長生きする秘訣②
前回の記事で、江戸時代の偉人たちの長寿について書いたが、同じ江戸時代でも、庶民の長生きについて、書いた面白い報告がある。
今は昔、天保11年、江戸の永大橋の架け替えにあたり、日本一長生きの夫婦に渡り初めをしてもらおうと、将軍家の肝煎りで探索が行われたそうです。
そうして見つかったのが、三河国宝飯郡小泉村のお百姓さんである万平さんご夫婦。
万平242歳、妻たく221歳。
息子と孫の記録も残っていて、子の万吉が196歳、その妻もん193歳、孫の万蔵が151歳、その妻やす139歳。
この三夫婦が渡り初めをしてご褒美を頂いたそうです。
この万平さんに一族の長生きの秘訣を聞いたところ、
「先祖より足三里にお灸をするように伝えられ、それを守っているだけです」
と答えたとい言います。
玄侑栄久著:「観音力」より
これ以外にも、曲亭馬琴の「玄同方言」、百目鬼恭三郎「奇談の時代」、田中恭平著:「灸の医学的効果」にも取り上げらており、まんざら作り話ではないような気がする。
いや、本当だったらなんか嬉しい。
着目するのは、この万平さんに一族の長生きの秘訣を聞いたところ、「先祖より足三里にお灸をするように伝えられ、それを守っているだけです」と答えたという件である。
今では、足三里の効能は「腹痛、下痢、嘔吐など胃腸の不調、膝痛や足のしびれなど足のトラブル、歯痛、歯槽膿漏」などに効くとされていて、長生きに、直接関係ないような扱いである。
しかし、かろうじてさらっと、胃腸の不調に効果があると書かれている。
胃腸の不調は、人間の健康と大きく関係がある。
ひと昔前までは、からだの免疫機能は脳幹に70~80%が関係していると言われていたが、今では免疫機能の70~80%は腸に集まっているとされ「腸は免疫のカギとなる臓器」というのが常識になっている。
したがって、腸を整える事は、健康、長寿と密接に関係している事であり、江戸時代には既に分かっていたという事である。