エクストリーム四十代のかもめ日記

野球を中心に、体力気力に任せて無茶をしがちな日常を綴る暑苦しい活動記。

田村龍弘に惚れた(あと、ちょっと柿沼)

2020-04-16 22:05:43 | プロ野球
とうとう勇気を出して、「田村愛」を語ってみることにする。

私は「ピッチャー好き」の野球ファンである。
人や異性では「地味で目立たない器用貧乏な人」が好きなので、
野球の花形である「投手」が好きというのは私の中では意外だが
実は「エースとして活躍している割には地味な人」が好きという
一貫性がある。
だから元巨人の斎藤雅樹とヤクルトの石川雅規が好きなことに
特に理由を必要とはしない。

じゃあなんで、ロッテでは捕手の田村龍弘に走ったのか?

私はボビー(バレンタイン元監督)信者であり、その流れもあって、
元ロッテの正捕手・里崎智也を崇拝してもいる。
里崎のリードは投手を楽にしつつノセていける、ある特徴を持っている。
が、案外世間でその特徴が語られないので、今後の里崎の現場復帰の
際に足を引っ張らないよう、ここでは詳しくは語らない。
とにかく、サトのリードは投手が楽になり、ノッていける組み立てが
基本になっていて、私はそこを高く評価している。
つまり私は、投手が好きであるがゆえに「投手を楽にしてくれる捕手」
が大好きなのだ。

里崎が引退したとき「これで当分ロッテは優勝にふさわしい捕手は
出てこないな」と思った。
が…まさかの、田村龍弘の台頭であった。

江村、吉田が重用されていた中、彼らが戦列を離れてからやっとこ、
穴埋めのような形でメインに使われるようになったのが田村。
だが、田村になった途端、試合が落ち着いた。力不足の捕手が
仕切ってわちゃわちゃする「新人所帯な不安定感」が消えた。
さらに、田村が仕切る試合は実際、勝てた。
以降、田村は正捕手として扱われるようになる。

当時の田村は「いろいろな人に話を聞いて勉強した」と言っていた。
つまり、自分でのし上がってきたということだ。
里崎が田村に何かを教えたかどうかはわからない。当時、もしも
田村が「里崎さんに教えてもらった」と言えば冷遇されるような
環境だったので、もしそうでもそうは言わなかっただろう。
とにかく、田村のリードは里崎の「あの特徴」を引き継いでいた。
投手が楽になり、ノッていけるリード。今はそこにさらに何重もの
応用を加えなければならず、目立たなくはなったが、初期の田村の
リードは実に里崎っぽかった。
クレバーな田村が自分で盗んだのか、里崎に正面から聞いたのか、
あるいは無意識に感じ取って実践したか、それはわからないが、
私にとってはまさに里崎の再来だった。

だが、それ以上に私を魅了したのは田村の野球脳の能力の高さ。
「脊髄で野球ができる」選手――つまり、「脊髄反射の速さで、
一番正しい判断をしつつ適切に対処できる」という天性の能力を持つ
選手がいる。私はそういう選手を最高に尊敬する。
田村はその能力を持っていた。
試合でとにかく目配りができている。「あれっ、何?」という送球を
突然したと思ったらランナーが飛び出している。投げてはいけない
時には反射的に投げかけたところでしっかり動作が止まる。
何をやるにも素早く、こっちの脳がついていけない。
「うぉ、こいつ、脊髄で野球ができる奴じゃん」
そして試合中、打球に合わせてちょこまかちょこまか、あちこちに
走っている。随時、とにかく何かに準備し、対応し続けている。
「いや~これは、二十代前半なのに、すごいプロの捕手だわ…」

この時点ではまだ、評価は最高に高かったが「好きな選手」に
数えるまでの好きではなかった。

私が決定的に打ちのめされたのは、もはやいつのことだったか忘れたが、
ある日の本塁クロスプレー。多分コリジョンルールが導入される前の
タッチプレーだったと思う。
本塁に突入するランナー、体勢を崩してタッチにいく田村。
クロスプレー、果たしてアウトかセーフか!?
私をはじめ、誰もが審判の判定に全身の神経を注いでいた時に、
田村はジャッジをまるで気にせずに別のランナーを刺そうと送球した。
「えっ! 判定は!?」
いや、実際は、本塁がアウトかセーフかを捕手が確認する必要はない。
もしそれがアウトならチェンジになる場面だとしても、もしセーフに
なったら次のアウトを取らなければならないのだから、ランナーが
走っていれば一刻も早くそこを刺すべきだろう。
でも、そんなのは理想論で、やっぱ気になるよね、本塁のジャッジ。
反射的に絶対、一瞬、ジャッジに意識が向かうよね。
それを田村は完全に無視できていた。こいつ本当にすごいと思った。
「四十何年野球見てきて、こんだけ野球脳高い捕手見たことない」

