かながわ平和運動推進委員会

神奈川県高等学校教職員組合の平和について考えるブログです。

さらば戦争!映画祭 2007

2007-11-12 20:22:48 | イベント情報
 11月17日 さらば戦争!映画祭 2007
      ―人間が始めたものは人間がやめればいい―  
    
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   ■さらば戦争!映画祭2007 プログラム 

   10:05 『夕凪の街 桜の国』
   12:05 被爆者の方のお話
   12:20 休憩(50分)
   13:10 『オレの心は負けてない』
   14:45 休憩(15分)
   15:00 『花の夢 ―ある中国残留婦人― 』
   16:40 中国残留婦人栗原貞子さんへのインタビュー
   17:00 休憩(15分)
   17:15 『パッチギ!LOVE&PEACE』
   19:20 井筒和幸監督トーク

 *プログラム等は予告なく変更することがございます。
   最新情報はHPにてご確認ください。
 *なお、当日の進行状況等によっても若干の時間変更がある場合
   もございます。予めご了承ください。
   ご覧になりたい作品の開始に間に合うようお早めにお越し下さい。
 *入替え制ではございません。

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   ■2007年11月17日(土)
     10時~20時
   
   ■入場料:2500円(当日)/2000円(前売)
    *一日通し券のみとなります。途中入退場可。

   ■東京ウィメンズプラザ ホール(渋谷区神宮前5-53-67)
  http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/contents/map.html

   ■アクセス
    JR山手線/東急東横線/京王井の頭線 渋谷駅 下車12分
    地下鉄銀座線/半蔵門線/千代田線 表参道駅 下車7分

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さらば戦争!映画祭実行委員会           
______________________________
〒160‐0004
   東京都新宿区四谷1-2 伊藤ビル3F
   中国人戦争被害者の要求を支える会 気付 
   TEL 03-5379-2607 FAX 03-5379-2608
   E:mail info@eigasai-60.com
   URL:  http://www.eigasai-60.com/
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岩波ブックレット新刊紹介

2007-11-06 00:23:57 | Weblog
 連続イラク現地報告会で講師をしていただいた土井敏邦さんが、30年かかわり続けたパレスチナ問題で岩波ブックレットを発刊されました。ぜひ読んでみて下さい。パレスチナの現状が見えます。以下著者のコメント。
 
 “パレスチナ”と出会って30年、ジャーナリストとして現地取材を始めてから22年になる。そんな私が最も見たくなかった「パレスチナ人同士が争い殺しあう」事態が起こってしまった。私の戸惑いと失望、そして「パレスチナはどうなるのか」という疑問は、“パレスチナ”に関心を持ち、関わってきた多くの人たちが共通に抱いている思いに違いない。その疑問にわずかでも“答え”を提示していくこと――それが、長年“パレスチナ”を伝えてきた者としての“責務”だと思った。ただ、それはとても私独りで担える仕事ではなかった。研究者、ジャーナリスト、NGO関係者らパレスチナ問題の第一人者たちに協力を求めると、彼らは快諾してくれた。2007年7月28日の緊急シンポジウム「内紛と分裂? パレスチナはどうのなるか」はそのような経緯で実現した。参加者は100人を超えたが、様々な事情で参加できなかった方、とりわけ遠い地方の方々にも、その議論の内容を伝えたい。活字にして出版したいという私の願いが本書で結実した。(土井敏邦)


佐藤真監督追悼上映会

2007-10-29 23:53:37 | イベント情報
佐藤真監督追悼上映会
『阿賀に生きる』の魅力を語る会

とき:11月29日(木)18:00上映開始
場所:カフェ・ラシェット(相模大野駅徒歩2分・相模大野銀座商店街・http://www.lassiette.jp/index.html)

参加費:1ドリンク付き1000円
ゲスト:旗野秀人さん

劣化ウラン兵器禁止を求める国際行動デー集会

2007-10-28 23:38:59 | イベント情報
11月11日(日) (文京区 東京)
【集会】 劣化ウラン兵器禁止を求める国際行動デー集会
 集会の内容(再掲)
【日時】 11月11日(日)午後6時(開場5時半)~午後9時
【会場】 文京区民センター 
【内容】
  1 最近のイラク情勢について 志葉玲(しばれい)さん(ジャーナリスト)
  2 ICBUW第4回世界大会(ニューヨーク)の報告とイラクの医療支援
                   佐藤真紀さん(JIM・NET事務局長)
  3 地震が原発を襲った→柏崎刈羽原発
                   山崎久隆さん(劣化ウラン研究会)
  4 映像 「日本のテレビが伝えないイラク現地の状況」
      -希望を届ける民衆がつくったメディア-
【参加費】1000円(前売り800円)



