◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

7月30日-31日

2013-07-31 06:58:48 | Weblog

7月31日(水)

●小口泰與
浅間嶺の西日呑み込む火口かな★★★
夕さりの瀞の坩堝へ投網打つ★★★
びしょぬれの子犬や夕立上がりたり★★★

●渋谷洋介
夾竹桃上り急行通過せり★★★★
じりじりと灼熱の陽が照りつける頃に咲く夾竹桃。その花を次々と人を乗せてきた上りの急行列車が通過する。ただそれだけのことなのに、その風景に、上り急行は復員列車かもしれないという思いが重なる。(高橋正子)

何時からか通らぬ路に栗の花★★★
葉隠れに彩を深むや青蜜柑★★★

●迫田和代
青田風色を伴いあちらから★★★
日傘閉じ川風そよぐ木陰へと★★★
向こうから架け橋のごと夏の虹★★★

●藤田裕子
朝蝉の四方つぎつぎ湧き出づる★★★
遠花火おそめの夕餉始まれり★★★
光りつつ天空ゆるがす遠花火 ★★★

●桑本栄太郎
緑蔭の樟の大樹や医大前★★★
追い越して青田突き抜け新幹線★★★
父も子も背中にリュックや夏休み★★★★

●小西 宏
守礼門ガシャガシャと蝉かがやかし★★★
洞窟の青にゆらめく熱帯魚★★★
夏海の果てに雲おき夕暮れる★★★★

7月30日(火)

●小口泰與
薄情な風の散らせる百日紅★★★
あけぼのの石から草へ糸とんぼ★★★
ひまわりや笠懸の的綾藺傘★★★

●桑本栄太郎
うすき黄のオクラの花の朝涼し★★★★
あじさいの蒼色残し朽ちにけり★★★
冷奴ブランドネームは”男まえ★★★

●佃 康水
開け放ち仏具磨けば蝉時雨★★★★
お盆の支度であろう。朝まだ涼しいうち、襖や戸も開け放ち、仏具を磨く。すると蝉時雨が押し寄せる。先祖のこと、敗戦にまつわる記憶など、さまざまな思いがよぎる。(高橋正子)

蹲踞へ置かれ涼やか瑠璃茉莉★★★
旧家解く匂い立ちたる炎暑かな★★★

●小西 宏
夕立の煙の重し竹林★★★
夕立に清らとなりぬ蝉の声★★★
木の下に夕立を聞くとき優し★★★


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●投句箱7月22日~7月31日●

2013-07-29 08:17:34 | Weblog
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
コメント (81)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月29日(月)

2013-07-29 05:26:03 | Weblog
●小口泰與
萱草の花や赤城のちぎれ雲★★★★
ざわざわとざわつく草や雷近し★★★
青蛙赤城より雨走り来る★★★

●桑本栄太郎
廃屋の屋根に盛りやさるすべり★★★
白花の朝の静寂ダリア咲く★★★★
小松菜の畝の数多や朝涼し★★★

●多田有花
夕立のあがりし街へ戻りけり★★★★
夕立が降った時はよその街にいたか。帰ってみると街は夕立があがって、さっぱりとした涼しさがある。洗いたての街はいいものだ。(高橋正子)

中空に高く日を浴び入道雲★★★
にわか雨あがれば蜩の森へ★★★

●高橋秀之
真ん丸い夕日の前に富士の山★★★
雨上がりの夏空夕日が染めあげる★★★★
浅漬けの胡瓜一皿夕の膳★★★

●藤田洋子
公園の木々を繋いで蝉の声★★★
一斉に蝉の沸き立つ山に入る★★★
少年ら蝉を鳴かせて手の中に★★★★
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月28日(日)

2013-07-28 08:15:57 | Weblog

●小口泰與
梔子の香のおりおりの朝かな★★★
夕さりの赤城をかくす雲の嶺★★★
低く咲くねじ花の風低きかな★★★★

●桑本栄太郎
白粉の花の黄色や朝の辻★★★★
白粉花は、夕方から咲く花であるが、朝まだ早いうちは咲きの残っている。朝の辻に黄色い白粉花を見つけた。赤や白い花ではなく、黄色なので、月の色の名残のようでもある。「朝の辻」が涼しい。(高橋正子)

米の香のほのと乗り来る青田波★★★
菜園の朝のしじまやカンナの黄★★★

●多田有花
ひぐらしの木陰抜け六甲最高峰★★★
額紫陽花夏の終わりの六甲山★★★
六甲の汗を有馬の湯に流す★★★

●高橋秀之
夜が更けてそっと片手に夏帽子★★★
大皿に溢れんばかり冷奴★★★★
風呂上り団扇ふたつで風送る★★★

●古田敬二
一本の曲がるものなき木賊かな★★★
名刹の木賊一本も曲がらずに★★★
蝶舞えり入道雲の伸びる空★★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7月27日(土)

2013-07-27 04:22:15 | Weblog

●祝恵子
紅蓮にトンボ小さく彩をつけ★★★
空入れて蓮池水面に花の影★★★
池の風届く高さに泰山木★★★★

●迫田和代
蝉しぐれこぼさず立ちし大樹かな★★★★
大樹は桜の大樹であろうか。蝉しぐれがその木からこぼれ出ない。それほどにしっかりと蝉の声を包みこんだ大樹の風格はすばらしく、どっしりとした人間を見るようだ。(高橋正子)

朝日浴び鳩が空飛ぶ原爆忌★★★
被爆しただのに青々青桐や★★★

●小口泰與
千曲川鮎の長竿かがよえり★★★★
川風に銀鱗はねし簗場かな★★★
凌霄や赤城の空のいぶし銀★★★

●桑本栄太郎
靴濡らし朝の田道や露涼し★★★
青いちじく朝の田道の香りけり★★★
あいさつを交わす田道や朝涼し★★★★

●佃 康水
巨船ゆく沖へはだかる雲の峰★★★
日覆いを上げて目高の様子見る★★★
罅割れし青田へ田水染みわたる★★★★

●川名ますみ
うす紅も編まれし母の夏帽子★★★★
母にまだある若さと可愛さをほほえましく、ある意味母親的まなざしで思う娘である。明るいうす紅が涼しさを呼んでくれる。(高橋正子)

遠花火さがせば広き窓の外★★★
空蝉やビルの垣根の小さき葉に★★★

●古田敬二
大木によれば涼風うまれけり★★★★  
森静か遠くに蝉の音聞くばかり★★★
蚊帳釣り草一人で裂くはさびしかり★★★

●高橋秀之
この視線浴びて一息浮き袋★★★
顔つけてバタ足させてプールの子★★★
子を追うて潜るプールは水浅し★★★★
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする