◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/2月21日~28日

2017-02-23 10:50:13 | Weblog

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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http://www.21style.jp/bbs/kakan02
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今日の秀句/2月21日~28日

2017-02-23 10:49:44 | Weblog

2月28日(3句)

★充実といえるひと月二月尽/多田有花
一月の落ち着かなさが過ぎ厳寒の二月が「充実の月」と言うのは、十分に共感できる。充実の月が過ぎ、うきうきとした春が来る。(高橋正子)

★鯉こくや浅間南面雪のひま/小口泰與
花冠の水煙時代の大会を小諸で開いたことがあったが、その時に、佐久の鯉こくを頂いた。若草の萌える季節を思いつつ雪の残る中でいただく鯉こくは何よりの馳走であろう。(高橋正子)

★東風の瀬戸高速船の波しぶき/谷口博望 (満天星)
東風の瀬戸内海の光景が今も懐かしく思い浮かぶ。まさにこの通りの風景だ。波にもまれながらも、飛沫をあげて突き進む高速船が、小気味よい。(高橋正子)

2月27日(2句)

★三月の足音近し髪を切る/多田有花
下五の「髪を切る」は、女性の行為であろうが、生活に即したリアルな表現である。一句をしっかりと言い終えた。(高橋信之)

★田楽や辛口の酒酌み交わす/廣田洋一
「田楽」には、懐かしい思い出がある。幼いころは、旧満州の寒い地方で育った。大連である。緯度は北海道の札幌と同じであった。雪はあまり降らなかったが、冷たい風が吹き荒れた。旧制中学3年の春に引き上げて帰った。私はまだ、未成年だったので、「酒酌み」交わすことはなかったが、父が酒好きだったので、「酒酌み交わす」風景が日常生活にあった。「田楽」は春の季語で、「木の芽田楽」等とよく使う。春先の田楽の味噌は甘め。酒は辛口で、きりっとしめたいものだ。高橋信之)

2月26日(3句)

★喉通る鶯餅と茶の香/谷口博望 (満天星)
「鶯餅」と「茶の香」との取り合わせは、特に目新しいものではないが、日本人の誰もが思い出せば、嬉しくなる。上五の「喉通る」は、実にリアルであり、俳句ならではの写実を感じさせ、いい俳句だ。作者の日頃の精進を嬉しく思う。(高橋信之)

★梅が枝のつくるトンネル歩きけり/多田有花
この句は軽い句である。そして、いい句だ。秀句であると、言ってよい。(高橋信之)

★注文の球根届き春めきぬ/廣田洋一
読み手も嬉しくなる句。下五の「春めきぬ」が嬉しいのだ。私の好きな句。(高橋信之)

2月25日(2名)

★山めぐり靴より落とす春の泥/多田有花
山めぐりでよく見かけるが、印象深い風景だ。作者の体験があって、リアルだ。これが俳句なのだ。(高橋信之)

★うららかや詰所の看護師透る声/河野啓一
「うららか」である。療養中の身には嬉しい看護師の「透る声」だ。(高橋信之)

2月24日(2名)

★拭きあげし窓より春めく光入る/多田有花
いい生活句だ。私の好きな句。(高橋信之)

★菫咲く雨の雫を光らせて/廣田洋一
「菫咲く」雨の菫の存在は軽いものではない。下五に置いた「光らせて」が軽いものではないのだ。(高橋信之)

2月23日(3名)

★順々に咲く梅日ごと愛で歩く/多田有花
梅の開花は一度でなく、暖かくなる日ごとの温みにあわせたように、日々花を咲かせてくれる。歩けば、今日さいている梅の花に出会う。(高橋正子)

★芽柳や床体操の女学生/小口泰與
芽柳のしなやかさ、床体操をするしなやかな女学生。みずみずしい、やわらかな若さが通じ合う。(高橋正子)

★曲りたる被爆九輪は春の色/谷口博望 (満天星)
被爆した九輪が春の色として目に映る。春めいた空に緑青色の九輪がゆがんだままに聳えている。祈られるべき九輪。(高橋正子)

2月22日(2句)

★たんぽぽや妻の思ひ出湧き出づる/廣田洋一
妻との思い出が具体的にはわからないが、たんぽぽが散らばり咲いている、野の風景が、さらさらとした光の中に浮かんでくる。(高橋正子)

