“認可保育所の待機児童”の6割解消 ~ 『潜在的待機児童』の解消には程遠い

2014-05-05 22:39:06 | 日記
今朝の日本経済新聞ネット記事では、政府が「待機児童ゼロ」の目標として掲げる2017年度までに保育サービス大手主要4社だけでも160カ所を新設、待機児童の6割強に相当する約1万4千人分の利用枠を設けるとのこと。


<記事抜粋>
・国が昨年、株式会社による保育所の運営を認めるよう自治体に通達を出したことなどが背景。
・認可保育所に入れない待機児童数の直近ピークは10年の2万6千人。減少傾向にあるが高水準。
・社会福祉法人各法人とも財政余力に乏しく、営利目的で運営していないこともあり、新設は年1、2カ所にとどまる。
・保育サービス大手のJPホールディングス、こどもの森、サクセスHD、アートチャイルドケアは3月末時点で計260カ所の認可保育所を運営。17年度末までに施設数を13年度末と比べて6割増やす。
・15年度から子育て支援制度に消費増税分から年間7千億円。
・保育士不足は深刻で、厚労省は17年度に7万4千人の保育士が足りなくなると予測。「潜在保育士」60万人程度いるとされる。


保育サービスの拡充に民間の力を活用することは望ましいことであり、その点においても、この記事にある民間保育サービス大手各社の動きが歓迎すべきものだ。しかし、“認可保育所の待機児童”だけを施策の対象としているという本質的な問題に関しては、解決の方向性が見出されていない。

別の寄稿で書いたように、私が試算するだけでも『潜在的待機児童』の数え方は複数ある。厚労省が“認可保育所の待機児童”として発表するのは数万人単位であるが、私が試算するといずれの場合でも『潜在的待機児童』は数百万人単位となる。

この日経新聞記事にあるように、“認可保育所の待機児童”の6割強に相当する1万4千人分の利用枠が設けられることはもちろん喜ばしいことではある。だが、残り4割弱の分はもちろんのこと、それとは比較にならないほどに多くの『潜在的待機児童』の解消に向けて、厚労省は先ず『潜在的待機児童』を早急に数え始めるべきだ。政策対象の数をきちんと把握しなければ、その政策は大成しようがない。

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