◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/1月22日~31日

2015-01-31 09:23:37 | Weblog
[1月31日]
★板を踏む音繰り返し寒稽古/上島祥子
厳しい寒さの中で行われる寒稽古。吐く息も白く、剣道場などの床板を素足が踏む音に勢いと力がある。それを繰り返し、精神も技も肉体も鍛えられる。「板を踏む音」と「寒稽古」が結びついたのがよい。(高橋正子)

[1月30日]
★延々と貨車通り過ぐ枯野かな/桑本栄太郎
荒涼とした枯野を延々と通り過ぎる貨車。「延々」は、また「果てしない」とも思われ、作者の心象風景となっている。(高橋正子)

★海見える斜面にほころび寒紅梅/多田有花
海の見える傾斜地は、日当たりがよくて暖かいのだろう。寒中というのに、紅梅がほころんでいる。「海」と「寒紅梅」の取り合わせが晴れやかだ。(高橋正子)

[1月29日]
★冬薔薇や今朝も家族を送り出す/福田ひろし
まだまだ寒さの厳しいとき。冬薔薇があり、家族がいるさりげない幸せ。今朝もそうだが、先に家族を送り出して、それからご自分の出勤か。あるいは在宅。その家のスタイルの日々の暮らしがうかがえる。(高橋正子)

[1月28日]
★寒晴れや始業チャイムの伸びやかに/桑本栄太郎
寒晴れの空の下に、始業のチャイムの音が伸びやかに広がる。風は冷たいものの、寒晴れの明るさに春の兆しが感じられる。(高橋正子)

[1月27日]
★寒雁や単線の貨車過ぎ行ける/小口泰與
早朝餌を獲りに空を飛ぶ雁の下を、単線の線路を貨車がことこと過ぎて行く。荒涼とした風景のなかにも、命の通う雁、貨物を載せて過ぎゆく貨車に少しの温かさがある。(高橋正子)

★蝋梅や明石海峡はるばると/多田有花
明石海峡がはるばると見えるところに咲いている蝋梅。海と蝋梅の取り合わせで、蝋梅の花の透明感と鮮やかさがよく表現された。(高橋正子)

[1月26日]
黒焦げの餅の美味しさどんど焼き/内山富佐子
どんどの火で焼く餅は、黒焦げになった部分もあるが、妙に美味しいと私も思う。気持ちのせいだけではなく、実際火の加減によるものだろう。句意が素直に読み取れる。(高橋正子)

[1月25日]
★北風や明らかなりし榛名山/小口泰與
凍てつくような北風が吹き、塵を吹き飛ばし、榛名山の姿が明らかになった。日々見え方の変わる榛名山の今日の姿だ。(高橋正子)

★冬萌や土手の南面青々と/桑本栄太郎
土手を歩くと、暖かい南面の傾斜には、草が青々と萌え始めている。枯のなかに緑を見るのは春が近づいていると思えて嬉しいものだ。直さが句意にふさわしい。(高橋正子)

[1月24日]
★朝早く歩いて来る人の白い息/迫田和代
早朝に向こうから歩いて来る人がいる。その人が命ある人である証拠のように、「白い息」が見える。白い息が鮮やかだ。(高橋正子)

★校庭の歓声寒林抜けて来る/古田敬二
寒林のこちら側と向こう側とに違う世界が、寒林を歩く作者の心を通してつながっている妙味。(高橋正子)

[1月23日]
★寒晴の雲を讃えつ通院路/川名ますみ
寒晴の青空に浮かぶ雲の美しさは、通院とは言え、久しぶりの外出の身に、「讃える」ほどの美しさだった。そんな雲を見た嬉しさ、心のはずみが伝わってくる。(高橋正子)

[1月22日]
★雪吊りの縄一本も緩まずに/古田敬二
雪催いの日であろうか。雪吊りの縄が一本たりとも緩むことがない。すで見事な職人技だ。見るものの目に凛々しく映る。(高橋正子)
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1月22-31日

2015-01-31 09:19:46 | Weblog
1月31日(5名)

