goo blog サービス終了のお知らせ 

◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

12月30日-31日

2013-12-31 06:32:42 | Weblog

12月31日

●小口泰與
歳晩や木々を賑わす風の神★★★★
うたた寝の夢のうたかた師走かな★★★
行く年や上り下りの峠道★★★

●桑本栄太郎
<孫のいる山口の新家族訪問>
年尽くる旅のはじめや新幹線★★★
瀬戸内の冬日きらめく明石かな★★★
徳山の煙突けぶり年暮れぬ★★★

●古田敬二
ボヘミアの霜の森から子らの声★★★★
カラフルな帽子が動く霧氷林★★★
霜の林映してブルダバ川静か★★★

12月30日

●小口泰與
山風にあまなう木々や桜鍋★★★
はたはたと古し暖簾やおでん鍋★★★

雪吊や雲版叩く僧の昼★★★★
雪深いところの禅寺を訪ねると、雪吊がしてあり、僧は雲版を叩いて昼の時を知らせる。辺りに雲版の音が響く、墨絵のような雪景色が想像できる。(高橋正子)

●多田有花
天水桶氷の下の緋鯉かな★★★
県外のナンバー増えし小晦日★★★

一年の歩き納めや小晦日★★★★
「歩き納め」というのが、面白い。しかも、大晦日ではなく小晦日を。普段は増位山に難なく登って楽しんおられ、トレッキングはお手の物。大晦日は、一年の最後の日を大切にとっておかれるのだろう。

●桑本栄太郎
エンジンの噴かして長き冬の朝★★★★
冷え込んだ霜の朝など、自動車のエンジンがかかりにくい。しばらく噴かしているのも、冬の朝の光景として目にするが、句にしたのは読んだことがない。(高橋正子)

ちりちりと白く粧い山眠る★★★
日翳れば峰に仄かに雪の山★★★
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月29日

2013-12-29 07:58:31 | Weblog
●小口泰與
夕映えの雲のあふらる枯葉かな★★★
風呂吹や赤城を出づる風の神★★★
天ざかる里に住みおり空っ風★★★

●古田敬二
 ドボルザーク生家 ネラホゼベス
段々に霜深くなる村に着く★★★
霜平原遠くに動くトラクター★★★
霜の降る林を縫って鉄路伸び★★★

●多田有花
毛糸編む母晩年の楽しさに★★★★
毛糸を編む楽しさは、それが少しずつ出来上がってゆくところにある。そして自分ひとり座る場所があれば、どこでもできること。外国の老婦人が椅子に腰掛けてレース編みをしている絵や写真をよく見るが、晩年の楽しみはささやかで、美しく、楽しいものができるのがいい。(高橋正子)

年の暮二つの峰をたどりゆく★★★
広峯神社迎春準備の活気かな★★★

●桑本栄太郎
初雪やうつすら白き峡の底★★★
年の瀬の階段走る宅急便★★★
数え日やひと日暮れゆく青き空★★★

●小川和子
磨きあぐ玻璃に映れる庭水仙★★★
冬麗の富士の真白よ気高さよ★★★
車窓より忽然と見ゆ雪の富士★★★

●小西 宏
冬日青く輝く朝の窓磨き★★★

窓ガラス磨き明るき冬木立★★★★
磨いた窓ガラスを通して見える冬木立が凛々しく鮮明だ。(高橋正子)

拳骨の古き裸木百日紅★★★

●川名ますみ
玄関にりんご置きましたとメール★★★★
りんごを送っていただいたのか。玄関にりんごを飾って、出入りのたびにたのしみ、来客にも楽しんでいただく。明るいりんごの色や形になごむ。そのことをうれしくてメールした。(高橋正子)

やや蒼きローリエを入れ冬うらら★★★
てっちりに兄妹湯気も分けあいぬ★★★
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月28日

2013-12-28 09:19:47 | Weblog
●古田敬二
霜溶けてブドウ畑のきらきらと★★★★
白樺の枯木の中から鐘の音★★★
連結電車霜置く坂を登り来る★★★

●小口泰與
冬凪や荒れ田にぎわす明烏★★★
風に乗る数多の鳶や年の暮★★★★
鳶がやたら多く空に舞うときがある。それぞれが自在に風に乗って、地上の年の暮を見ているかのような景だ。(高橋正子)

烈風に馴染みし庭の枯木かな★★★

●迫田和代
願いあり土手道に咲く冬桜★★★★
晩秋から冬にかけて咲く冬桜。か細い枝に花もはかなげに咲いている。それは、作者の願いを表しているようでもある。(高橋正子)

咳三つ残して走る寒い朝★★★
どちらかと言えば寒さに力あり★★★

●祝恵子
冬菜につく青虫の温さつまむ★★★
賀状に添ゆ子らそれぞれに言葉入れ★★★

時雨るるよ短き髪となり街へ★★★★
美容室で髪を切ってもらって外へでると、時雨が降って、首筋あたりがぞっと寒くなる。さっぱりとなったが、時雨の冷たさに襲われた。一抹のわびしさ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
張替えの終えて明るき白障子★★★
そうじ終え窓の暮れゆく日短★★★