教育研究集会

2007-09-07 23:27:16 | イベント情報
とき:10月27日(土)
ところ:神奈川総合高校(東横線白楽下車徒歩3分)
テーマ:戦争をする国づくりと戦死者の顕彰
〔プログラム〕
 13時   レポート
 13時半  フィールドワーク出発、久保山墓地へ
       A級戦犯らの供養塔、東條首相以下六十名の忠魂碑、関東大震災殉       難朝鮮人慰霊の碑など
    〈電車で移動、上大岡へ〉
 15時半  かながわ平和記念館・神奈川県戦没者慰霊堂
 16時半  解散         

教科書・市民フォーラム/1周年総会& 記念講演 「集団自決」検定問題を検証する  

2007-08-20 22:20:26 | 教科書・教育基本法
「集団自決」検定問題を検証する  

日 時:9月29日(土)午後2時~5時  
会 場:横浜市技能文化会館 802号室                                           
*来年度使用の高校日本史教科書から沖縄戦「集団自決」の表現が削除された。「南京大虐殺」「軍隊慰安婦」削除に続く、「つくる会」勢力からの教科書改悪攻撃である。*家永教科書訴訟第3次訴訟での沖縄戦記述問題に次ぐ沖縄戦記述改悪の動きを、執筆者の一人である石山久男氏が検証する。沖縄県議会・全市町村議会一体となった撤回運動も紹介する。                      13:30 開場   14:00 開会挨拶   
14:05 総会   14:30 記念講演(石山久男氏)         15:45 質疑・その他  16:30 閉会挨拶                                       
1.総会(活動報告・活動計画、会計報告他)  2.記念講演 講師 石山久男氏(歴史教育者協議会委員長・日本史教科書執筆者・元高校教員)    
教科書・市民フォーラム     
横浜市港北区鳥山町1096-4 ブロードストーン小机103号            FAX 045-471-7270   
 郵便振替 00240-6-95754 (年会費2,000円 シニア1,000円)

6.23 慰霊の日の沖縄

2007-08-17 00:31:39 | 平和通信vol152
新採用教員沖縄ツアーに参加して        R高校 Q

 私たちの一行が立ち去った後、その一家のオジイが泡盛のビンの蓋を開け、礎(いしじ)に刻まれた名前に、流しかけた。そして、太い指で名前を優しくなぞるのだ。日に焼けた、深いしわのその顔。悲しげな目。何もしゃべらず、ただ、なぞるのである。
 6月23日、慰霊の日の「平和の礎」での光景である。今年、初めて行った新採用教員対象の沖縄平和ツアーに同行した。平和ガイドの方の話しをその礎の前で聞いていたため、オジイ、オバア、息子さん夫婦や、お孫さんたち、家族みんなを待たせてしまった。待たせたことを謝し、お話を伺った。オジイのお兄さんの名が刻まれていること。どこで亡くなったかはわからないこと。毎年この日に訪れること。オバアも負傷し右肩がえぐれている事。オジイ、オバア、家族皆が礎に向かって手を合わせるその表情と光景に涙があふれた。20数年、涙など流したことはないのに。
 肉親の死を悼む姿に同情したのか。それだけではない。今ここにいるオジイ、オバアを囲む家族は彼らが生き残らなければ、この世に誰も存在しなかった。礎に名を刻まれたお兄さんが生き残っていたら、同じように子や孫に囲まれていたに違いない。生存者への思い。死者への思い。それらが重なっての予期せぬ涙だった。
 戦死者を悼むということを考えた。多くの人は墓や仏壇の前で、手を合わせる。そこが死者を記憶し、思いを寄せる場を提供してくれるからだ。納骨というのはそこに死者の霊があるかのように、その場の意味付けがなされる。「平和の礎」には名が刻まれているだけだ。それなのに、慰霊の日には礎のあちらこちらで、家族が慰霊に訪れ、時を過ごしていく。一方、靖国神社に訪れる人も多い。ここにも、「祭神名簿」に記載された名前があるだけである。もっとも、靖国神社に祀る対象は主に軍人・軍属だけだが、個人が戦死者を慰霊するという点では同じである。慰霊という感情が同じとするなら、その違いは何か。それは戦死者の死をどう受け止めたかという認識の差といえるのではないだろうか。簡単に言うと、国家が行った戦争という行為の被害者か、戦争という時代に国のために戦った犠牲者かという違いだ。後者には戦争を遂行した主体がない。戦争は国家が起こす市民に対する殺人行為だ。さらに、後者には国家のための死を「犠牲者」とし、その行為を讃える。そこには国家のために死んだ「犠牲者」が他国では加害者以外の何者でもなかったことがなにも見えてこない。靖国神社には沖縄戦で軍による強制で集団自死した人や親に殺された子供も合祀されている。その理由は軍の機密漏洩を防ぐための死だという。
 しっかり見れば、過去の戦争の事実を隠蔽する動きは巷にあふれていることがわかる。イラクには自衛隊の派兵が続き、米軍とともに戦争の道を歩もうという今、オジイ、オバアの思いを受留めた自分がどう行動するかを考えるツアーだった。

