2012年度 「社会支出」113 兆円、「社会保障給付費」109 兆円 ~ ともに過去最高を更新

2014-11-11 17:12:09 | 日記
国立社会保障・人口問題研究所が本日発表した『平成24年度 社会保障費用統計』によると、平成24年度(2012年度)において、社会支出112.7兆円、社会保障給付費108.6兆円と、いずれも過去最高を更新したとのこと。これらを含めた概要は次の通り。


○「社会支出」総額:112兆7,475億円(対前年度7,274億円増(+0.6%))
○「社会保障給付費」総額:108兆5,568億円(対前年度1.1兆円(+1.0%))
○国民1人当たり「社会支出」:88万4,200円
○国民1人当たり「社会保障給付費」:85万1,300円
○社会支出:「高齢」53.6兆億円、「保健」36.9兆円で、この2分野で総額の約8割
○社会保障給付費:「医療」34.6兆円(31.9%)、「年金」54.0兆円(49.7%)、「福祉その他」19.9兆円(18.4%)
◎社会保障給付費に対応する社会保障財源:総額127.1兆円(対前年度比11.4兆円増(+9.9%))


この平成24年度 社会保障費用統計には、現在の置かれた日本の状況だけでなく、今後の社会保障政策のあるべき方向性を見据えるために有用なデータが多数散りばめられている。その中で一つだけ抽出しろと言われたら、私としては「部門別社会保障給付費の推移」を選び出す(資料1)。

このブログでも何度か掲載している「社会保障に係る費用の将来推計」(資料2)と合わせて考えると、やはり社会保障費の財源論が最大の課題であることがわかる。社会支出も、社会保障給付費も、今後当面は毎年度で“過去最高”を更新し続けることになる。財源を確保する手段は、次のようなことが考えられる。


①経済成長による税収増からの収入増
②増税による税収増からの収入増
③社会保障費の削減
④他の政策経費の削減
⑤国債発行による収入増

このうち、①は不確実なもの、④はこれ以上は困難、⑤は財政の観点から困難。だから、②と③を包括的に実施するということで、『社会保障と税の一体改革』が法制化されたと解することができる。今は、②が難色を示されつつあり、③も事実上困難な情勢になっている。となると、①、④、⑤の一部又は全部はどうかというふうに話は戻る。

そして、結局のところ、⑤に落ち着くであろう。これも毎度のことで、またぞろ先送りの連鎖から脱却できないことになる。会計の原点は、支出に見合った収入の確保ではなく、収入に見合った支出の実施である。増税ができなければ、社会保障費の削減しかない。自明のことだ。

尚、本日午後の日本経済新聞ネット記事が簡潔にまとまっているので、以下に概略を掲載しておく。


<記事概略>
・社会保障給付が2012年度108兆5568億円。前年度から1%増、過去最高更新。
・国民1人当たり85万円で前年より1.2%増。年金が5割、医療が3割、介護などが2割。
・社会保障のために国などが集めた費用は127兆555億円と9.9%増。
・株高と円安で年金積立金の運用収益が大幅増、資産収入が15兆9968億円と4.4倍に増。
・厚生年金保険料など社会保険料も61兆4156億円と2.2%増。


<資料1>

(出所:平成24年度 社会保障費用統計


<資料2>

(出所:厚生労働省資料