、一番好きな作品です。先生はなぜ、自殺したのでしょうか。漱石にとっての「個人主義」と乃木将軍に代表される「明治の精神」はどのように位置ずけられていたのか。(つかさ)

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