基地の街でピースフル子育て

2007-08-17 00:29:18 | 平和通信vol152
しばらくご無沙汰してしまった基地の街たよりです。4月22日の市長選で我が大和市の首長が変わりました。土屋前市長の4選を阻んで、元県議の大木哲市長が誕生しました。大和市が抱える重要テーマは「厚木基地の騒音問題」。けれど、今選挙でも「基地問題」の争点が見えにくく…。「基地問題」こそがこの街に暮らしている市民には最重要課題なのに。沖縄からも聞こえてくるように、「基地」は選挙の争点にはならない時代なのでしょうか。結果的に地元で長い歴史と実績をもつ市民団体の厚木基地爆音防止期成同盟が大木支援にまわったことが、勝敗を分けた一因でした。
ところで、この選挙から2週間、連休明けの8日~11日、厚木基地でのNLP実施通告がされました。そして10、14、15日には7年ぶりにジェット戦闘攻撃機による夜間離発着訓練がおこなわれました(11日は中止)。地元神奈川新聞(5.12)によると、「戦闘攻撃機によるNLPの実施は開始まで6時間を切った10日の午後、在日米軍司令部から防衛施設庁に連絡が入った」とされています。実施をうけて施設庁には苦情の「電話が鳴り続いた」としていますが、国の立場は毅然と「NLPは必要不可欠」(同神奈川新聞)。以前にもこのページで記した通り、実際に訓練をしている最中にはすでに各省庁は「留守電対応」になっています。地元県庁や大和市役所では、夜間にかかわらず宿直室が丁寧に苦情・問い合わせの対応をしてくれる一方、横浜と座間(座間といっても、所在地は大和市内で小田急線鶴間駅近く)の両施設局も厚木基地広報室も、宿直がいないわけがないのに「留守電」。どうしてもこの対応がゆるせない。「周辺住民には多大なご迷惑をかけている。深刻な問題」と、ことある毎にコメントを出しているのだから、直接、住民の声を聞く(その多くが怒りや批判であっても)「仕事」を怠るな!!と思う。日本の「国益」のために苦難を背負っている私たちに対してあまりにひどい仕打ちではないでしょうか。日米安保堅持!日本を守る米軍を支援するのは国民の義務!だ等々説く人たちにこそ、この国側の対応を批判して欲しいと思うのです。
そもそもジェット戦闘攻撃機の騒音はとりわけひどく、地元の粘り強い反対運動の成果で最近6年間は行われていませんでした。基地騒音に「慣れている」住民にとっても、今回の騒音には驚きがあったはずです。ましてや、この間に市内に転居してきた人々の生活-結婚を転機に市内に居住する若い世代が多く、やがて子どもの成長とともに市外へ去っていく。大和市には若年人口が定着しない人口流動現象があります-に少なからず影響があったのでは、と危惧します。そして、米軍再編によりこの騒音が「移転する」岩国の市民にどれだけ現実が知らされているのかが気になります。やはり、戦争のための基地と人としての暮らしは共存し得ない。あらためて住宅街の、それも人口密集地に基地が存在する不合理を感じます。14日には松沢神奈川県知事、大木市長、内野海老名市長らがそれぞれ横浜防衛施設局長、在日米海軍司令部大佐と司令官に14、15日のNLP中止を要請しましたが、ともに「必要不可欠」として要請拒絶という結果でした。その日の夜、知事と周辺4市(大和、綾瀬、座間、海老名)の各市長が基地から1キロの地点で訓練の様子を視察し、あらためて同大佐に15日の訓練中止を要請したものの、これも「安保の責任を果している」(5.15神奈川新聞)との対応に終わっています。さらに16日の朝日新聞によれば同基地司令官は「中止要請が硫黄島に代わる恒常的に訓練施設を早期に見つけことにつながるよう期待する」とのコメントも出しており、再編報告(岩国移転)の早期実現を催促しているものと伺え、ますます基地被害の解消にむけては、厚木基地周辺住民の運動にとどまらず、移転先とされる岩国市民との連携的な運動の必要性を実感させられました。
