あさねぼう

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「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」

2020-11-10 16:29:29 | 日記
過酷で壮絶な20年を生き抜くふたり〜BS1スペシャル「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」
ギャラクシー賞月間賞:BS1スペシャル

 モンゴル人民共和国からモンゴル国になって6年後の1998年、ウランバートルのマンホールで暮らし、自活を迫られた子は4000人いたという。貧困ゆえ10歳で自分から家を出たボルト(13歳)と母の再婚相手の暴力に耐えかねてここに来たダシャ(14歳)。同じ故郷という地縁で助け合うふたりを、20年にわたり断続的に記録、1998年、2004年、2008年に続く番組化だが、単なるシリーズ4回目ではなく、ボルトを主軸に編んだふたりの20年史になっている。100分の番組は感動的なシーンの連続だ。

 2018年、行方不明だったふたりの消息が10年ぶりに判明。ボルトは自分の小さなタイヤ修理店で働き、ダシャは4人の子をもつ公務員として毎日8トンの廃品回収のノルマをこなす日々を送っていた。初めて取材をした1998年、親がいながらマンホールで暮らしていたふたり。その6年後、母が物乞いをする姿を忘れぬボルトは、職を得て郊外に「希望の家」と名付けた小さな家を建て、母と妹を呼び寄せ、そこに親友ダシャも居候させた。ボルトは同じマンホール・チルドレンだったオユナと結婚、娘にも恵まれた。しかし嫁姑の折り合いが悪く、母と妹を追い出したが、妻オユナも娘を連れて親友ダシャの許に身を寄せてしまう。母と妹、妻と娘、そして親友までも失ったボルトは自暴自棄に陥り、再びマンホール生活に転落していく。

 その後の10年は壮絶だった。ボルトはアルコール依存症となり、妻オユナはマンホールのなかで亡くなってしまう。サポート施設で依存症を克服したボルトは、14歳になった愛娘を探し出し、劇的な再会を果たす。親友ダシャとの友情も復活。ダシャは、自分を捨てた母と20年ぶりに再会し病の母を許す。

 彼らの波乱万丈な20年史が心に響くのは、地球上の誰もが当事者である「家族への愛」をストーリーの軸として貫いているからだろう。制作者がマンホールチルドレンとして、あるいはモンゴル国の社会問題として回収せず、彼らの生き抜こうとする姿だけに視界を限ったからこその力なのではないか。 (細井尚子)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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