蕪村忌の水色空の暮れゆけり★★★★
蕪村忌は12月25日。蕪村は画家でもあり、句柄にも抒情があるので、年の瀬となった水色の空は、蕪村の忌日にふさわしく思える。(高橋正子)

●多田有花
雪積んで北より車の来たりけり★★★
樒入る墓前の花筒初氷★★★

数え日や祖父母の墓に水注ぐ★★★★
今年も残るところ少なくなった。正月を前に祖父母の墓をきれいに掃除し、水を注ぐ。遠い祖先ではなく、祖父母の墓なので、水を注ぐ思いに現実感がある。(高橋正子)


●黒谷光子
山々も村も隠して雪しまく★★★

靴跡にわが靴を置く雪の道★★★★
雪深い湖北にお住いの作者。雪道を歩くのに、先に歩いた人の靴跡に靴を置いて歩く。その靴跡も次に歩く人にはすでに道なのだ。雪は用心して、歩くにこしたことはない。(高橋正子)

地場野菜買う歳晩の道の駅★★★

●川名ますみ
外套を叩き芝居の雪一枚★★★★
外套を叩き軽く外出の埃を払うと、芝居のときに振りまかれた雪の一片がはらりと舞い落ちた。芝居の雪が作者のコートに降ったわけだ。
観客も芝居の中に取り込まれた格好で、さぞやよい舞台であったろう。(高橋正子)

コートから十年前の紙吹雪★★★
ブーツにも忠臣蔵の雪紛る★★★
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月27日

2013-12-27 08:21:53 | Weblog
●小口泰與
冬凪や赤城のすそ野とびの舞う★★★
虎落笛耳はりづめの小犬かな★★★
底冷えや鶏の足跡おちこちに★★★

●河野啓一
鳥声優し今日は天皇誕生日★★★★
今生天皇は12月23日が誕生日。うららかな日を賜り、小鳥の声も優しい。天皇のお人柄がしのばれもする。(高橋正子)

年納め近付きつつも小春かな★★★
庭雀氷雨のなかの朝餉かな★★★

●古田敬二
(ブルダバ=モルダウ)
ブルダバの冬霧の中陽が昇る★★★
霜真っ白陽が射し来るまでの街の色★★★★
「陽が射し来るまでの街の色」がいい。特に「街の色」で止めたので、句の情景が鮮明になった。(高橋正子)

プラハ城霜の斜面の丘の上★★★

●多田有花

ワイパーににじむ年の瀬の光★★★

頂の切り払われし年の暮★★★★
頂きの神社やお寺だろうか。いただきが切り払われさっぱりとし、見晴らしもよくなった。年迎えの用意が済んだ年の暮のすがすがしさがよい。(高橋正子)

手をつなぐ母子歳暮の交差点★★★

●桑本栄太郎
冬晴れの掃除日和の朝かな★★★
段取りの手間もひとつや年用意★★★★
なにごとも、準備や段取りが必要。この手間も年用意の仕事の一つである。これをしっかりすれば、手際よく用意ができるというもの。(高橋正子)

手拭いを被り意気立つ煤払い★★★


●川名ますみ
てっちりのゆげ兄妹を行き交えり★★★
不器用に雑炊よそう妹へ★★★
雑炊を伯父によそわれている母★★★

●小西 宏
山茶花の白土に敷きまた蕾★★★
ぶらんこの揺れぬ鎖や冬の雨★★★
ほの赤くけぶる桜の枯木立★★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月26日

2013-12-26 10:16:53 | Weblog
●小口泰與
釣竿を磨きながむや日脚伸ぶ★★★
空風や番茶と飴を卓上に★★★★
空風の吹く寒い日、テーブルには番茶と飴が置かれている。寒い日は飴を一つほおばって、お茶でも暖を取りたくなる。(高橋正子)

米を炊く水のやわしや冬落暉★★★

●祝恵子
浮かべ入れ香りと遊ぶ柚子の風呂★★★★
「香りと遊ぶ」がいい。湯に浮かんだ柚子wあちこちやりながら、その香りをたのしむ。楽しむより香りで遊ぶ。きれいな柚子風呂。(高橋正子)

クリスマス久しぶりに聞く子らの声★★★
冬野菜漬物講座の掲示板★★★

●桑本栄太郎
冬ざれの竹林透かし風抜ける★★★
夕暮れの絮の灯かりや枯尾花★★★★
夕暮れの枯尾花が、ほうっと灯りが点ったように浮き上がって見える。幻想的な風景。(高橋正子)

行く年のつなぐ縁(えにし)や賀状書く★★★

●多田有花
椿咲き初め快晴のクリスマス★★★★
快晴の空の下に、椿がくっきりと咲き始めた。折しもクリスマス。日本のクリスマスは椿の咲き始めで迎えられることも。(高橋正子)

ばりばりと壁より剥がす古暦★★★
数え日の河原を濡らす静かな雨★★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする