感泣亭

愛の詩人 小山正孝を紹介すると共に、感泣亭に集う方々についての情報を提供するブログです。

愛しあふ男女

2010年07月31日 | 
小山正孝に「愛しあふ男女」という詩集がある。
B4ファイルサイズの大判の詩集だ。
限定百五十部。中に駒井哲郎の版画
「樹木 ルドンの素描による」が挿入されている。この作品は、駒井の新たな出発点となる貴重な作品だ。
そんなこともあって、詩集「愛しあふ男女」の実物に出会った人は、ほんの一握りでしかない。
古本屋で見かける「愛しあふ男女」も相当高価であり、なかなか手が出ない。
しかし、この詩集は、詩集そのものに仕掛けがある。
「愛しあふ男女」は、13編の小節より成るが、ページ数が打たれてない13枚。表紙と版画を含めて15枚のページが挟み込まれているという形式なのだ。
順番を違えたら分からなくなってしまうほどだ。
思潮社版の小山正孝詩集では、詩の順番は確定されるが、作者にとってそれが本意だったかどうか。

どうにか、この詩集、その雰囲気を復刻することはできないかと考えている。





詩・二人は

2010年07月29日 | 

二人は

 

二人は立つてゐた

二人は顔を見つめあつてゐた

赤い月が軒の上にのぼらうとして

道のでこぼこがはつきりと影ひいてゐた

二人の腕がお互の背に

二人の顔がお互の顔に

寝しづまつた街の道の側に

花咲くやうなやさしさはなかつた


もう一度夜がやつて来るであらう

やがて落葉が散るであらう

しかし さうして どうなるのだらうか


二人はためいきをついて立つてゐた

おそろしい物語の入口のやうに

夜はふけてゆくばかりだ

詩集「逃げ水」より


詩・ ここでくちづけを

2010年07月25日 | 
 
    ここでくちづけを

ここでくちづけをすることは出来ない

明りのついてゐる四角な窓から

誰かが そつと のぞいてゐるかもしれない

カーテンの影から外をうかがつてゐるかもしれない

道の石の影はぼんやりとしてゐる

私たちの影もゆれ動いてゐるやうだ

身をよせて立ちどまつてゐる私たちの影

私たちの心をうつし出してゐるやうだ

左側のコンクリートの壁はひび割れて

しっくひが乱れ模様につくろつてある

稲光のやうにまがつて白く

私たちは何故かためらふことばかりだ

道はまつすぐに通じてゐる

どこまでも 遠く通じてゐる道のここで


             詩集「逃げ水」より


立原道造記念館の「休館」

2010年07月24日 | 
先日、立原記念館から「重要」という判が押された手紙が届いた。
何だろうと思って開封した。
すると、「立原記念館を休館にする」という内容が記されていた。
後ろ盾になっていたK氏の死去による影響が大きい。
財政的に立ちゆかないというのだ。
休館と云うが、実際的には閉館に等しい。
3月には、「週4日開館」ということで、縮小しながらも継続を図ると言う点で各方面で合意されていたと認識していたが・・・・・
もともと、それが臨時的な措置だったのが、その時点の認識を上回る何かが出てきたのか。
いずれにしても、立原記念館の「閉館」は誠に残念なことと言わなければならない。

しかし、嘆いていても始まらない。
これからは、ネットワークの時代だ。
様々な活動が行われている。これらの活動をネットなども活用してつなぎ、全体して一つのものを作り上げていくことが、必要なのだと思う。
立原関係でもそうではないか。だとしたら、この負の事態を逆にプラスに転じるようにこれを機会に、ネットワークを築くことだと思う。

舞踊  復活  雪 雄子

2010年07月23日 | お知らせ
雪 雄子 公演 『復活』

7月25日 舞踏家 雪 雄子さんの「復活」が演じられます。
とても素敵なチラシがあるのですが、スキャンがうまく出来ず、ここで紹介するのはあきらめますが、どんなに雪さんがこの公演にかけているかが伝わってきます。



日時 25日(日)午後3時~(2時半開場)

場所 弘前市 SPACE DENEGA

     前売り3000円  当日3500円

   前売り券取り扱い 紀伊国屋書店弘前店 名曲喫茶ひまわり 
うどん十兵衛 カリ・マハラジャ

雪 雄子 さんのプロフィール

舞踏家 東京目黒生まれ。

「寒さのために縮こまる」という土方舞踏の原点を体得するため、1975年から北方舞踏派と共に山形県鶴岡市の出羽山麓、1978年からは北海道小樽市を創作活動の拠点に、約10年を北国で活動する。
1983年帰京。1984年土方巽演出「鷹ざしき」(北方舞踏派総出演)上演。1988~1991年に独舞踏「蝦夷面(えぞめん)」(山田一平演出)をサンフランシスコなどで上演し、北国の生命力を現出する舞踏家として高い評価を受ける。
1993年ひとり津軽へ移住。偶然のようにして出会う縄文をはじめ、津軽に息づく原初そのものの命に出会い、現在迄の創作の原点にしている。