★びょうびょうと風が耳過ぎ揚げ雲雀/桑本栄太郎)
風がびょうびょうと耳元を過ぎてゆく寒さながら、雲雀が空高く揚がっている。高らかな雲雀の歌声に一点の春が見つかる。イタリアでは、早春のことをかわいい春、小さい春とも言うと昨夜ラジオ深夜便のイタリアだよりで聞いた。(高橋正子)

2月21日(2句)

★青空を背景に紅梅を写す/多田有花
素直な句だ。その「素直な」写生がいい。「青空」と「紅梅」の唯それだけで、風格を感じさせる句だ。(高橋信之)

★風光る初めてできた逆上がり/廣田洋一
写生句であろうか。それとも思い出の句であろうか。いずれにしてもいい句だ。上五に置いた季題の「風光る」は、まさに「季」であり、「題」である。そして、それに続く「初めて」がいい言葉だ。作者の想いを載せた「いい言葉」なのだ。(高橋信之)
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2月21日~28日

2017-02-23 10:49:02 | Weblog

2月28日(5名)

●多田有花
充実といえるひと月二月尽★★★★
一月の落ち着かなさが過ぎ厳寒の二月が「充実の月」と言うのは、十分に共感できる。充実の月が過ぎ、うきうきとした春が来る。(高橋正子)

青空に囲まれている春の山★★★
梅東風に吹かれ海辺の発電所★★★

●小口泰與
鯉こくや浅間南面雪のひま★★★★
花冠の水煙時代の大会を小諸で開いたことがあったが、その時に、佐久の鯉こくを頂いた。若草の萌える季節を思いつつ雪の残る中でいただく鯉こくは何よりの馳走であろう。(高橋正子)

魔が差して足滑らせる雪の果て★★★
あれこれと心動かす春の宵★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の瀬戸高速船の波しぶき★★★★
東風の瀬戸内海の光景が今も懐かしく思い浮かぶ。まさにこの通りの風景だ。波にもまれながらも、飛沫をあげて突き進む高速船が、小気味よい。(高橋正子)

寄せる波若布掻けたる長き棹★★★
浅利掘る瀬戸の磯辺やとんび舞ふ★★★

●廣田洋一
屋根雪を滑り落とせし東風吹きぬ
屋根雪を滑り落として東風吹きぬ★★★★(正子添削)

春雨に濡れたる屋根の黒光り★★★
春光や白き壁映ゆ赤き屋根★★★

●桑本栄太郎
<山陽新幹線車窓吟行>
ものの芽や揖保川さざれ石の原★★★
トンネルを過ぎて広島春の旅★★★
春日さすカルスト台地や山口に★★★★

2月27日(5名)

●谷口博望 (満天星)
相聞の馬酔木の花を掌に★★★
初桃や番の鴨が池の中(原句)
桃の花番の鴨が池の中★★★★(正子添削)
金縷梅や穴のあきたる烏瓜★★★

●多田有花
三月の足音近し髪を切る★★★★
下五の「髪を切る」は、女性の行為であろうが、生活に即したリアルな表現である。一句をしっかりと言い終えた。(高橋信之)

自転車を春の頂に据える★★★
春淡き本堂に入り龍を見る★★★

●小口泰與
春嶺の容やわかよ榛名富士★★★
片栗や棚田を満たす水奔る★★★★
上州のほうれん草や風の日日★★★

●廣田洋一
焼味噌に柚子を一滴田楽かな★★★
焼鳥と共に出される田楽かな★★★

田楽や辛口の酒酌み交わす★★★★
「田楽」には、懐かしい思い出がある。幼いころは、旧満州の寒い地方で育った。大連である。緯度は北海道の札幌と同じであった。雪はあまり降らなかったが、冷たい風が吹き荒れた。旧制中学3年の春に引き上げて帰った。私はまだ、未成年だったので、「酒酌み」交わすことはなかったが、父が酒好きだったので、「酒酌み交わす」風景が日常生活にあった。「田楽」は春の季語で、「木の芽田楽」等とよく使う。春先の田楽の味噌は甘め。酒は辛口で、きりっとしめたいものだ。高橋信之)

●桑本栄太郎
<二人目の孫一歳の誕生祝い>
新幹線”のぞみ”は西へ春の旅★★★
ものの芽の山川つづく車窓かな★★★★
一升餅背負い歩めば風光る★★★

2月26日(5名)

