マンション日記
コロナ禍で、3月から夫の付き添いができず、さらに頼り甲斐のあった同居
ニャンにも先立たれ、私の自由時間だけはできた。酷暑で、マンション西花壇の
花達も「水をー」と叫んでいるようで、このところ、少しまめに花壇の世話を
している。草取りしていると、度々通りすがりの人に話し掛けられる。
「この花の名前は?」-「えーと、これは、このマンション住人の方が植えて
くださって、どんどん増えちゃってるのですが・・・
名前は知らないのですが・・・」
(実は、以前に一度、花名を教えてもらったのですが、舌を噛みそうな名前で
覚えられなかったのです。)
それが、またその後、3人位の通行人に尋ねられて・・・。仕方ない、と重い
腰を上げて、改めてネットで調べました・・・「ヒペリカム」というのです!
(6月から黄色い花が咲き、8月からは赤やピンクの可愛い実がつきます。
丈夫で繁殖力強く、ずんずん増えていき、観賞期間も長く、飽きない花です。)
この後、何度か聞かれて、また忘れて答えられないと困るので、花名の立て札
を立てました。
そして・・・また、先日草取りをしていると・・・・
「あのう・・・」と30代と思しき女性に声を掛けられました。
「この花の名前を書いたのは、あなたですか?」ー「はァ、そうですが・・・」
「この花の花言葉をご存知ですか?」-「はァ、知りませんが・・何ですか?」
「私、調べたのです。・・・とても良いことばでした。・・・・・
悲しみは 続かない です。」
言い終わると、俯いた彼女の目から、いきなり、涙がポロポロ・・・。
( 草取りしていて、いきなり、通りすがりの彼女の’琴線‘ に触れたようで、
びっくりしました。)
「それは良い言葉です。励まされますねぇ。教えてくださってありがとう。」
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自分が意図したことでないのに、行動を促される、ことがあります。
こういうのを、運とか縁とか言うのでしょう。
私はまた立て札を書き直しました。
「 ヒペリカム 花言葉 悲しみは続かない 」
こんな何でもない通りでも、通る人は、いろんな思いを抱えて歩いています。
花は余計な詮索をすることもなく、ただ静かにそこに咲いて、見る人の心を
明るくしてくれます。たまたま悲しい出来事に出会って、打ちひしがれて歩い
ている人が、これを目にして、(教えてくれた彼女のように)ちょっとでも、
慰められるといいな・・・と思います・・・。
たかが花言葉、されど花言葉