●小西 宏
北風に揺れる小さな水溜り★★★
空の鳥仰いで一人炬燵にいる★★★
冬薔薇の棘照り映える隣り垣★★★★

●小口泰與
岸洗う波のささらや春隣★★★
鮮やかな雪の浅間山(あさま)の朝かな★★★★
朝夕の浅間山(あさま)よろしき冠雪★★★

●桑本栄太郎
高層の谷に乱舞や雪しまき★★★
明暗の障子明かりのひと日かな★★★★
みずいろの一月果つや空の色★★★

●河野啓一
春隣ブロッコリーの青い森★★★
二羽三羽ふくら雀の庭先に★★★
入念に寒肥は柿の根元へと★★★★

●上島祥子
千両の食べ尽くされて禽されり★★★
板を踏む音繰り返し寒稽古★★★★
厳しい寒さの中で行われる寒稽古。吐く息も白く、剣道場などの床板を素足が踏む音に勢いと力がある。それを繰り返し、精神も技も肉体も鍛えられる。「板を踏む音」と「寒稽古」が結びついたのがよい。(高橋正子)

師の声の一際高く寒稽古★★★

1月30日(4名)

●小口泰與
朝月夜目路に入りたる雪赤城山(あかぎ)★★★
朝戸出の我を襲いし北颪★★★★
手をかざす火鉢の女将紺のれん★★★

●桑本栄太郎
延々と貨車通り過ぐ枯野かな★★★★
荒涼とした枯野を延々と通り過ぎる貨車。「延々」は、また「果てしない」とも思われ、作者の心象風景となっている。(高橋正子)

あおぞらの宙のたよりや風花す★★★
雨上がり風の荒ぶる寒暮かな★★★

●多田有花
海見える斜面にほころび寒紅梅★★★★
海の見える傾斜地は、日当たりがよくて暖かいのだろう。寒中というのに、紅梅がほころんでいる。「海」と「寒紅梅」の取り合わせが晴れやかだ。(高橋正子)

春近き島の浮かびし播磨灘★★★
パリパリとうまきは大根一夜漬け★★★

●高橋信之
梅林を一望ふところ深き谷★★★★
良きこと多し一月の日曜の梅★★★
公園の手洗い梅の満開に★★★


1月29日(4名)

●小口泰與
裾野までふぶく赤城や寒鴉★★★★
茜さす雪の浅間山(あさま)の明けにける★★★
覚めたるや土曜の宿の虎落笛★★★

●福田ひろし
冬枯れの野に一軒の農家あり★★★
路地裏に野性味満つる猫の恋★★★

冬薔薇や今朝も家族を送り出す★★★★
まだまだ寒さの厳しいとき。冬薔薇があり、家族がいるさりげない幸せ。今朝もそうだが、先に家族を送り出して、それからご自分の出勤か。あるいは在宅。その家のスタイルの日々の暮らしがうかがえる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
息白く登校児童の列つづく★★★★
あおぞらを見上げ空見や風花す★★★
高階の真夜のおらびや虎落笛★★★

●高橋信之
万作咲く公園の森の奥に来る★★★★
公園の森の奥では、ひそかに春を告げる万作が咲いている。「森の奥」がいい。(高橋正子)

梅の白咲かせる森の今日がある★★★
ミモザ咲けば確かな春がすぐそこに★★★

1月28日(5名)

●小口泰與
早梅や日の昇りたる風の中★★★★
茜さす白き浅間山(あさま)や寒紅梅★★★
ひらひらと光奏でる冬の利根川(とね)★★★

●河野啓一
ぬり絵塗る人の笑顔や春近し★★★★
枯木立聳えて高く青い空★★★
胡蝶蘭友を思うや昼下がり★★★

●桑本栄太郎
寒晴れや始業チャイムの伸びやかに★★★★
寒晴れの空の下に、始業のチャイムの音が伸びやかに広がる。風は冷たいものの、寒晴れの明るさに春の兆しが感じられる。(高橋正子)

