感泣亭

愛の詩人 小山正孝を紹介すると共に、感泣亭に集う方々についての情報を提供するブログです。

感泣亭別会

2011年06月30日 | 日記

感泣亭別会のお知らせ


感泣亭別会は、年間3回、例会の行われる秋を除き、春、夏、冬に行われています。


今回の夏会は、7月16日(土)に行われますが、今回のテーマは、「小山正孝と立原道造」です。


近藤晴彦さんに中心に語っていただくことになっています。


興味のある方であれば、誰でも参加できるので連絡して下さい。


  日時 7月16日(土)午後2時~5時


  場所 感泣亭(東急東横線元住吉下車)


 連絡先 moyama@nifty.com


 


 


  


未刊ソネット集より

2011年06月21日 | 

きびしい目をしてはいけない
向ふに流れて行くけむりは
二人には関係のないものなのだから
あれは あきらめのやうなはかないものだから

立つてゐるお前の肩にもたれかかる
私の重さをわすれないでおくれ
私の目の中の お前の姿 が
私の心にやきつけられてゐることのやうに

木陰をさがして坐つた時に
私は お前の からだの動きを知るだらう
愛の はげしさ を傾けて

夕暮の中で 信じはじめるだらう
二人の目に とびこむ すべてのものが
二人の 生を支へてゐることを

                              ノートD2


年報 福永武彦の世界 第2号

2011年06月17日 | 

聖徳大学の近藤圭一氏から「年報福永武彦の世界」をいただていた。実は、早くにいただいていたのだが、なかなか中身をちゃんと見ていなかった。
これは、科研費補助事業による「昭和文学の結節点としての福永武彦-古事記からヌーヴォロマンまで」と題する研究の報告書である。
これには、昨年行われた公開シンポジウム「詩人たちが読む福永武彦」の全体が収められていて興味深いが、この報告書で何より面白いのが、「座談会 福永武彦から池澤夏樹ー」である。
こんな面白い話が、ここに載っていて良いのかと思うくらいだ。
他の本では読むことの出来ない「物語」がここにある。
つまり、池澤夏樹の語る福永武彦と池澤夏樹 だ。


 


未刊ソネット集より

2011年06月14日 | 

はずかしさうにうつむいて
起きあがつた お前のえりに
私は朝のくちづけをしよう
戸のすきまから銀色の光が

線のやうに ゆれてさしこんでゐる
胸のはだけた白い肌の所にも
強く 打ちつけるやうに
光はさしこんでゐる

小さい ごみが いつぱい 舞つてゐる
行き 交ひ ぶつかり
もう 雀の鳴いてゐるのも聞える

私の目にも まぶしい光がさしこんだ
お前の指が 私の肩にかかり
支へようとするお前を押したふす時に

               ノートD より



未刊ソネット集より

2011年06月07日 | 

片隅に坐つて
語り合つてゐる男と女
立ち上つて
階段を下りて行つた

日傘をひらいて
裾のひらいたスカートを
ひらめかして
男はあとから歩いて行つた

私の前のガラスコツプには
なまぬるい水が半分
耳におどりこむ音樂

男と女が居たあとには
椅子が二つとテーブルが一つと殘つてゐる
私はだまつて指をふるはせてゐる