●谷口博望 (満天星)
喉通る鶯餅と茶の香★★★★
「鶯餅」と「茶の香」との取り合わせは、特に目新しいものではないが、日本人の誰もが思い出せば、嬉しくなる。
上五の「喉通る」は、実にリアルであり、俳句ならではの写実を感じさせ、いい俳句だ。作者の日頃の精進を嬉しく思う。(高橋信之)

もてなしの和服姿や梅茶会★★★
ひーふーみー河津桜の咲きにけり★★★

●多田有花
梅が枝のつくるトンネル歩きけり★★★★
この句は軽い句である。そして、いい句だ。秀句であると、言ってよい。(高橋信之)

枝払われすっきり立てる二月の杉★★★
青空へ銀ねずの艶ねこやなぎ★★★

●小口泰與
魚影の奔る早瀬や雪解風★★★★
まんさくや雪には為らず里の雨★★★
海猫渡る毎夜冷たき足の裏★★★

●廣田洋一
注文の球根届き春めきぬ★★★★
読み手も嬉しくなる句。下五の「春めきぬ」が嬉しいのだ。私の好きな句。(高橋信之)

春めくや花粉予報の始まりぬ★★★
プランターの雑草抜きて春めけり★★★

2月25日(5名)

●谷口博望 (満天星)
白昼夢隣の庭の枝垂梅★★★
藤の莢弾けて揺るる余寒かな★★★★
透き通る梧桐の莢や冴返る★★★

●多田有花
山めぐり靴より落とす春の泥★★★★
山めぐりでよく見かけるが、印象深い風景だ。作者の体験があって、リアルだ。これが俳句なのだ。(高橋信之)

朝の雨宿し白梅匂いけり★★★
春昼の沖にくっきり小豆島★★★

●小口泰與
犬ふぐり利根の川幅自ずから★★★
釣人の面へ羽音やひらた虻★★★
猫柳風の中にて光帯び★★★★

●廣田洋一
捨畑の枯草そよぐ東風吹けり★★★★
波の音少し静まる東風の浜★★★
夕東風の灯り見ながら帰り道★★★

●河野啓一
うららかや詰所の看護師透る声★★★★
「うららか」である。療養中の身には嬉しい看護師の「透る声」だ。(高橋信之)

綾線を軽く光らせ日は上る★★★
稜線の影の如くに春の雲★★★

2月24日(4名)

●多田有花
拭きあげし窓より春めく光入る★★★★
いい生活句だ。私の好きな句。(高橋信之)

雲東へ流れて春の播磨灘★★★
ガスレンジ清掃をする春めく日★★★

●小口泰與
妻の雛納戸深くに在りにけり★★★★
洗髪のついと乾くや雪解風★★★
絨毯につまずく老いの余寒かな★★★

●廣田洋一
菫咲く雨の雫を光らせて
「菫咲く」雨の菫の存在は軽いものではない。下五に置いた「光らせて」が軽いものではないのだ。(高橋信之)

採られざる赤蕪光る春の畑★★★
若き梅未だ枝垂れず紅き花★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の波寄せては散りぬ瀬戸の磯★★★
凛々と雄木の銀杏や実朝忌★★★★
磯松へ波の砕けて実朝忌★★★

2月23日(6名)

●多田有花
冴返る空に金星光りおり★★★
順々に咲く梅日ごと愛で歩く★★★★
梅の開花は一度でなく、暖かくなる日ごとの温みにあわせたように、日々花を咲かせてくれる。歩けば、今日さいている梅の花に出会う。(高橋正子)

朝の雨春めく雨と思いけり★★★

●小口泰與
猫の棲む空き懐や春浅し★★★
芽柳や床体操の女学生★★★★
芽柳のしなやかさ、床体操をするしなやかな女学生。みずみずしい、やわらかな若さが通じ合う。(高橋正子)

アイホンへ指走りけり鳥雲に★★★

●廣田洋一
菫咲く雨のしずくを光らせて★★★★
緑の野紫加へ菫咲く★★★
菫咲く夢見し頃の妻偲ぶ★★★

●桑本栄太郎
丘上に詩歌給いぬ青き踏む★★★★
堰水の飛沫きらめき風光る★★★
巻上げのうなじ白きや春ショール★★★

●谷口博望 (満天星)
東風の波節理へ寄せて砕けたり★★★
曲りたる被爆九輪は春の色★★★★
被爆した九輪が春の色として目に映る。春めいた空に緑青色の九輪がゆがんだままに聳えている。祈られるべき九輪。(高橋正子)

残生の自分探しや辛夷の芽★★★

2月22日(6名)

