女性の社会進出に関する数値目標 ~ 国会と官庁は無理筋

2014-07-12 19:46:37 | 日記
今月4日付け日本経済新聞ネット記事によると、法務・経済産業両省で初の女性局長が、外務・厚生労働両省でも女性が局長に起用されたとのこと。


<記事抜粋>
・安倍政権は20年までに管理職に占める女性の割合を現在の約10%から30%以上に高める目標。
・新成長戦略では「女性の活躍推進」を明記し、経済団体に女性活用への協力を求めた。

マスコミ各社の報道ぶりからすると、先月24日に閣議決定された新・成長戦略(「日本再興戦略」改訂 2014)で、『女性の社会進出』が一丁目一番地のようだ。

具体的施策は新・成長戦略(p8~9、p40~45)に書かれており、『女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築』の一環として、『「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」の実現に向けて(略)新たな総合的枠組みを検討・・・(略)具体的には、国・地方公共団体、民間事業者における女性の登用の現状把握、目標設定、目標達成に向けた自主行動計画の策定・・・(略)今年度中に結論を得て、国会への法案提出を目指す』 とある。

女性の登用かどうかに関わらず、民間企業の対応は個別企業ごとの判断になるだろうが、国会と官庁はどうするのだろうか。少なくとも官庁については、達成は不可能としか思えない。下の資料にあるような人数構成である以上、伝統的な年次主義が浸透している官庁では、2020年において指導的地位に達する女性の割合は1割にも満たないのではないか。

もし達成しようとするならば、年次逆転を容認した上で「指導的地位」に据える女性の人数を決めておくしかない。これは、2120年ならばいざ知らず、2020年には到底不可能な相談だ。国会議員に至っては、現在の衆参両院での女性議員比率(衆で8%、参で16%)からすると、やはり困難であると思われる。国会でも官庁でも、「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」という目標は無理筋な画餅でしかない。

結局のところ、性別に関する目標ではなく、地道に実力主義で行くという人事の王道を歩んでいくことが最善だとなるはずだ。



<資料>

(出所:平成26年版男女共同参画白書