風に訊け

日々の考え、趣味のサッカー、釣り、読書、音楽、アウトドアなどについてエッセイ風に綴りたいと思います。

日本の実力

2006年06月19日 | 釣り
おそらく日本の実力ってこんなものだろう。
欧州の中の下くらいと同じレベル。
相手は、過去にW杯で3位になったことのある国。
クロアチアにとって日本は明らかに格下だ。
今回は負けなかっただけよかったのかもしれない。

1つのプレーをとって、「よかった」「悪かった」といわれるのはFWとGKの宿命。
他の89分仕事しなくても、1つ決定的な仕事をすれば評価の対象となる。
MFとは違う。

その点でほめられるべきは、川口だろう。
先日のオーストラリア戦でもそうだったが、
本当に集中したときの川口は恐ろしく「当たる」。
W杯という非常に重要な、神経質な大会でPKをとめたことで
彼の評価はだんぜんあがるだろう。GKとはそういうポジションだ。
移籍先も見つかるかもしれない。

逆にけなされるべきは柳沢。
あれは決めなくてはいけなかった。
他にどれだけ仕事しなくても、あれだけは決めなくてはいけなかった。
技術的に難しいとか、パスが速かったとか逃げ道は見つかるけれど、
FWならば決めなくてはいけなかった。。。

柳沢はアウトサイドキック(甲の外側)に非常に自信を持っていて、
それが裏目にでてしまった。
2年前くらいのイタリア戦のときにも、彼は稲本(たぶん)の左サイドからのクロスを
アウトサイドであわせるという高等技術を披露している。
イタリアでも注目されたらしい。
それが移籍につながったというような話も聞いたことがある。

普通の選手ならばインステップ(甲)かインサイド(甲の内側)であわせるシュートだ。
それをアウトサイドであわせるのだから、おそらく相当自信があるのだろう。
それに加えて、アウトサイドでのキックは心地いい。
ボールがあたる瞬間の心地よさは、他にキックにはないものがある。
かのマラドーナも「一番好きなタッチ(キック)はアウトサイド」といっていた。
確かにマラドーナはドリブルするときにアウトサイト(というかアウトフロント=小指の付け根)で
ボールを押し出すようにしてトップスピードに乗っていた。
見方へのパスも、ものすごく柔らかいタッチのアウトサイドで回転をかけ、
芝の上を曲がりながら転がるようなボールを良く蹴っていた気がする。

柳沢に戻る。
昨日、加地のクロスがあがる瞬間、柳沢の脳裏のイメージでは、
アウトサイドでちょこんとネットをとらえることだったのだろう。
第一のイメージとして、おそらくアウトサイドのイメージが沸いたのだろう。
ボールは心地よく右足のアウトサイドへあたり、
低い弾道でネットへと包み込まれていく。そんなイメージを描いていたに違いない。
しかし、いつものボールの速度に比べて、加地のラストパスはあまりに早かった。
そしてそれに気づいたときには、右足はすでにアウトサイドキックの形をともなって、 ボールへと向かっていた。

彼には二度とチャンスがめぐってこないうちに、交代となった。
ロースコアのサッカーというゲームは決定的なチャンスをひとつ逃すことによって、
試合が、人生が決定してしまう。
難しいと思う。
柳沢に次のバッターボックスはめぐってこなかった。