KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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トリノ五輪について、ちょっと一言 vol.4

2006年03月03日 | その他のスポーツ
最後の最後の快挙である。アルペン男子回転で五輪出場3度目の皆川賢太郎が4位!大学生の湯浅直樹が7位!!日本人がアルペン種目で入賞するのは、50年前のイタリア、コルチナ・ダンベッツォ大会での猪谷千春さんがこの種目で銀メダルを獲得して以来である!!

今回、猪谷さんは、メダルのプレゼンターを自ら希望したのだという。日本の関係者はメダル獲得を確信していたのだろう。100分の3秒差でメダルを逃した皆川だが、立派な成績だ。
私見だが、冬季五輪におけるアルペン競技の位置付けは、夏季五輪における陸上競技(マラソンは除く)と同等のものではないかと僕は思う。まさに、為末大や末續真吾らの世界選手権でのメダル獲得と同等、いやそれ以上の快挙かもしれない。

と、僕は思うのだが、どうだろうか。

今回、メダル5個の目標に対して、獲得したのは、荒川静香の金1個のみ。しかし、4位入賞が6つもあった。「惨敗」とか「完敗」とかではなく、「惜敗」と呼んでは甘過ぎだろうか?
中国や韓国が2ケタ数のメダルを獲得したことがお気に召さないであろう方は、
「根性がない。」
の一言で斬り捨てているけれど。

前にも書いたが、アテネ五輪にしても、「4~8位入賞」という結果の評価の物差しが狂っているような気がする。本来なら、決勝進出だけで高く評価されるべき種目(例えば、野球とソフトボール以外の全ての球技)での入賞でさえ、
「メダルに届かず。」
とネガティブな言い方がされていた。だいたい、女子ホッケーは、大会前、合宿費用さえないと、テレビ番組で支援を求めていたではないか。バレーボールだって、やっとのことで出場権を得たのに、いつのまにかメダルが取れそうに思われていた。

男子マラソンの歴史を振りかえってみると、ミュンヘン五輪での君原健二さんの5位入賞は、当時の雑誌を見ると、メダルと同等の評価を得ていた。五輪出場3度目のベテランの予想以上の健闘が見る人の胸を打ったようである。それに比べると、12年ぶりの入賞となったロス五輪での宗猛さんの4位入賞は、瀬古利彦さんの
「まさかの失速(どうした!瀬古!)」の衝撃にかき消された感がある。ソウル五輪の中山竹通さんの4位も、それまでの彼らしからぬ走りだったせいか、評価が低かった。バルセロナ五輪でも中山さんは4位。森下広一さんの銀メダルと、谷口浩美さんの感動と爆笑の
「こけちゃいました。」
に挟まれて割りを食ったような感じだ。この結果の評価をめぐって、中山さんは孤立し、所属企業を追われなければいけなくなったという。

アテネの油谷繁の5位、諏訪利成の6位は、女子の金メダルの前ではかすんでしまいがちである。さらに、あの妨害男のせいで、余計に影が薄れてしまった。

世界60億人のトップ8に入るのだから、入賞というのも立派な結果には違いない。しかし、入賞者というのはメダリストよりも記憶に残らないのだ。

君原健二さんや有森裕子さんの名前は広く知られているが、メキシコ五輪のハンマー投げで4位入賞(銅メダリストと同記録!)の菅原武男さんや、アトランタ五輪女子5000m4位入賞の志水見千子さんの事を、どのくらいの人が覚えているだろうか?入賞者ではないが、ミュンヘン五輪の3000mSCで9位の小山隆治さんやモントリオール五輪の棒高跳び8位の高根沢威夫さんらは、僕に
「日本人でも、ここまでやれるのだ。」
という事を見せてくれた、忘れ難き人たちなのだが。

中には、10チーム中7位でもやたらともてはやされている種目もある。今回、大ブレイクの女子カーリング代表、既にスポーツ紙では「カー娘。」と呼ばれている。やはり、「どこにでもいそうな普通の女の子のけなげな姿」が、見る人の心を捉えたのだろう。「いいとこのお嬢さん(今はセレブと言うらしいが、本来の意味とは少し違うように思う。)」然とした、フィギアの選手や、壮行会にて決意表明を自作のラップで披露するスノー・ボーダーよりは、親近感を覚えた人が多かったようである。

僕は、クロカン・スキーの女子団体スプリントで8位入賞の日本コンビ、パートナーの走りを見つめるサングラス姿が、一瞬、美人駅伝ランナーだった、坂下奈緒美さんの中継所のたたずまいに重なった(顔が似ている、ということではない。)のだが。実にわかりにくい喩えではないかと我ながら思う。

史上最多の選手団でトリノまで行きながら、獲得したメダル1個という結果に批判が高まっている。
「世界レベルに達していない競技者は派遣するな。」
「税金の無駄遣いだ。」
との声もあがっているが、これに対しては、バラエティ番組でもおなじみのイケメン弁護士が反論していた。ちょっと記憶はあいまいだが、
「彼らの方が、へたな外交官よりもよっぽど国際親善に貢献しているじゃないか。」
とのことだ。自身もラグビーをしていたというだけに、スポーツを税金の無駄遣いという考え方は認め難いのかもしれない。

これを機に、夏季五輪も少数精鋭主義にという方針が固まれば、陸上競技にも影響がありそうだ。女子短距離や、男子ハンマー投げ以外の投擲種目、中距離や男子長距離など、日本のトップでも、B標準を切るのが精一杯の種目は五輪への道が断たれてしまう。男子のマラソンも、出場者を2人にされかれない。その分、女子の枠を1つ増やして4にしろとIOCに要求するだろうか?

14年前のアルベールビル五輪のジャンプ・ラージヒルで4位に入賞した原田雅彦がNHKのスタジオに招かれていたのを思い出す。
「メダルを取ったわけでもないのに笠谷さんや八木さんのように取上げて下さり、ありがとうございます。」
とおなじみの笑顔を浮べる若き頃の彼がなつかしい。

一応、次回が完結の予定です。

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