釣り人の湾処(わんど)に黙の枯野かな★★★
松籟の冴ゆるばかりや建仁寺★★★

●小西 宏
風荒び寒き日なりき鴉除け★★★
鼻風邪に部屋で籠球(ろうきゅう)練習す★★★
骨怠く金柑の皮噛んで寝る★★★★

●古田敬二
寒鴉薄暮の森にシルエット★★★
幹揺らし鳥零し去る実万両★★★★
葉ボタンに夜来の雨や渦光る★★★

1月27日(5名)

●河野啓一
寒晴れて朝の地平の茜色★★★★
古池に寒の水少し足してやり★★★
ラケットの球音軽き寒稽古★★★

●小口泰與
水仙の影揺れにけり夕まぐれ★★★

寒雁や単線の貨車過ぎ行ける★★★★
早朝餌を獲りに空を飛ぶ雁の下を、単線の線路を貨車がことこと過ぎて行く。荒涼とした風景のなかにも、命の通う雁、貨物を載せて過ぎゆく貨車に少しの温かさがある。(高橋正子)

寒梅やじんじん響く靴の指★★★

●多田有花
寒霞はるかに望む須磨明石★★★

蝋梅や明石海峡はるばると★★★★
明石海峡がはるばると見えるところに咲いている蝋梅。海と蝋梅の取り合わせで、蝋梅の花の透明感と鮮やかさがよく表現された。(高橋正子)

寒港にポートタワーを探しけり★★★

●桑本栄太郎
交叉せし飛行機雲や霜の朝★★★
水仙の車窓の土手につづきけり★★★
あおぞらの冬田の畝に水光る★★★★

●福田ひろし
亡き人の風を集めて春近し★★★★
恋猫やあたりを乳白色にする★★★
面影を呼び起こしたり猫の恋★★★

1月26日(4名)

●小口泰與
水柱立てて翔ちけり大白鳥★★★★
着水の一花へ夕日大白鳥★★★
白鳥の声高だかと夕まぐれ★★★

●内山富佐子
賽の神書初めの文字空高く★★★

黒焦げの餅の美味しさどんど焼き★★★★
どんどの火で焼く餅は、黒焦げになった部分もあるが、妙に美味しいと私も思う。気持ちのせいだけではなく、実際火の加減によるものだろう。句意が素直に読み取れる。(高橋正子)

目を押さへ火守りする子らどんど焼き★★★

●桑本栄太郎
採り跡の千々の乱れや冬菜畑★★★
着ぶくれて居眠りふける家路かな★★★
信号に集う尾灯や寒夕焼け★★★

●高橋信之
寒梅の白あり紅あり空の青★★★★
梅の谷鳥啼き風の吹き抜ける★★★
梅の谷その半分に陽が当たる★★★


1月25日(5名)

●小口泰與
北風や明らかなりし榛名山★★★★
凍てつくような北風が吹き、塵を吹き飛ばし、榛名山の姿が明らかになった。日々見え方の変わる榛名山の今日の姿だ。(高橋正子)

冬木の芽ふぶく赤城の裾野かな★★★
寒鯉のあぎとう中や夢うつつ★★★

●河野啓一
池の端の石も凍てつく寒の朝★★★
庭隅に春待つ心草揺れて★★★
烏鷺競う碁石音(いしおと)響く春近し★★★★

●桑本栄太郎
冬萌や土手の南面青々と★★★★
土手を歩くと、暖かい南面の傾斜には、草が青々と萌え始めている。枯のなかに緑を見るのは春が近づいていると思えて嬉しいものだ。直さが句意にふさわしい。(高橋正子)

菜の花の早やも一列黄明かりに★★★
冬日さす支柱に低き豆の蔓★★★

●小西 宏
雲垂れて手袋の手のなお痛し★★★
冬薔薇の乾いた庭にひとり立つ★★★★
風寒く群れる鴉に餌を撒く★★★

●高橋秀之
北風に向かって走る女子マラソン★★★
日が昇り窓を開ければ冬の風★★★
冬の日がベランダの布団に降り注ぐ★★★★

●高橋信之
梅林の斜面の白と紅の花★★★
梅林を一望ふところ深き谷★★★
寒梅の大きな一樹に対面す★★★★

●高橋正子
寒梅に水の流れのきらめき落つ★★★★
「寒梅」に「水の流れ」の取り合わせがいい。寒の最中のみずみずしい風景だ。

寒梅に谷間の草の萌えはじむ★★★
寒梅の紅白ひらく谷日和★★★

1月24日(7名)

