放課後…その後

　pixivでのｍ8様の素敵イラストとフォロワーの皆さまのその後のお話が神がかっていたので、ついつい私も便乗してその後妄想。
　↑のような経緯があるので、この小話には皆さんのご意見も少しづつ入っています。なお文責はあくまで私にあります。

　
　ということで以下、【放課後～その後】です。少々、肌色注意ですので読まれる方をお気をつけてくださいませ。

　
　まずはm8様の素敵イラストをどうぞ。



　ここは帝丹中学。放課後の静かな教室で読書をしていた灰原さんにこっそり近づいてきた江戸川君が何やらイケないことをしかけています。
「ちょ、工藤く…」
「学校では『江戸川』って呼べよ」
「こんなところ、誰かに、見られたら」
浅く深く繰り返される唇の間にコナンを押しとどめようとするも、どんどん抜けていく力で必死に机の端を握りしめた。もうこうなっては抗えないのはいつもの事、と甘美な誘惑に哀は瞳を閉じた。
しばらく交わされる口づけに身を委ねていた哀は息を継ぐ合間の「しゅるり」という衣擦れの音に慌てて目を開くと、セーラー服の引き抜かれかけたスカーフを咥えたまま悪戯っぽく笑うコナンと目があった。
「…江戸川君、駄目よ」
「こんな時間に誰もこねえよ」
「でも、こんなところで」
「大丈夫だって。最後まではしねえから」
「そ、そういう問題じゃな…」
不埒な手がスカートのホックに伸びてきたところでさらに抵抗しようとすると、シャッと音がして一瞬視界が暗くなる。顔を上げるとコナンが片手で遮る様にカーテンを引いていた。
「な、これなら平気だろ？」
カーテンで区切られて広い教室の中なのにまるで二人っきりで隔絶されているような気がした。ゆっくりとさらにスカーフを引き抜こうとするコナンに今度は哀も抵抗しなかった。

　と、その時。不意に数人の声がして教室の扉がガラリと開いた。入ってきたのは歩美、元太、光彦の少年探偵団の面々だった。とっさに扉の方に目をやる哀とコナンと三人の視線が絡む一瞬の沈黙の後、最初に声を上げたのは意外にも元太だった。
「カーテンなんか引いて何してんだ？オメーら」
「あ、や、オレ達は…」
キョトンと問われようやく出た言葉に光彦の裏返った声が重なる。
「コ、コ、コナン君！こ、こ、こんなところで！な、なんという事を！」
「おい、光彦。なんでオメーも真っ赤になってんだ？」
「コナン君が教室でとんでもない事をしてるからですよっ！」
「とんでもない事って何だ？なあ、コナン何してたんだ」
「べ、別にオレ達は何も…」
「ってか、何でオメーまで真っ赤なんだよ」
「やっぱり赤くなるようなことをしてたんですね！コナン君！」
「赤くなんかなってねーよ！！」
元太に問われ、光彦に詰め寄られシドロモドロになっているコナンの横でさっさと服装を整えて、机から降りた哀の所にそっと近寄ってきたのは親友の歩美だ。
「あ、哀ちゃん…///」
首元まで真っ赤にしてこちらに何か問た気に上目使いで見つめる姿が愛らしい。
「吉田さん、もう帰るのなら一緒に帰りましょう」
「え、で、でも」
チラリと視線を向けた先は元太と光彦に囲まれていよいよ進退窮まったコナンの姿だった。
「あんな人、ちょっとくらい困ればいいのよ」
助けを求めて目で訴えるコナンを哀はジト目で睨む。
「私に聞きたいこともあるんでしょ？」
「う、うん。…でも、良いの？」
「貴方には隠し事はしたくないから」
そう言って傍らに置いてあったカバンを手に取った哀に、「うん」と嬉しそうにうなずいて歩美が追いかける。
「そういえばいつものカフェ、今日から新作が出てるんですって」
「え？ホントに！何だろ～」
楽しげに出ていく女子二人の背中では未だに元太、光彦、コナンの賑やかな声が響いていた。