風に訊け

日々の考え、趣味のサッカー、釣り、読書、音楽、アウトドアなどについてエッセイ風に綴りたいと思います。

衰弱死

2006年08月10日 | 釣り
年金生活、衰弱死救えず 広島
2006年 8月10日 (木)


 広島市東区の民家の二階で六日夕、住人とみられる男女二人の高齢者が一部白骨化した遺体で見つかった。広島東署は部屋に荒らされた形跡がなく、遺体に外傷もないことから衰弱死の可能性が高いとみる。電気やガスは止まり、銀行口座に残っていたのは二百円。蓄えがなくなり、相次ぎ力尽きた可能性が強い。景気回復が言いはやされる中、百十五万都市の片隅で起きた現実である。(山成耕太)

 男性は七十歳、女性は六十八歳とみられ、東署が身元の最終確認を急いでいる。これまでの調べなどでは、女性が三十年ほど前に部屋を借り、その後同居を始めた男性と暮らしていた。

 女性は清掃の仕事をしていたが昨年末、体調を崩してやめた。二人に収入はなく年金頼りだったようだ。近所の住民は「女性が最近、急にやせ細っていて驚いた」という。

 自宅近くに、二人がよく食事をしていた飲食店がある。女性は六月から店に姿を見せなくなった。「何しよるん」。一人で訪れた男性に店員が問いかけると「風邪をひいて寝とる」と答えた。その男性も夏祭りがあった七月八日以降、姿が見えなくなった。

 東署は、遺体の状況から女性が先に亡くなったとみている。「葬式も出せずに途方に暮れ、男性が後を追うように衰弱死したのか」。捜査員は唇をかむ。

 二人の部屋は遅くとも七月中旬には電気が止まった。ガスも止まり、カセットコンロを使っていた。二人の部屋の前には公共料金の請求書が山積みになっていた。

 中国電力によると、料金滞納すれば検針日から約二カ月後をめどに電気は止められる。その際には原則として利用者に面接するが会えないことも多いらしい。今回、直接二人と話をしたかどうかは不明という。東区役所にも、生活保護などの相談に行った形跡はない。

 大阪府で高齢者らの見守りを続ける特定非営利活動法人(NPO法人)デイコールサービス協会の松本敏理事長(57)は「人と人とのつながりが希薄になっている社会でこうしたケースは間違いなく増える。役所に世話になるのを恥ずかしいと思う高齢者も多い。どう見守っていくかは社会の大きな課題だ」と話す。

 二人が通った飲食店に一枚の写真が残っている。七年前の一九九九年、桜舞う花見の席で、二人はふっくらした顔で笑っていた。



どうしてだろう?

ギンズバーグよ。
君は言った。
「金持ちはロールスロイスに乗り、
 貧しい人々は自分の歯を治すお金もない」

どうしてだろう?
我々は豊かになるためい働いているのではないのか。
我々は笑顔を増やすために働いているのではないのか。
今、私は純粋にそう思うし、切に願う。
一生懸命生きていた人々が、
たとえ貧しくとも、日々の生活にささやかな幸せのある日々を送ってきた人々が、
老後にまでその生活を願うことは困難なのか。
食材の1/3が口に入れられることなく捨てられるというこの国で、
彼らは何を思って衰弱していくのか。
彼らは何を思って死んでゆくのか。

彼らは敗者かもしれない。
彼らには知恵が足りなかったかもしれない。

それを切り捨てるなら、そんな社会にいったいどんな意味があるのだろう。