●迫田和代
朝早く歩いて来る人の白い息★★★★
早朝に向こうから歩いて来る人がいる。その人が命ある人である証拠のように、「白い息」が見える。白い息が鮮やかだ。(高橋正子)

陽の光邪魔になりそう雪だるま★★★
窓の外ちらちら雪の庭の花★★★

●小口泰與
寒鰤や折から合格通知来る★★★★
小女子も駆ける夕日やみかん山★★★
赤城山(あかぎ)晴荒れる浅間山(あさま)や空っ風★★★

●古田敬二
菜花入れる夕餉の鍋に色豊か★★★
校庭の歓声寒林抜けて来る★★★★
寒林のこちら側と向こう側とに違う世界が、寒林を歩く作者の心を通してつながっている妙味。(高橋正子)

寒梅の蕾にぎやか青空へ★★★

●多田有花
少年の声はつらつと寒の朝★★★
よく晴れて春遠からじと思いけり★★★
寒林の枝の彼方に飛行機飛ぶ★★★★

●祝恵子
下車すれば古都の歩きの寒の街★★★★
朱の塗りの柱に破魔矢藁の亀★★★
水仙の吹かれしままに咲いており★★★

●内山富佐子
雪晴れ間ふんわり浮かぶ白き雲★★★
托鉢の僧の読経や冬夕焼け★★★★
雪消えし街を大股で闊歩す★★★

●桑本栄太郎
音も無く真夜の目覚めや寒の雨★★★★
ぷつくりと飯に黄身乗せ寒卵★★★
煙り立つ峰の間(あわい)や春隣★★★

1月23日(5名)

●小口泰與
冬霧の消ゆる所や隠れ沼★★★★
着ぶくれてかつて女(おみな)の起ち居かな★★★
山裾のちょこっと見える冬赤城★★★

●桑本栄太郎
椿葉の光りかがやき冬日燦★★★
泰然と剪られ並木の枯銀杏★★★★
冬日さす雲と日射しの交々に★★★

●福田ひろし
捨てきれぬ冬シャツのまた洗われし★★★
雪降りて昭和思わす赤き�茲★★★
古きほど着心地の増す冬シャツや★★★★

●川名ますみ
寒晴の雲を讃えつ通院路★★★★
寒晴の青空に浮かぶ雲の美しさは、通院とは言え、久しぶりの外出の身に、「讃える」ほどの美しさだった。そんな雲を見た嬉しさ、心のはずみが伝わってくる。(高橋正子)

冬びより角に黄色の三輪車★★★
冬夕焼廊下の壁のつと染まり★★★

●古田敬二
蕾と言う命の準備寒林に★★★★
ひなたぼこうつらうつらと句が浮かぶ★★★
大寒や尾根に出るとき風強し★★★

1月22日(3名)

●古田敬二
寒の雲なき空の下に立つ★★★

雪吊りの縄一本も緩まずに★★★★
雪催いの日であろうか。雪吊りの縄が一本たりとも緩むことがない。すで見事な職人技だ。見るものの目に凛々しく映る。(高橋正子)

天辺を揃えて剪定寒梅林★★★

●小口泰與
隼や利根の瀬頭波おどる★★★★
冬雲の尾の上(え)の木々を離れけり★★★
おやみなき雨や河原のラガーマン★★★

●桑本栄太郎
風花や天女の吐息かと思う★★★
冬麗のバス降り来たる老人会★★★
大寒と云えど小枝のみどり初む★★★★
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●デイリー句会投句箱/1月22日~31日●

2015-01-31 07:48:32 | Weblog
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。

◆俳句日記/高橋正子◆は、下記のアドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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●デイリー句会投句箱/1月15日~21日●

