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田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

「クール・ジャパン!?」 外国人が見たニッポン(講談社現代新書)

2016年02月04日 | 読書・映画日記

 

 日本人は外国からどう見られているかを非常に気にする国民だそうである。外国人から見た日本論といえば、例外を除いてまずは明治初期に遡る。

 日本が開国してから多くの外国人が来日し、様々な日本滞在記を書いた。その多くは外交官や政府のお雇い外国人である。それらの本を読むと当時の日本社会の様子が彷彿として楽しい。もちろん批判的に見ている面もあるが、おおむね好意的である。

 後進国である日本が意外と文化が発達して、社会規範がしっかりしていることに驚いたであろう。それらは新書や文庫になっているものもある。彼らの滞在記を総合的に分析した渡辺京二氏の「逝きし世の面影」(平凡社ライブラリー)という文庫本があるので、関心のある方は一読をお薦めする。

 また高度経済成長で日本人が外国に出ていくようになると、外国から見た日本の姿が気になりだす。この時期には日本と外国との生活や社会習慣等の違いについて触れた本が売れた。著者は日本に長く住む学者などの知識人が多かったように思う。日本人は自分の家の中は綺麗にするが、外に出ると公共空間という意識がないという、旅の恥は掻き捨て論が言われたのもこの頃である。

 そこで本題の「クール・ジャパン!?」である。

 NHKBS放送に「cool japan」という番組がある。本書の著者である鴻上尚史が司会をし、8人の外国人と話し合って、日本でクールと思ったものを挙げてもらうという趣向である。ここでいうクールとは、かっこいい、優れている、素敵だという意味である。

 いま日本のアニメが世界の若者に浸透し、アニメやコスプレを通じて日本の文化に親しむ人が増えている。国も国家政策としてクール・ジャパンを売り込もうとしているが、この番組はそれとは関係ないそうである。 

 番組はもう10年も続いており、以前は私もよく見ていた。意外な物が外国人から見ると素敵とかかっこいいとか思われていて、成程と思うことが多い。逆に全く理解できないとか、ダサいと言われる事もあって、なかなか楽しい番組である。

 本書は番組で取り上げられたクールを色々紹介している。特徴的なのは出演者が学者等の知識人ではなく、日本で働いたり学んでいる普通の若者達であることだ。その普通の人達がクールと感じるものが面白い。

 2009年に、番組の100回記念で世界各国の100人にアンケートをし、クールだと思ったものを挙げてもらっている。本書ではベスト20を紹介しているが、ここではベスト10を紹介する。

 1位「洗浄器付き便座」 2位「お花見」 3位「100円ショップ」 4位「花火」 5位「食品サンプル」 6位「おにぎり」 7位「カプセルホテル」 8位「盆踊り」 9位「紅葉狩り」 10位「新幹線」

 何だか納得という気もする。理由も解説してあるが、あとは本書をお読み下さい。そのほかのクールも少し紹介する。「日本のサービスとおもてなし」「宅配便」「コンビニエンスストア」「ママチャリ」「お一人様サービス」「駅弁」...etc 私たちが当たり前と思っていることが外国の文化にはなく、いいねと言われて意外に思うことも多い。

 また逆のこともある。番組で定年後の生活を取り上げた時、定年後も働くのは経済的不安だけではなく、「働くことが生きがい」「社会とつながっていたい」などの理由を紹介したところ、西洋人も東洋人も全く理解できないという反応だった。

 さらに定年後のボランティア活動で、公園や駅前の銅像を洗っている男性の映像を見せたところ、ある男性は大爆笑した。著者がムッとして理由を尋ねると、参加者からは「社会と付き合う前に家庭と付き合うべきだ」「自分や家族のために、定年後は時間を使うべきだ」「なぜ家族に求められる人間ではなくて、他人に求められる人間になろうとするのか」という答えが返ってきたそうである。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

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