ところで、NLPの実施に際しては、その前後には「訓練のための訓練」(陸上離発着訓練=FCLP)と「訓練の結果、合格するための訓練」がおこなわれ、実質の被害は長期に渡ることはあまり知られていないように思います。今回のNLPについては、この前後訓練がGW期間に重なり(23日~)、非常に長時間にわたる騒音でした。NLP本体は22時頃には終了したものの、その前後では、長いときには深夜0時を過ぎても飛行していました。再編計画の報告が出た昨春はこれほど激しい騒音もなかったため、もしや…政治的判断があったのか?と疑いたくもなります。
さて、その再編報告に至っては、1年経って各方面で「現実」が見えてきました。岩国への移転が実現されても、厚木基地での訓練やメンテナンスは今までと同様に行われることが、日本政府以外の各方面から明言されはじめました。再編後も何もかわらない!という、根拠についてはまた別の機会で述べたいと思いますが、政府・防衛省だけが、「騒音は減る方向」にと言い切っていることにこそ何の根拠もなく、自国民への裏切りに他なりません。さらに、再編を拒んでいる自治体には再編交付金を配当しない米軍再編特措法案(つまりは再編受け入れを条件で出される新交付金)が2月9日に閣議決定されています。すでに移転反対を公約に当選した岩国市長に対しては、市庁舎建設費の07年度分の補助金をストップしており、県内においては同様に拒んでいる座間市に対して政府との再編協議を昨年8月以来行なっていないという圧力も始まっています。キャンプ座間(相模原市・座間市)では、再三にわたる中止要請も無視され、昨年9月に続いて4月に空母キティホーク所属のヘリコプターの離発着訓練が行われており、ここにも再編受け入れをめぐる自治体への政府・米軍の思惑が働いているのではと勘ぐりたくなります。
日本政府の「圧力」がもっとも目立ったのが沖縄です。すでに全国紙でも報道されていますが、普天間飛行場の移設に伴う辺野古海域の現況調査に海上自衛隊が動員されました。機雷の敷設任務をもつ5600トンの掃海母艦「ぶんご」は、76ミリの大砲を積み、ダイバーを乗せ、呉、横須賀と経由して、沖縄に向かいました。自衛艦の派遣は単に反対運動に対する威嚇とは受け取れません。基地の負担を強いられている「国民」をより一層見下す、侮辱する行為であり、国との折衝を続けている自治体首長をも愚弄する態度に他ならないのではないでしょうか。もともと日米両政府とも住民の意向を無視はしないといった再編協議。今回の行為は、それまで再編受け入れに軟化姿勢をとっていた他の自治体にもマイナス要因を残すに違いないと思います(全国紙での取り扱いは少ないか…)。国会では「自衛隊法上の根拠を」という野党追及に対し「札幌の雪祭りと同様」と解答する顛末。現地では海自のダイバーが非暴力抵抗を続ける人々を蹴散らしていく光景。戦後60年以上経った沖縄で、またしても住民に武器をむける「軍隊」自衛隊。軍隊は住民を守らない-沖縄戦が私たち市民に残した教訓を思い出します。あまりにも愚かな日本政府の姿です。
  (6月17日記/G高校 R)