2015-01-15 07:09:26 | Weblog

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。

◆俳句日記/高橋正子◆は、下記のアドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

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今日の秀句/1月15日~21日

2015-01-15 00:49:01 | Weblog
[1月21日]
★出づる日を拝みて冬耕始めけり/小口泰與
「出づる日」は、輝きも強く、有難さも一層だ。自然と拝む気持ちにさせられる。この太陽あればこそと耕し始める。謹直な日本の農夫の姿だ。(高橋正子)

★蝋梅の水滴こぼるる膨らみに/祝 恵子
蝋梅についた水滴が、こぼれそうに膨らんでいる様子。蝋梅の色を透かせた水滴が大きく膨らんで、手にしたいほど美しい。(高橋正子)

[1月20日]
★笹鳴や今朝の赤城山(アカギ)は靄の中/小口泰與
笹鳴が聞こえ、赤城山は靄の中にある。雄々しい山容の赤城山も靄の包まれやわらかに見える。春の足音が聞こえる。(高橋正子)

★革靴で砂丘に上る冬怒濤/福田ひろし
旅の途中か、砂丘に上る用意もなく思い立ってのことか。砂丘があるから革靴のまま上ると、怒涛が荒々しい音で寄せている。冬の怒涛に向かい、内なる力が湧く思いだろう。(高橋正子)

[1月19日]
★寒のバスひとりの客を吐き出しぬ/多田有花
寒の寒々とした空気のなかに、バスから一人の客が降りた。しかし、それは、降りたのではなく、バスが客一人を吐き出したかのようなのだ。着膨れで膨らんだようなバスとあたりの寒々とした景色が思われる。(高橋正子)

★水色の空の高さに枯柳/桑本栄太郎
水色の空に、刷かれたように立つ枯柳の枝。もううっすらと緑がかっても見えるこの頃だ。真冬の最中ながら、水色の空に春への期待が忍ばれる。(高橋正子)

[1月18日]
 銚子
★沖合いに風車の廻る寒の入り/小川和子
太平洋を背景に立つ風力発電の風車は、近代的な風景を作っている。沖合いを吹く風の寒さもいよいよ寒そうで、寒の入りを印象付ける。新しい印象の寒の入りの句だ。(高橋正子)

★叢に跳び来て笹子ふと声す/小西 宏
叢を通りすがると笹子が跳んで入り込み、チャチャ、チャチャと鶯らしからぬ声をあげる。笹鳴きを聞くと「春遠からじ」と思う。(高橋正子)

★新幹線の車窓一面冬の富士/高橋秀之
新幹線で上京するとき、真っ白い冠雪の富士が窓を占める。雪を頂いた冬の富士は自然の力強さをもって圧倒する。(高橋正子)

[1月17日]
★朝風が枝を揺らせり日脚伸ぶ/多田有花
朝の風が枝を揺らしその間に青空見える。冷たいながらも心身が引き締まる爽快感がある。こんな日には、「日脚伸ぶ」うれしさがある。(高橋正子)

★十日戎太鼓のバチは子がならす/祝恵子
商都大阪ならではの十日戎の賑わいはうれしいものだ。子供もその賑わいに参加して、太鼓のバチをもって、鳴らす。八方縁起がよい。(高橋正子)

[1月16日]
★裸木の林に透ける街灯/小西 宏
裸木の林に透ける街の灯に、枯れの美しさ、また逆に灯の美しさが思われる。(高橋正子)

[1月15日]
★今朝ついに向こうが透け見え冬木立/古田敬二
すっかり木の葉が散ってしまい、向こうが透けて見えるようになった。さっぱりとして潔い冬景色だ。(高橋正子)

★明け方の霰に元気貰いけり/内山富佐子
明け方、霰の音で目を覚ましたのであろう。霰が撥ね、弾ける音の勇ましさに、寒さを思うのではなく、元気を貰った若さ。(高橋正子)

★球を蹴る冷たき風を朗らかに/小西 宏
球を蹴るときは、冷たい風もなんのその。球を蹴るのが楽しければ、冷たい風だって朗らかにしてしまう。楽しい熱気が伝わる。(高橋正子)
コメント (12)
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