対艦弾道ミサイル(ASBM)の開発に着手する契機となったのは
1996年の台湾海峡危機だったとみられる。
(台湾総統選挙時、独立勢力への牽制を狙って中国は台湾近海に
ミサイルを打ち込む演習を強行したが、当時のクリントン政権は、
二隻の空母を台湾近海に派遣し力で押し返した)。
これに危機をいだき、潜水艦の増強とABSMの開発を始めたみられる。
つまり、この海域で影響を拡大するにはミサイルを増やせということだろう。
米軍は2009年5月、米海軍協会が発行する月刊誌「PROCEEDINGS」の
表紙に米軍のミニッツ級空母が爆発・炎上するイラストを載せた。
その号の特集は中国が開発する対艦弾道ミサイルABSM。
説明はなかったが中国のABSMの攻撃を受けた状況を
描いたのは明らかだった。
今回の同ミサイルの配備についても「設計された飛行パターンは達成したが
なお、今後数年間はテストは続けられるのではないか」と比較的冷静だ。
米軍にとってわかっていることは中国の軍事力の能力の現状だ。
現在は、黄海、東シナ海、南シナ海などいわゆる「近海」に焦点を絞り、
外国軍の影響をできるだけ小さくするように力を注いでいる。
しかし、「その範囲を超えて全世界で活動できる軍事力を持とうとしている、
開発している能力をみれば明らかだ」。