アフガニスタン通信

2007-08-17 00:25:24 | 平和通信vol152
アフガニスタン通信


Date: Sat, 16 June 2007 17:46

当地(アフガニスタン東部のジャララバード市、パシュトゥン人のいわゆる「トライバルゾーン」の中心地)の状況は、私が感じるかぎりは、いたってのどかで平和そのものです。日本で案じているような「危険」はほとんど感じません。ただし、アフガニスタンとパキスタンとの関係は日々悪化しているらしく、両国国境のカイバー峠もいつ閉鎖されるか分からない情勢のようです。
 一方、ペシャワール会が4年前に取り組み始めた灌漑用水路建設はこの3月に第1期工事を終え(13キロが完成)、この6月から第2期工事(さらに7キロ延長する)が本格的に始動しました。日本政府がアメリカ追随の姿勢で対アフガニスタン政策を今後選択していくようなことになれば当地における対日感情も急激に悪化することが予想されますが、そうした先行き不透明な状況の中で用水路工事は現在急ピッチに進行しようとしています。
 このところ日中の気温は50度(寒暖計の最高目盛)、井戸から汲んだ冷たい水と仕事を終えた後に食べるスイカが最高においしいです。


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今春、神奈川県立三浦臨海高校教頭を2年前倒しで退職した梅本霊邦さん(58歳)が、NGOペシャワール会(代表・中村哲)の現地ワーカーとして、この5月からアフガニスタンのジャララバード近郊で灌漑事業の活動に参加している。
9.11に始まった、アメリカの「テロとの戦争」の最初がアフガン攻撃だった。タリバン政権崩壊後、日本政府もカルザイ政権を全面的に支持し、マスコミもアフガンに自由が訪れたという報道があふれた。しかし、ここにきて米軍の統治がイラク同様うまくいっていない。マスコミが殆ど取り上げない中、現地の生の情報を提供したい。なお、本文は梅本さんの私信であり、本誌の原稿用に執筆したものではないが、今回、掲載の許可をいただいた。
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Date: Thu, 17 May 2007 19:03
 ムシケル・ニシタ(No problem)
 パシュトゥー語で「問題なし」「平気、平気」の意味です。道具が壊れている、体調が悪いとかなんとか口実を設けて仕事の手を抜こうとするとき、現地の作業員達はかならず「ムシケッレ」(問題あり、具合が悪い)と訴え、こちらが彼等の仕事ぶりにこれで大丈夫かどうか心配すると、きまって「ムシケル・ニシタ」とかなんおとか、いい加減で大雑把なその民族性を発揮します。とりあえず私も今のところ「ムシケル・ニシタ」です。食べ物にも風土にも今のところ順調に適応しつつあります。
 当地に来て1週間が過ぎました。私の仕事は総延長13キロの用水路うちの後半の6キロほどの植樹作業です。具体的にはすでに植えられた楊(やなぎ)や桑の木に灌水することと用水路の先端2キロほどを新たに植樹しアフターケア(灌水)することです。この時期、雨がほとんど降らない当地ではクナール河の水位や用水路の水位よりも高いところに植えた樹木の水やりが意外と大仕事です。乾燥が激しいうえに、土中に礫(日本でも川原に沢山転がっている大小の丸石)が非常に多く混ざり、土は粒子がまるで白粉のように細かくて水に溶けやすく、保水力など植物を栽培するにはいろいろ問題があるためです。2人~5人の作業チーム5つが区域を分担し私の担当する6キロの灌水作業を毎日やっています。水揚げポンプが自由に何台も使えるわけではなく(区域の半分は、バケツを使い人の手で2.5メートル下の水面から水を汲み上げる)、灌水の区域が長いこともあって、これが想像以上に重労働です。植樹もただ穴を掘って苗木を植え挿木をすればよしというわけではなく、事前の準備として用水路の石ころだらけの両岸に土嚢を積み、土を入れ整地するという単調で骨の折れる作業がついて回ります。この事前準備に毎日20人以上の現地人労働者が当てられ、灌水作業や苗木の植えつけを併せると30名以上の現地人を同時に動かすことになります。
 とりあえず写真を1枚送ります。1時半に仕事が終わり頭(かしら=当地では一般に「エンジニア」と呼ばれる)が1人1人に日当を渡している光景です。みんなうれしそうに見えるでしょう。写真でも分かるように、働く人達の年齢はさまざま、でも一見ふけて見えても私より年上はたぶんひとりもいないはずです。年齢に関係なく日当は1人100アフガニー(240円)です。ちなみに当地ではペプシコーラが1缶20アフガニーします。