以来もう、田村しかいないと思った。ついていくしかない。

そしたらもー、盗塁も刺すわ刺すわ。
速くて強い「矢のような送球」では決してないのに、反応の速さで
次々刺していく。それでどんなに投手が助かるか。
危機一髪のところで田村が刺してピンチを脱出…なんてシビレる
展開も多々あった。かっこよすぎてそのたびに悶絶した。
2014、2015年は、2年続けて盗塁阻止率が4割を超えた。
盗塁阻止率は3割を超えれば十分で、4割超えは超一流。
2015年に至っては、なんと12球団イチの盗塁阻止率。
今はショートに入る藤岡のタッチがあまりに下手で、本当は
刺せているタイミングでもセーフになってしまう光景をよく見る。
実に残念だ。藤岡のタッチを指導できないコーチ・監督のせいで
田村の盗塁阻止率が下がってしまうのは悔しくてならない。
公に言うことはないが田村も悔しい思いをしているだろう。

ネットで調べ物をしていて、偶然田村の高校時代のインタビューを
見つけたので再生してみた。もう、その時から、語っている内容と
いうか心構えが、高校生のレベルをはるかに超えていた。
実は内野手としても使えるマルチな選手だが、田村を捕手で使わない
なんてナイな、と思った。
使える内野手は探せば普通にいるが、使える捕手はどんなに探しても
そうそう見つかるものじゃない。
その選ばれし者がロッテにいてくれるのだと思うと究極にうれしい。

そんなわけで、ずっと田村LOVEでロッテの野球を見続けている。

…が! ここのところ、ロッテの捕手の中では柿沼友哉が台頭して
きている。里崎の「ともや」の音と西武のMVP捕手・森くんの
「友哉」の字を持っているなんてちょっとズルい。
(なお、私は森くんを「捕手としては」大して評価していない)
今、ロッテファンの中では「正捕手田村、第二捕手柿沼」という
勢力図が定着していて、柿沼人気上昇中である。
正捕手は何かとしんどいところを請け負うために叩かれがちで、
新進の選手は美味しいとこ取りで称賛されがち。今「田村より
柿沼」とか言ってる奴は逆になってみたら実情がわかると思う。
私の田村への評価はかけらも揺らぐことはない。

とかいって私、柿沼も推しだったりする。
だって2016年、WBCの23歳以下大会「WBSC U-23
ワールドカップ」で、我が愛しの斎藤雅樹監督の下で正捕手として
活躍し、自チームの選手が一人も参戦していなくて不利な立場の
斎藤監督を世界一にしてくれたんだもん。厳しい試合で殊勲打も
打ってくれて、斎藤の世界一は柿沼なしにはありえなかった。
そういう「恩」の部分だけでなく、世界大会で1位の座に輝くと
いうのはやはり「能力」と「格」と「星」を持っているはずだ。
だから柿沼も期待してるし、応援している。

捕手は常に人材難。
田村龍弘と柿沼友哉がいるロッテは圧倒的に恵まれているはず。
でもFAで出ていかれてしまう危険があるので、実はこっそり、
田村の実力が球界で過小評価されていてほしいと思ってしまう。
田村~、1つのチームでずっと活躍するほうが絶対いいぞー。
てゆうかどこにも行かないで。
柿沼についても、実は斎藤雅樹が二軍監督をやっているとき、
「WBSCで力になってくれた柿沼がほしい、という話になって
トレードで取られたらどうしよう」と思っていたのだが、斎藤が
球界の現場を去ってしまったので、その点ではホッとした。
これからもずっと、田村がロッテの正捕手で、柿沼がその存在を
脅かすナンバーツーでいてほしい。
ロッテの正捕手・田村龍弘超~LOVE! 最高に応援してる!
(そして、あと、田村の次だけど柿沼もね!)