川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

奄美大島(4)秋名の里

2008-02-22 10:45:35 | 出会いの旅
  2月20日(水)
 朝から小雨なので、奄美博物館でゆっくり勉強したあと、奄美の最高峰・湯湾岳に向かう。途中、マテリヤの滝を見学。このあたりから道の両側に素晴らしいヘゴの林がつづく。年間3000mmに達するという雨の恵みがもたらす景観だろう。奄美の写真を撮り続けてきた浜田太さんはこう書いている。

 
 奄美の森を撮り続けて20年の歳月が流れた。はじめの頃は、「南の島だから青い海と白い砂浜こそが奄美の自然だ」との思いから、海周りだけにカメラを向けていた。
しかし、奄美の自然の象徴的な存在であるアマミノクロウサギとの出会いから、次第に彼らを育む森の魅力にとりつかれていった。そこにはハブという守り神に守られた豊かな森が広がっていたのである。恐竜が繁栄したジュラ紀を髣髴させるヒカゲヘゴや着生植物のオオタニワタリ等の植物。アマミノクロウサギやルリカケスをはじめとした固有の動物達。これらの貴重な動植物を太古より育んできたのは、豊かな森と年間3000ミリを越える雨であった。その豊かな森と豊かな海は、水という地球の血液で繋がっていてすべての生命を育んでいることが分かった。これこそが地球が46億年かけてようやく辿り着いた究極のエコシステムなのだ。南の島の小さな自然から地球が生命体であることを学んだのである。(写真集『奄美ー光と水の物語』小学館)

 雨は上がったが展望公園からの展望はきかず、ここから50分くらい歩くという湯湾岳(694m)山頂は他日にする。帰りは大金久という村に降りたが、途中の植生の豊かさは格別である。
 
 名瀬のお好み焼き・満月でおそい昼食。
名瀬港を左に見て、龍郷町秋名に向かう。此処はヤドリ浜のホテルで見た本(『村 奄美・ネリヤカナヤの人々 』 浜田 太 (著) 南日本新聞社) によれば、奄美では珍しく稲作が続く村で、昔ながらの祭りも行われているとか。車を運転する娘が、とっておきの場所として連れて行ってくれた。
 里に下ると広々とした水田地帯だが、耕作放棄で荒野も目立つ。学校に行けば村のことが解るかと、秋名小を訪ねる。教育委員会の学校訪問で取り込み中で、若い教頭さんが黒糖工場の所在を教えてくれる。
 里のはずれの山際に製糖工場があった。若々しい馬が一頭、飼い葉桶の草をはんでいる。人気がないので勝手に入り込んで馬に挨拶。サトウキビ畑の一隅に広場があり、此処でキビ絞りを行っているようだ。今でも馬が発動機代わりなのだろうか。
 僕らがブラブラしているのに気づいた畑仕事中の方が、仕事の手を止めてやってきてくれた。山田さん。若いときは大阪に出ていたが、今は此処でパッションフルーツを生産しているという。製糖の仕事をしているのは友人の奥さんで、大島紬の図案家なので、土日だけ観光客相手に、馬を使ったキビ絞りをみせているらしい。

 馬を使ったキビ絞り
   http://www3.pref.kagoshima.jp/kankou/touris/shosai/1108/

 私たちのためにわざわざサトウキビを取りに行き、手頃な長さに切って食べさせてくれた。子供の時以来だが、歯の悪い僕はまねごと程度。でも、結構ジューシー、あまい。東京は中央区京橋育ちの義母も挑戦、遠い昔の記憶を呼び起こしていた。別れに際し、山田さんは何本もサトウキビをお土産に持たしてくれたばかりか、畑のパパイヤの実まで採ってきてくださった。
 山田さんと別れて、山辺を廻って帰途につく。スモモが花盛りの畑を見つけた。奥の方にはタンカンの畑もある。路上に車を止めて、妻が働いている方に断りを入れて写真を撮る。帰ろうとする私たちの車の所まで、畑の奥の方からタンカンを抱えてやってくる女性がいる。持っていきなさいという。びっくりして、「埼玉から来ました」と挨拶を返すと、「娘が白岡に住んでいます。ちょうど、帰っているところです」といって、更にたくさんのタンカンを車に押し込んでくれる。なんということだろう。角を曲がって車がやってきた。私たちは名前を伺う機会を逸したまま、急いでそこを離れた。すれ違った車のドライバーは若い女性だ。赤ちゃんも乗っている。きっと白岡から帰ってきている娘さんなのだろう。
 これ以上のものはないお土産を秋名の里の人々にいただいて、空港に向かう。妻と娘は前夜の二次会で、安木屋場(あんきゃば)の渡連キャンプ場の人からこのあたりの祭りの様子を詳しく聞いたらしい。そのキャンプ場を左に見る。右手にはソテツの山。山頂に至るまで凡てこれソテツ。ホタルの頃がいいか、祭りの頃がいいか、この島にまた来たいと思う。

 秋名の里の祭り http://blog.goo.ne.jp/vagabond67/e/f135e78fe1db1d5544426155c7e2b83a 


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