Date: Sun, 27 May 2007 22:51
 5月20日、日曜日と言っても、当地では通常の営業日です。今日も朝3時半に起き5時に出勤、車で約45分の作業現場に出かけ午後1時半まで第1期工事の最終区の用水路沿いに植樹の事前準備として土嚢を積み、土を盛り整地する一連の作業とすでに植樹した5キロほどの区間の灌水作業を指揮しました。朝から晩の気温は30度~50度の間を行ったり来たりしています。空気が乾燥しているのとクナール河の川面を渡ってくる風が涼しいのとで、日射しは強烈なものの意外にしのぎやすいです。私は相変わらず元気です。

<一昨日の金曜日にジャララバードとその近辺で起きたこと(すべて伝聞です)>
1 《妻に鼻を削ぎ落とされて夫が死ぬという事件があったそうです。》
 でも、アフガニスタンにウーマン・リブの兆しか?と言うのは性急かもしれません。当地では女性は適齢期になると外では皆ブルカを被ります。ブルカを被っていないのは14、5歳未満と40歳(?)を過ぎた女性のようです。小さな女の子を見るかぎり、総じて美人が多いなと感じます。ただし、気楽に声をかけたり、手を振ったり、まじまじと見ることは禁物のようです。
 日課で井戸に水汲みに行くと、先に水汲みに来ていた女性は私達の姿を見てそそくさと水汲みを済ませ家内に引っ込んでしまいます。後から水汲みに来た女性は、私達が水汲みを終えるまで物陰に隠れて順番を辛抱強く待っています。農作業や水汲みのときにはブルカは、もちろん、どの女性も被っていません。たぶんそのためでしょう、他の男性に顔を見せないようにとても気を使っているように感じます。年頃の女性がブルカを着けずに水汲みをしている場合は、井戸の20メートルほど手前で私達は車を止め水汲みの済むのを待ちます。

2 夜9時頃、私達の宿舎の近くにあるインド領事館前のゴミ箱(ドラム缶)に爆弾が仕掛けられ、発見した警察がこれを爆破処理したため、もの凄い爆発音とともに宿舎の建物も大きく揺れたようです。他の日本人ワーカーは何事かと思って食堂に集まったそうですが、私はその10分前に就寝し熟睡していたため、翌朝その話を聞くまで何も知りませんでした。誰が何の目的で爆弾を仕掛けたかは不明です。インドとパキスタンの関係悪化の兆しではないかとの観測もあるようです。

3 私達がいるナンガルハル州の郡警察のトップが爆弾を仕掛けられて爆死したそうです。カブールの中央政府の要人でもあるということで、土曜日は沿道にふだんよりも多くの警官が重装備で配置され物々しい警備でした。アフガニスタンの各地方では政治的権力をめぐってファミリー間(当地では血縁による結びつきが強いとか)の抗争が絶えないそうで、殺された警察長官は反対勢力からいろいろ恨みを買っていたのでは、との推測です。ただ、彼の実績は高く評価されていて、例えば、かつてここジャジャラバード周辺の道路ではそこここに勝手に検問が設けられ通行料が徴集されていたのが、今ではそれがまったくなくなったとのことです。

 土曜日(21日)に第1期工事の終了点の植樹作業をしながら、ひとりですぐ目の前の尾根に登ってみました。自分の仕事の全体像を地理的に把握してみたかったからです。ごつごつした岩山ですが、樹木が一本も生えていないために見通しがよく、登路も自在に選べて、とても気楽に登れました。クナール河を渡ってくる 風が冷たくとても心地よかったです。そのとき撮った写真を送ります。左(北東)から右(南西)にクナール河が流れているのが分かるでしょう。向いの山脈は2千メートルほどで、パキスタンとの国境になっています。この山脈に沿って毎日幾度か軍の小型ヘリと大型ヘリが偵察巡視飛行をしています。
 写真の通り水利に恵まれた流域の低地は木々が茂り青々としていますが、乾燥した茶褐色の山肌には樹木は一本も見られません。低地と高地の 色が水利の如何でこれほど違ってしまう景色は日本ではまずないだろうと思います。当地では今が冬蒔きの小麦の収穫期(写真では茶色に見えるのは小麦畑です)で、私が当地入りしたときは「麦秋」という言葉さながらの風景が展開していましたが、この2週間でほとんどの畑では刈り取りが済み、畑のあちこちで機械を使った脱穀作業が行われています。農作業の風景を見るかぎり、当地では農民は男も女も大人も子どももよく働くな、と感心します。

