老夫婦バックパッカー世界旅

定年退職後、老夫婦で安宿を泊まり歩きの世界旅の記録です

2010年12月の俳句

2010-12-20 07:18:21 | 俳句

雪国の雪に送られユキ(義母)の逝く

[去る11月の29日、義母・ユキが86歳で亡くなりました。祖母の死は12月末で2m以上の大雪の頃でしたが、この度はほとんど雪がありませんでした。]

焼香と読経を包む雪構え

[妻の実家は豪雪地帯です。冬将軍に備え家の周辺は防護の柵が張り巡られている。僧侶と親戚縁者の読経と焼香の香りが家の中からもれ聞こえてきます。]

涙涸れ死に装束に足袋穿かす

[納棺の儀、親族は遺体に死装束をさせます。悲しみに拉がれた近親者は涙が涸れて最後の別れをいたしました。]

祭壇の灯明を揺らす隙間風

[遺体の横たわっている部屋に入るたびに灯明が幽かに揺れる。なんだか義母が語りかけてきているようだ。]

短日の浄土と紛う落暉かな

[実家滞在中、近くの相野々温泉に行きました。丁度日没時で温泉のすぐ前の鶴ケ池に映った夕焼けの光景は正に西方浄土かと思われました。]

かけ流す音のみ聞こゆ冬の宿

[実家から小1時間の山奥に入った所に三叉温泉があります。山の中の一軒家の湯治場で、私の他は誰も入浴者が居ません。カケ流しの温泉の音だけが静かに聞こえていました。]

名も成さず財も作らず落ち葉散る

[人間年をとれば必ず死が待っている。散る落ち葉を見ていると私の人生と同じ様に名も無く財もなく時がくれば自然と散っていきます。ああ無情!]