島田雅彦著『虚人の星』読了。池田学さんの絵画の表紙に惹かれて久しぶりに氏の小説を読んだが、その直前に読んだ新書『優しいサヨクの復活』と内容が丸かぶりすぎてやや興醒め。面白かったけど、教団Xなんかを読んだ後だと、昭和プロレスを見ているような感覚だった。それはそれでよかったが。
政治的なテーマの小説というものは総合的なものではなくて、社会の切れ端の表現でしかなく、300ページくらいだと深みがなくて物足りない。もっと器の大きな腹ごたえのある表現を欲しているのだと我ながら気づいた。
積み上げて構築された濃密な謎があれば、それを解き明かそうとしていつまででも飽きずにいられる。
濃密な謎を解き明かすにはそれに寄り添うように濃密に構築された何かを創り上げてみることが理解への道。