1993年 津軽へ移住
1995年 「風の誕生」(青森公立大学、小原流百周年式典縄文フェスにて)
縄文映画「一万年王国」(飯塚俊男監督)に出演
1996年 「縄文頌」(京都市・国際日本文化研究センター)
1998年 「カリヨンの庭‐三つの風の物語」(宮城県美術館、東北の形象‐20世紀からの発見にて)
2000年 「雪花巡礼」(青森県黒石市・国重要文化財高橋家)
講演およびワークショップ(北海道大学、道立文学館)
2001年 「角見浜物語」(愚安亭遊佐と共演、新潟県巻町・角田山妙光寺)
舞踏 "天空鯨、ピッフィー、ベーリング海峡から津軽海峡へ"  GAW Part3 exhibition/青森県龍飛
2002年 「雪 雄子・舞踏・トーノ・DESSIN 」  ギャラリー・デネガ/弘前市
2003年 「境界線上の水辺 濱中 淳・片山康夫 写真展」
特別企画 アリーナ「水」へ 舞踏:雪 夕子   ギャラリー・デネガ/弘前
雪 雄子・舞踏 - 5つのこころみ
「5月の塔」「N氏へ Painting for Summer」「日時計」「11月」「巫女歌」(2004) ギャラリー・デネガ/弘前市
2004年 路考 ろこう」(RIGHT BOX / Scribble Road) harappa presents
332号線開通記念アートプロジェクト/弘前市 332号線 道路上
星まつりコンサート2004   宮城県唐桑半島半造園地
2005年 女 三人展  ふ・ゆ     ギャラリー・デネガ/弘前
2006年 村上善男に捧げる   岩手町立石神の丘美術館/岩手、 SPECE DENEGA/弘前
雪 雄子 東北野辺行脚 「薬玉・編」

2009  薬玉  舞踏 雪 雄子  黄鳥が飛び交い鳴く声。薬玉がハジケル空精ノ     SPECE DENEGA/弘前


福永武彦研究会

2010年07月22日 | お知らせ
三 坂剛さんから、研究会の案内をいだきました。
精緻にしかも徹底して文献に即して読むことがこの研究会のすばらしさです。
福永ファンの方 は、ぜひ一度お出かけください。

福永武彦研究会
【7月例会案内】

 

2010年7124回例会案内


日時:25日(日) 13:0017:00


場所川崎市綜合福祉センター(エポック中原)7階 第2会議室

211-0053   川崎市中原区上小田中6丁目22番5号 044-722-0185

JR南武線「武蔵中原駅」から連絡橋で徒歩1分。


詩 外套のえりを立てて

2010年07月21日 | 

暑さの盛りですが、こういう詩も涼しくてよいでしょう。

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外套のえりを立てて

 

外套のえりを立てて私たちは歩いたことがあつた

ショーウインドの中からは金の指環や春の花が

私たち二人の姿をうつすらと映した向ふ側からこちらを見てゐた

私たちはウインドのガラスの上で目と日を交したものだつた


立ちどまつてゐるうしろを通る道行く人々をおそれながら

ひくい声で 私たちは真珠の首かざりを指さして

お前の首にかざられた時の一つ一つの重みについて話しあひ

貧しい二人はあきらめのはかないほほゑみを交したものだつた


冬の空に急に雷鳴がやつて来るなんて

大つぷの雨が 乱れた雲の合ひ間から降りはじめ

あわただしい戦争の中で私がお前を失ふなんて


お前は誰か見知らない男を愛するやうになり

愛したことを私に知らせないままに別れを告げてよこし あの時

道行く人々が二人の間にわり込んだやうに別れ別れになるなんて


詩集「逃げ水」より



杏の会

2010年07月19日 | 
杏の会というのは、杉浦明平を偲ぶ会のことだ。
7月19日 約四十名が数年ぶりに集まった。
別所與一さんが中心になって会を進められた。
生前の明平さんと親交のあった人達が思い出を語り、研究者の方々もみんぺいさんの魅力について次々と語り合った。
和やかな雰囲気の素敵な会だった。
明平さんが地元に足場を築き、仲間たちに囲まれていたということだと思った。

明平さんの奥様の美知子さんもとてもお元気で、長女のミナさんや長男の文平さんともお会いすることができた。また、田原に行きたくなった。
来年の三月には、「杉浦明平を読む」が刊行される。
予約申し込みは、風媒社 電話052-331-0008まで。2500円+税



記念撮影の様子