kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

2021年10月19日 | 年間ベスト3



3年近くも予告編だけを観てきただけに「ノータイム・トゥ・リリース」とか「リバイバルかと思った」とか「ダニエル・クレイグがもう1作、ボンド役をやった」とか勝手な思い込みが進行してそうな本作、ようやく公開。

【以下、ちょいネタバレあり】

今回もアバンタイトルからスタートだが、これが長い!作品名が最後に出るのかと思ったくらいで、なんと25分近くある。(上映時間も2時間44分とシリーズ中最長)しかも予告編映像の約半分はこの25分間に盛り込まれている。

ようやくメインタイトルが流れるが、いきなり「007ドクターノー」のタイトルデザインで始まるのだから、嬉しいじゃないか!
そう、本作は過去の007作品の総集編的な色合いがかなり強い。
このタイトル部分でも時計台やダイバーのシルエットが出てくるあたり、初期の007タイトルを彷彿とさせる。そういった意味でも本作未見の方には、事前に「女王陛下の007」や「007/カジノロワイヤル」「007/スペクター」は観ておかれたい。

ストーリー的には前作の続きとなっており、敵もスペクターと新たな敵サフィンの2本立て。

007ストーリーの王道として最初はアイテム探し。場所はキューバとなるが、アナ・デ・アルマス演じるパロマのドジっ娘のキャラとドタバタ感覚は「007ダイヤモンドは永遠に」や「007/死ぬのは奴らだ」時代、特にロジャー・ボンドのテイストを思い出させる。

そこからストーリーテイストが一変して、クレイグボンドのダークで身内の物語に重点を置いた展開になっていく。

MとかQとかノミとかボンド側のキャラクターに時間が割かれすぎているきらいがあるのは好きになれないが、その中で全編に登場する殺し屋プリモ(サイクロップス)がいい感じ。オッドジョブ、ジョーズ、スタンパー、ヒンクスの系譜をひく不死身だけどどっかツメの甘いキャラクター。ヴィラン好きとしてはうれしくなるなあ。

悪の組織が秘密基地を抱えているのは超重要だが、日本近郊にある〇〇施設っていうのは原作の「007は二度死ぬ」に出て
きた設定そのもの。よもやフレミング時代の設定を持ってくるとは思ってもみなかっただけに、ちょっとしたサプライズだ。

さらにサフィンの悪の施設もケン・アダムスのデザインを彷彿とさせて、「007/私を愛したスパイ」のストロンバーグのタンカー内観にソックリ。やはり総集編的なテイストがかなり強い。

この秘密基地でクライマックスを迎えるが、ここでワンシーンワンカットの戦闘シーンが登場する。よもや007でそんな描写があるとは思っても見なかった。

全編、新旧のテイストをまぶしながら上映時間の長さを感じさせない仕上がりだが、ただ、惜しむらくはヴィランのサフィンの存在感が薄いこと。犯罪の目的がイマイチはっきりしないし、ストーリー全体がボンド寄りの話になって、ボンドとサフィンがクライマックスまで対峙しない。やはり劇中、一度は顔をあわせて腹の探り合いと当てこすりの言い合いをしてほしい。

さて、次作と次ボンドがどうなるのか非常に気になるところだが、心配はいらない。原作の「007は二度死ぬ」→「私を愛したスパイ」の流れはまさに本作と次作を予期させるし、逆に映画で「女王陛下の007」でボンドの顔が変わった時には何の言及もなく、その後も代替わりしても誰も何も言わなかった。
最後にいつもより大きく「JAMES BOND WILL RETURN」と出たしね。






題名:007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
原題:NO TIME TO DIE
監督:キャリー・フクナガ
出演:ダニエル・クレイグ、ラミ・マレク、レア・セドウ、クリストフ・ヴァルツ

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