最近感じること(ブログ版)

粕井貫次の書き下ろし個人エッセイ

少しせわしい「趣味人」

2010年09月10日 | 感じること
 今日は立命館大学大阪オフイスで生活文化講座の第3回、講師は
木津川 計先生で、「趣味人はなぜ国語辞典に収められないのか」でし
た。趣味に関する熟語は970もあるそうですが、趣味人という索引
では0で、手元の電子辞書でもそうでした。
 その理由に①日本の近代化の段階で「わび・さび」の美意識の粉砕。
②戦後の一般的な世相から清貧の士の敬遠③文明の前進と多忙化④勤
労の美徳⑤日本人の趣味感での優雅性の欠如がありそうです。
 木津川先生のお話をきいていると、亡父の信一(雅号は豊誠)がま
さに趣味人であった気がします。絵が好き、芝居の鑑賞が好き、謡曲
と能、土人形や爪楊枝・こけしの収集、旅行が好きで、石版画の業は
生活が出来ればいいくらいだったと思います。月末の請求書を作る時、
必要な生活費(弟子も2~3人、ほかに女中さんがいた)をまず想定
し、納入した版画と得意先の許容金額を予想して決るようなおうよそ
ぶりでした。
 明治22年生まれでしたが、84歳で亡くなるまで国内はもちろん
海外もあちこち旅行をし、戦時中の苦難期をのぞけば正に趣味人でし
た。
 私はその血を受け継いだのでしょうか、かつて表向きには商売に励
んだ50年でしたが、商売の勉強にかこつけ、別の角度から見ると趣
味人(少し忙しすぎですが)のように思われてなりません。海外を含
め全国各地の旅行、セミナー・研究会と称する多分野の見聞、大学や
大学院での勉強、海外語学留学などです。
 木津川先生によりますと、「新趣味人の資質」には①自然を愛する
人②清福を好む人③ユックリズムを実践する人④人生を楽しみながら
生きていく人、ということだそうそうです。
 趣味人の定義はいろいろあるでしょうが、木津川先生の説では
①「自然を愛する人」で、私のつけた自分の戒名は「自然院飛行商貫
居士」(じねんいんひぎょうしょうかんこじ」です。
②「清福を愛する人」で、私有の財産はありませんが、年金と息子と
の同居でまずは生活は安泰。
③は「ユックリズムを実践する人」ですが、この方は少しせっかち、
でもとくにノルマなどはなくマイペースの日々。
④「人生を楽しみながら生きていく人」は正にその通りです。
 有難いことです。いいお話でした。

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