愛しあふ男女 6
街燈の青い三角の光が絵のやうだ
暗い壁のすみつこの所では
しづかな夜が二つの心をやさしくなぜてゐた
壁にもたれてお前はうつむいてばかりゐた
けだもののやうにあらあらしく私はお前に
ふるまつた 私は言つた(お前を愛してゐる
お前を愛してゐるのだから)
私の声はお前の耳に流れて入つた
誰かが次第に街燈を持ちあげた
光の円周が地の上を動いて
私たちは青い光の中に立つた
手をにぎりしめて二人が立つてゐるのは
赤い壁の前であつた 光の方に顔を向け
きびしい目をしてゐるのはその壁の前であつた