●廣田洋一
たんぽぽや風が運びし庭に咲く★★★
蒲公英の飛ぶを見送る媼かな★★★
たんぽぽや妻の思ひ出湧き出づる★★★★
妻との思い出が具体的にはわからないが、たんぽぽが散らばり咲いている、野の風景が、さらさらとした光の中に浮かんでくる。(高橋正子)

●小口泰與
早春の鷺の動かぬ川辺かな★★★
春寒しあき部屋多き分教場★★★★
近き世は水あまねしか石鹸玉★★★

●谷口博望(満天星)
残生の自分探しの春山河★★★★
浮いて来ぬ観音様の春の鯉★★★
亀鳴くや暗殺といふ白昼夢★★★

●多田有花
ダウン着てテニスコートへ寒もどり★★★
春めく森に野鳥呼ぶ人遊ぶ人★★★
海望む頂にありし古巣かな★★★★

●桑本栄太郎
ものの芽の色めき立ちぬ日射しかな★★★
丘の上に詩歌給うや青き踏む★★★

びょうびょうと風の耳過ぐ揚ひばり(原句)
びょうびょうと風が耳過ぎ揚げ雲雀★★★★(正子添削)
風がびょうびょうと耳元を過ぎてゆく寒さながら、雲雀が空高く揚がっている。高らかな雲雀の歌声に一点の春が見つかる。イタリアでは、早春のことをかわいい春、小さい春とも言うと昨夜ラジオ深夜便で聞いた。(高橋正子)

2月21日(6名)

●小口泰與
千切れ雲触れればやわき猫柳★★★
風走るシャッター街の風車★★★★
巻頭と同人になる春の夢★★★

●多田有花
青空を背景に紅梅を写す★★★★
素直な句だ。その「素直な」写生がいい。「青空」と「紅梅」の唯それだけで、風格を感じさせる句だ。(高橋信之)

梅の咲く寺に響きし人の声★★★
紅白の梅青空に枝交え★★★

●廣田洋一
せせらぎの流れ早まり風光る★★★
女子アナのお腹ふくらみ風光る★★★
風光る初めてできた逆上がり★★★★
写生句であろうか。それとも思い出の句であろうか。いずれにしてもいい句だ。上五に置いた季題の「風光る」は、まさに「季」であり、「題」である。そして、それに続く「初めて」がいい言葉だ。作者の想いを載せた「いい言葉」なのだ。(高橋信之)

●古田敬二
七草になれずひそやかいぬふぐり★★★
猫車いぬのふぐりを踏まぬよう★★★
全身に森の春光俳誌読む★★★★

●桑本栄太郎
窓を開け春の吹雪の躍りけり★★★
蒼天の楽譜となりぬ銀杏芽木★★★
土くれの白き田面や風光る★★★★

●満天星
橡の木の芽吹く枝々体育館★★★
栴檀のひこばえ伸びる遊園地★★★★
碧空へ右往左往の辛夷の芽★★★
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自由な投句箱/2月11日~20日

2017-02-12 11:51:53 | Weblog

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今週の秀句/2月11日~20日

2017-02-12 11:50:32 | Weblog

2月20日(2句)

★さえずりや和紙につつまる金平糖/小口泰與
「金平糖」は、私にとっても、子供の頃の懐かしいお菓子だ。その形といい、その色といい、懐かしいのだ。上5の「さえずり」、中7の「和紙」、下5の「金平糖」と続く、その取り合わせのイメージも懐かしさをかき立てる。(高橋信之)

★暖かや明るき川に黒き土/廣田洋一
「黒き土」にいきいきとした喜びがある。暖かくなった川の明るさにも長い冬に耐えた心をほっとさせる力がある。
自然はいいものだと思う。(高橋正子)

2月19日(6句)

★産土は良したらの芽と蕗の薹/小口泰與
「たらの芽」と「蕗の薹」は季節のもので、私の好物。見て良し、食べて良し、である。(高橋信之)

★梅が香のなかを通るを日課とす/多田有花
特に詩的だというわけではないが、下五の「日課とす」がいい。「生活の中」であることがいいのだ。(高橋信之)

★綿帽子ちぎって投げて青い空/河野 啓一
上五から中七への作者の行為が下五の「青い空」という大自然とうまく溶け合って一句が完成した。いい句だ。日常のさり気ない行為が大自然の中の一風景となった。いい風景だ。(高橋信之)