 月曜日(22日)には警察の車両が爆破され警察官4人が死亡するという事件がありました。作業現場へ行く途中の村々ではいつになく人集りがあちこちにできていました。が、全体としてさほどの緊迫感はありませんでした。
 用水路沿いの幹線道路では毎日ISAFの装甲車とアフガニスタンの警察車両の車列が道路の中央を傍若無人に走り去るのに遭遇します。装甲車のなかは冷房がガンガンに効き、冷えたコーラやビールが飲み放題だそうです。ただし、私にはその真偽のほどは分かりません。


イラク・バスラの院内学級のイブラヒム先生、横浜講演のお知らせ 

2007-08-17 00:12:22 | イベント情報
● 8月24日 横浜 『こどものいのちをまもりたい! フェス』
   13:00~ アラビア雑貨チャリティ・ショップ&スマイルカフェ
   14:00~ おとうさんのための小児救急救命講習会(1回40分 2回開催)
   17:00~コンサート+授業/
   18:00~イブラヒム先生来日講演、
        鎌田實特別講演「子供の命」
        スマイルこどもクリニック「イラク難民キャンプ
        医療活動ビデオ上映とトーク」、大嶋愛のピアノ弾き語り
■ 会場:よこはまみなとみらい赤レンガ倉庫1号館3階ホール (託児ルーム有り)
■ 参加費:無料
■ 問い合わせ先:スマイルこどもクリニック フェスタ実行委員会 TEL 045-820- 6601
■ 共催:スマイルこどもクリニック / JIM-NET/ JCF / アファクプロジェクト
 
イラクではがんの子どもたちが増えています。 しかし、イラクの停滞する医療行政のため、病院には薬が不足し、治安の悪化と物価の上昇は、子どもたちの通院を妨げています。そして治療をあきらめざるを得なくなる子どもも少なくはありません。
  もともとは小学校の教師をしていた、バスラ在住のJIM-NETローカルスタッフのイブラヒムは、現在、バスラ産科小児病院の院内学級で、白血病や小児がんとたたかっている子どもたちに算数やアラビア語やお絵かきを教えています。でも、彼の教え子たちを取り巻く状況もやはり厳しく、これまでに何人もの教え子の死に立ちあってこなければなりませんでした。
  イブラヒムは、 より多くの子どもを助けようと、薬の調達や貧困家庭の子どもたちの通院支援のためバスラを走り回っています。治療を嫌がる子どもたちをなだめたり、不幸にして子どもを亡くした家族の相談にのるのもイブラヒムの仕事です。
  子どもたちはどうしているのか? 今のイラクは一体どうなっているのか? 直接話してもらおうと、この夏、イラクからイブラヒム先生を招いてのスピーキングツアーを企画しました。一人でも多くの子どもたちが助かるよう、ぜひ皆様のご支援、ご協力をお願いします。

◆ イブラヒム先生プロフィール
1970年、イラク第2の都市バスラに生まれる。
1999年、イエメンにUNICEF から先生として派遣される。
2001年、長女ファートマ誕生。
2003年、イラク戦争が始まったため帰国できなかったが、12月になりようやく帰国、妻ミリアムが双子を妊娠したが、白血病に罹患していることが判明。ポール・ニューマン基金の支援で、ヨルダンで治療を受ける。帝王切開で生まれてきた子どもは2人とも500g前後。その後、ミリアムは化学療法、骨髄移植を受けるが、2005年1月他界。ヨルダンでJIM-NETに出会い、ローカル・スタッフになる。バスラの産科小児科病院の院内学級の先生として働くかたわら、薬の調達などで活躍中。
戦火の中、イブラヒムの3人の子どもたちは元気に育っている。


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