亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

パラレルストーリー 理事長と俺

2018-10-29 10:06:49 | 美月と亮 パラレルストーリー
「あなたから連絡が来るの、久し振りね。」

美也子は真っ赤な唇を震わせて笑った。

「仕事の話だよ。あなたの送り込んだ
役立たずを早くクビにしてくれ。」

春盛は顔ごと彼女から目線を外した。

「どうして?それはあなたの使い方が
悪いからじゃないの。あたしのせいでは
なくってよ。」

ホテルのラウンジ。
カウンターで水割りを飲む春盛の隣で
クラブハウスサンドを頬張る美也子。

端から見れば、二人は小洒落た熟年夫婦だ。

春盛の方が美也子より年上だが
マウントを取ってるのは美也子であった。
それは仕事の上でも、男と女としてもだ。

「あなたの罪は永遠に消えないわ。
あなたから私に用があるなら
それなりの誠意を見せてもらわないと。」

「いつになったら許してもらえるんだい。」

「んん。来世で出会ったときに、ちゃんと
リードしてくれたら。ね?」

二人は高校の先輩後輩だった。
親父が作ったこの高校で。
春盛が三年の時に生徒会で一緒に
役員をしていたのが一年の美也子。
彼女は親父の従兄弟の奥さんの
一番下の妹だった。
これは大人になってから知ったことだが。

春盛は中2の時に美人教師と初体験したのを
皮切りに、保健室の先生、友達のお姉さん
文房具屋の長女、行きずりのOL、図書館の司書
様々な年上の美女との浮き名を滝のように
流しまくっていた。

セックスの際の女の扱いには長じていたが
セックス以外の場面でのスキルは
初期設定から全く動いていなかったのだ。

そんな偏った18歳が16歳の娘に恋をした。
さんざんっぱらのヤリチンが初恋だ。
小さな子が転んでも大きな怪我はしないが
ある程度成長すると転び方が下手になるのか
つまづいて転けただけでも大変痛い。
男女一緒にいるだけで、もじもじしている
時代に済ませておけば軽く済んだものを
こんな年まで引っ張ったお陰で症状は
かなり重篤であったと言えた。

そして、そんな事情は知らない16歳の娘。
普通に好ましく思い、普通に距離を詰める。

そこでいたたまれずに逃げ出す春盛。
かといって美也子が他の男子に近づけば
あからさまにヤキモチを妬く。

そんな二人がやっとの思いで交際まで
漕ぎ着け、いざ肌に触れ抱き合うに至り
さて本番。だけど…………

「私がどんなに傷ついたかわからない
でしょうね。」

「本気で好きになった子相手で
緊張してたんだよ。俺だって傷ついた。」

酒が入らないと春盛は絶対に口にしないが
二人きりで飲んでいると、三杯目で出る。

「好きで好きで。どうしようもなかった。」

「おかしなひと。」

美也子は若い頃一度結婚をしたが
五年目で離婚している。
子どももいない。

春盛は大学時代の同級生である
今の女房と25で結婚した。
生まれて初めて女から口説かれた。

生活を保証してくれるなら
あなたの奥さんとして家を守ってあげる。

愛する女ではないが、一緒に生きていく
いわば同志のような妻。戦友とも言える。
娘と息子もバランスよく育ててくれた。
妻には感謝しかない。

「分かってるんでしょ?そのつもりで
来たのよね?」

春盛はルームキーをスーツの胸ポケットから
引き出して見せた。

二人はエレベーターに滑り込む。
春盛は最上階のボタンを押すと
美也子を抱き締めて唇を奪う。

「だめだ。」

気持ちは溢れるのに。
どうしたって勃たない。

春盛はため息をついて
美也子の腰を抱く。

エレベーターを降りた。

ルームナンバーが左右に一つづつ。
右に入りルームキーをかざした。
いつものスイートだが
もしかして場末のラブホテルとかに
乱暴に連れ込んだ方が勃つのかもしれない。

「屈辱だわ。」

美也子はソファに沈み足を組む。
スリットから細くて綺麗な足が伸びる。
ストッキングがガーターベルトで留められ
日常は目にすることのない魅惑的な太ももが
その内側にまで視線を誘う。
美也子も、気を使ってくれているのだ。
いじらしさが垣間見えて、春盛は胸を
締め付けられる。くそ。今でもかわいい。
愛してる。ずっと、愛してるんだ。

「美也ちゃん。」

「きて。春くん。」




「ほんと、毎度屈辱だわ。」

自力で勃たない春盛を
美也子はしごき、しゃぶって
やっと硬くする。
すかさず自分の中に納める。

「っふ!」

美也子の中でしばらく動くと
感極まって射精する春盛。
美也子はもちろん達していない。
ぐったりする春盛を胸に抱く。
そうしていると、美也子はたまらなく
性器が疼いてくる。

春盛にキスしながら、小さくいく。





春盛はシャワーを浴びて
帰り支度をしている。
美也子は一人、ベッドで気だるそうに
シーツにくるまっていた。

「一つ訊いてもいい?美也ちゃん。」

春盛はスーツを着て、後は鞄を持つだけだ。

「なあに?」

いかにも、とっとと帰りなさいよという
空気を出して応じる美也子。

「何で、こんなことを?」

こんなこと、と言って
一番乗せたい気持ちは言えない。
二人とも言えなかった。

「あなたが一番ダメージを食う罰だからよ」

春盛はベッドに歩みより、ひざまづく。
横たわる美也子の唇に唇を寄せた。
触れるだけのキスで離れて微笑む。

「美也ちゃんだって、相当ダメージ
食らうじゃん。」

「キスは、上手ね。」

春盛はホテルを出る。
美也子はその後、いつも一人で
翌朝チェックアウトするのだが
春盛が尋ねれば、ボーイフレンドを呼んだわ
なんて見え見えの嘘をつく。

美也子は自分と春盛の匂いが混じる
ベッドで一晩過ごす。

何を思うのか。

知れば切ないことだが
聞いてみたい気もする。



お互い、こんな風に逢うのは
年に一度までにしようと思う。
次は来年か。
何年も後か。
美也子は彼に罰を与えるために
年間スケジュールをチェックする。

「春くんは滅多にしくじらないんだもの。
逢瀬は牽牛と織女よりも少ないのよね。」

美也子は気づいていないが
そんなことを思うときの彼女の顔は
とても純真で可憐なのであった。






















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