★三世代揃いて暮らす枝垂梅/廣田洋一
「三世代」を俳句に詠みこむことは簡単ではないが、いい句だ。下五の季題「枝垂梅」の働きがいい。(高橋信之)

★衒いなき雑木林の野梅かな/桑本栄太郎
季語「野梅」をうまく捉え、作者の想いが表された。(高橋信之)

★朴の芽よ高きをめざせ山よりも/谷口博望(満天星)
中七の「高きをめざせ」はやや大仰なのだが、「大仰」であることも時には良しとされてもいい。(高橋信之)

2月18日(2句)

★枝垂梅動き出したる池の鯉/谷口博望(満天星)
冬の間動きが大変に鈍かった池の鯉は、梅が咲き始めると、水の温みに動き始める。生き生きとした暖かい季節がまた廻って来たことが心よりうれしい。(高橋正子)

★見るたびに移る狭霧や奥丹波/河野啓一
奥丹波の山深さを「見るたびに移る狭霧」に、あきらかに指し示された実感がある。空気の冷涼感と共に狭霧の動きが目に見える。因みに「狭霧」は秋の季語。(高橋正子)

2月17日(1句)

★春一番一つ踏ん張り歩き出す/廣田洋一
17日は3月下旬ごろの暖かさ。いきなりの大風は春一番。風に向かうには、一つ踏ん張って歩き出さねばならない。髪は乱され、足元も掬われそうになる。けじめの春一番に踏ん張って歩み出す。ここがいい。(高橋正子)

2月16日(3句)

★あけぼのの山は紫紺や揚雲雀/小口泰與
日常の生活で発見した美しい風景だ。生活を詠んで、佳句となった。(高橋信之)

★パンジーや新しき庭を際立てり/廣田洋一
嬉しい言葉が並んだ。「パンジー」、「新しき」、「際立てり」と嬉しい言葉が並び、春を讃えた。(高橋信之)

★少女らの縄跳び興ず風光る/桑本栄太郎
素直な句だ。下五の季題「風光る」が効いた。俳句の命は、やはり季題だ。季題を下五に置き、一句を力強く終えた。「少女ら」がひ弱でなく、生き生きとしているのが嬉しい。春の「風光る」季節だ。(高橋信之)

2月15日(2句)

★菜の花や並び咲きたる線路際/廣田洋一
線路際の枯れた草々にまじり、明るく菜の花が並んで咲いている。伸びる鉄路と菜の花の取り合わせの景色がいい。(高橋正子)

★探梅や川の流れと歩を合わせ/上島祥子
探梅の頃は、川は遠い山々の雪解けの水を集めて流れている。水量を増やしている川の流れに沿って行けば、ほちほちと梅が咲き始めている。川の流れがあって、探梅の季節がより大きく捉えられている。(高橋正子)

2月14日(1句)

  <おかげ横丁>
★赤福餅春の火鉢のかたわらで/多田有花
赤福は伊勢の名物。作り立てはまた格別らしい。春は名のみの寒さに火鉢の暖かさがうれしい。こんなところに幸せがある。(高橋正子)

2月13日(2句)

★御厩の神馬の香り二月早や/多田有花
神馬にも春の訪れがある。二月というのに早やも牧の馬のような香りが神馬にもある。感覚的な句だ。(高橋正子)

★梅の花ひとかたまりに天に伸ぶ/廣田洋一
梅の花が満開となれば、ひとかたまりの白い花となって、青空に伸びている。光も強くなってきたころの梅の花の真白さが印象的だ。(高橋正子)

2月12日(2句)

内宮参拝
★参宮の二月の青空を仰ぐ/多田有花
伊勢神宮参拝の句。私にも、その体験があり、「五十鈴川」の風景も記憶に残っている。私のいい記憶を呼び覚ましていただいた。伊勢神宮参拝の記憶は、今なお鮮明であり、「二月の青空」がいい。「仰ぐ」がいい。中7と下5の破調も効果的で、一句に現実味を与えた。(高橋信之)

★野放図に畑を占め居る野梅かな/桑本栄太郎
いい風景を捉えた。無理がない表現だ。「野放図」がいい。「野梅」がいい。(高橋信之)

2月11日(1句)

★金剛のごとき幹なり梅真白/谷口博望(満天星)
風雪に耐えた梅の幹はごつごつとしてたくましい。その幹や枝からとは思えないほど真っ白ですがすがしい香りの花が開く。梅の花の良さを端的に詠んだ。(高橋正子)
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