「ママ、来年僕はヤンキースに入りたい。」
ヤンキースとは、浩優が入っている野球のリーグのヤンキース。
来年の春、浩優は9歳になるので、ひとつ上のチームに上がる事になる。
現在入っているハリケーンズマイナーからハリケーンズメジャーに上がる事が通常なのだろう。
しかし、浩優はハリケーンズメジャーではなく、一番強いヤンキースに入りたいと言い出した。
「ママ、どうして僕がヤンキースに入りたいか知ってる?
僕はね、皆と一緒に頑張りたいの。ハリケーンズでは、僕ひとり一生懸命頑張っていて、
それじゃあチームとして試合に勝てないんだよ。野球はチームワークでプレイするから、
皆で頑張らないと駄目なのね。僕はもっと上のレベルで野球をやりたいんだ。」
息子よ、なんてまともな意見(親バカ)。これには言葉を失った。
「ただね、あなたは土曜日補修校と試合が重なった時、試合に出れないし、
7月8月はどうせ日本に行ってしまうから、使いモノにならないじゃないの。」
と私が言うと、
「そんなの関係無いよ。ヤンキースのコーチはそれでも僕をLetしてくれると思うよ。
今度聞いてみるよ、それでも入れるかって。ハリケーンズのコーチには、オールスターの
試合の後に言ってみる、来年はヤンキースに入りたいですって。オールスターが僕にとって、
今年最後のハリケーンズでの試合だから。」
おぉ、そこまで段取りを解っているとは(またしても親バカ)。ある意味、びっくり。
浩優の言っている事は何も間違っていないし、気持ちもよく解る。
それだけにどうしたものか考えてしまう。
球場では、ヤンキースのコーチが浩優の顔を見る度に誘う。
「ヒュー、来年はヤンキースにおいで。キミのチョイスだからね。
キミが選んでいいんだから。心配しないで。」という具合だ。
そして同じ球場の、そのすぐ側では、ハリケーンズのコーチが
「ヒューはもうAlready Takenよ。ヒューは私達のものだから。」
と言っている。
誰にも渡したくない気持ち満々で、ガードをしっかり守っているという感じ。
強くならなければ上に上がれない。上に上がれば、もっと高いレベルで野球ができる。
浩優は時々「僕はチャレンジングなのが好きだ」と言う。それはとても良い事だと思う。
なんとか浩優の良いところを伸ばしてあげたいし、何よりも楽しんで貰いたい。
またひとつ、考える事が増えた今日この頃。
KAORIのちょこっとニューヨーク