感泣亭

愛の詩人 小山正孝を紹介すると共に、感泣亭に集う方々についての情報を提供するブログです。

未刊ソネット集より 詩 「水」

2011年09月23日 | 日記

   水 


秋の日のさし込んでゐる水面

私が人を恋ひ

私が人を憎み

私が秘密をはぐくむやうに

しづかに水はのたうつて居ます

水色の模様

草色の模様

銀色の模様

ああ 映しあひ消しあつてゐる

自分の宿命をさぐりながら

歌をうたひながら

時間の中を

現実の中を

流れてゐます



 


       未刊ソネット集より


 


 




訃報 坂口昌明さん

2011年09月18日 | 日記

9月5日、坂口昌明さんが亡くなられた。
突然のことであった。78歳であった。
死因は、急性間質性肺炎。数年前から患われていたとは聞いていたが、言葉もでない。

坂口昌明さんは、評論「一詩人の追求 小山正孝氏の場合」を書かれ、正孝の死後、4冊の著作集の出版にご尽力いただいた。
また、感泣亭例会の名付け親も坂口さんである。

最近は、陸奥新報に「岩木山奇談集」を連載され、この方面で注目を浴びていた。
これからの研究の一層の発展が望まれていただけに実に残念である。


著書に「一詩人の 追求」の他、「みちのくの詩学」「お岩木様一代記」、詩集に「旅する椅子」がある。


心より哀悼の意を表したい。合掌


 


 


 


誰が一番好きかと聞かれたら 未刊ソネット集より

2011年09月05日 | 日記

 


誰が一番好きかと聞かれたら
お前が好きだと答へよう
白い うすい ネツカチーフを
首の所からのぞかせて


しのび笑ひをして その身を
よぢらせるやうにしてゐるお前が
一番 好きだと 答へよう
さうして お前の目に見入らう


私の氣持が いつまでも
きつと 變らないことを
はつきりと 口に 出して 言はう


髪の毛の 黒い流れに
私の 唇を 急に 近づけよう
私は お前を 抱きしめよう


   未刊ソネット集 ノートDより