昨日の日本経済新聞ネット記事などで既報の通り、政府は介護報酬を引き下げる調整に入ったとのこと。
<記事要旨>
・介護報酬は税金や保険料のほか1割利用者負担。
・報酬全体1%下げると1千億円削減。税金部分520億円、保険料部分410億円の削減効果、利用者負担70億円減。
・介護報酬は15年度が改定年。消費増税延期で介護財源は限られる。
・特別養護老人ホームやデイサービス、有料老人ホームは利益率10%前後と一般企業に比べ高いため引き下げ。
・介護職員1人あたり月額1万円の賃上げができるよう加算措置を拡充。
介護報酬とは、介護保険による介護サービス事業に係る公定価格のこと。介護報酬の引下げは、介護保険サービス事業費の増加抑制には資する。記事にもあるように、介護報酬を下げると、利用者の支払いが減り、保険料や税金の負担も軽くなる。これだけを聞くと、良い事ずくめのように聞こえる。
だが、物は言いようとはこのこと。介護報酬の引下げは、介護保険サービス事業の委縮を招き、当該事業者の淘汰を生じさせることだろう。たとえ介護職員の賃金を「1万円」上げるとしても、介護保険サービス事業そのものの経営は相当に苦しくなると予想される。社会福祉法人よりも、株式会社など民間の介護サービス事業者は激減する可能性が高い。
そうなると、介護保険サービス事業については、サービス需要は増す一方で、サービス供給体制が現行よりも比較的には縮退することになる。即ち、介護保険サービス事業全体としてのサービス水準は低下する。現在数多いる特養の待機老人はもちろんのこと、デイサービスなどの待機老人も更に増えるだろう。利用者の負担が減るとはこの場合、利用者が利用する機会が減ることに他ならない。
そのような事態が社会問題化したとしても、それを批判しつつも、最終的には放任する覚悟が必要となる。介護保険財政の内容や推移を俯瞰すると、そうせざるを得ない。先般の消費増税は焼け石に水のようなものであったが、そういう状況下で再増税が延期されるのであるから仕方ない。
「介護職員等の人材確保を行うとともに、介護や障害者福祉サービスを担う職員の処遇改善を行い、医療・介護等の充実につなげます」、「介護職員の処遇改善加算について、各事業所のキャリアパスの構築が進むよう取り組ます」とは、それぞれ先の衆院選における自民党の公約、公明党の公約に書かれていることだ。多くの人々は、もう忘れているか、そもそも見ていないか知らないか、或いは関心がないかのいずれかかもしれない。現与党の公約はこう書かれているが、これとの整合性は今後しっかりと問われて然るべきだ。
<記事要旨>
・介護報酬は税金や保険料のほか1割利用者負担。
・報酬全体1%下げると1千億円削減。税金部分520億円、保険料部分410億円の削減効果、利用者負担70億円減。
・介護報酬は15年度が改定年。消費増税延期で介護財源は限られる。
・特別養護老人ホームやデイサービス、有料老人ホームは利益率10%前後と一般企業に比べ高いため引き下げ。
・介護職員1人あたり月額1万円の賃上げができるよう加算措置を拡充。
介護報酬とは、介護保険による介護サービス事業に係る公定価格のこと。介護報酬の引下げは、介護保険サービス事業費の増加抑制には資する。記事にもあるように、介護報酬を下げると、利用者の支払いが減り、保険料や税金の負担も軽くなる。これだけを聞くと、良い事ずくめのように聞こえる。
だが、物は言いようとはこのこと。介護報酬の引下げは、介護保険サービス事業の委縮を招き、当該事業者の淘汰を生じさせることだろう。たとえ介護職員の賃金を「1万円」上げるとしても、介護保険サービス事業そのものの経営は相当に苦しくなると予想される。社会福祉法人よりも、株式会社など民間の介護サービス事業者は激減する可能性が高い。
そうなると、介護保険サービス事業については、サービス需要は増す一方で、サービス供給体制が現行よりも比較的には縮退することになる。即ち、介護保険サービス事業全体としてのサービス水準は低下する。現在数多いる特養の待機老人はもちろんのこと、デイサービスなどの待機老人も更に増えるだろう。利用者の負担が減るとはこの場合、利用者が利用する機会が減ることに他ならない。
そのような事態が社会問題化したとしても、それを批判しつつも、最終的には放任する覚悟が必要となる。介護保険財政の内容や推移を俯瞰すると、そうせざるを得ない。先般の消費増税は焼け石に水のようなものであったが、そういう状況下で再増税が延期されるのであるから仕方ない。
「介護職員等の人材確保を行うとともに、介護や障害者福祉サービスを担う職員の処遇改善を行い、医療・介護等の充実につなげます」、「介護職員の処遇改善加算について、各事業所のキャリアパスの構築が進むよう取り組ます」とは、それぞれ先の衆院選における自民党の公約、公明党の公約に書かれていることだ。多くの人々は、もう忘れているか、そもそも見ていないか知らないか、或いは関心がないかのいずれかかもしれない。現与党の公約はこう書かれているが、これとの整合性は今後しっかりと問われて然るべきだ。