壁のポートレート

道端の壁が気になって写真を撮り続けています。
でもオーロラやら植物・風景などが最近多いですね。

ミヒャエル・ゾーヴァと婆々娘々

2009年06月27日 | 美術館

 またまた美術展のはしごです。美術館「えき」KYOTOで開催している「ミヒャエル・ゾーヴァ展」と、大阪国立国際美術館の「婆々娘々(ぽーぽー・にゃんにゃんと読む)」に行ってきました。あっ、国際美術館の方は、3展覧会を同時開催していたから、全部で4つだ。
 ○ミヒャエル・ゾーヴァ展
 絵本の挿絵などで有名な方ですけれど、2001年のフランス映画「アメリ」で、主人公の部屋に飾られていた絵なども手がけたようで、映画を見た人なら「ああ、あの絵か」と気づく人も多いと思います。
 なんといっても動物の絵が、可笑しくて、可愛くて、ぶっ飛んでて、最高。牛がスケートしているし、豚が電線に留まっているし、サメは町の通りを泳いでいます。と言うと単なる漫画のように聞こえますが、絵の描写はしっかりしていて、主人公が人間じゃなくて動物であることにさえ目をつぶれば(無理ですが…)、いつの間にか美術品として鑑賞している自分に気が付くことになります。僕のお気に入りは2枚。ウィンスロー・ホーマーばりの荒海にシェパード犬が4匹ボートで漂う「船乗りがいない」と、前述のアメリに出てきた、エリザベスカラーを着けた「治療中の犬」がかわいい!
 ほかにも楽しい絵がいっぱいでしたが、完成してポスターや挿絵などに使用された後、彼は手直しを頻繁にするので、元の絵が残っていないこともあるそうです。会場で本人のインタビュービデオを再生していましたが、曰く、「完成した後も、少し気に入らないところがあると、少し上書きして直すのですが、少しだけのつもりが、どんどん増えていって、ついには全部上書きしちゃうこともありました。元の絵もそんなに悪くなかったので、後悔しています。」と、本当に後悔した様子で答えているのには、笑っちゃいました。芸術家ってのは、何時までも自分の仕事に満足できない人種なんですね。
 ○婆々娘々展
 「ぽーぽー・にゃんにゃん」という可愛い名前に騙されて、入場受付をくぐると、ノックアウトされますよ。作者のやなぎ みわさんは世界的に活躍する写真家ですけれど、今回の展覧会に出展された作品の多くは、老人の女性が主人公で、それも映画の1シーンのように魔女か山姥のように醜悪でグロテスクです。特殊メイクで形作られた容姿は老いを殊更に強調したもので、その表情も、積年の悪意を凝縮したように、ものすごく意地悪です。
 でも、不思議と嫌悪感は感じませんでした。逆に「老い」と正反するような「力強さ」を感じます。絵の題名はそれぞれローマ字で「MINEKO」とか「MIKA」とか書いてあるだけですが、その下に長々と原稿用紙1枚分ぐらいの、その女性のモノローグが綴られていますが、その「今まで生きてきた状況」が力を与えているのかもしれません。
 会場の入り口で、メイキングビデオを上映していましたが、これが面白い。メイクさんが2・3人がかりで、照明さんやら、大道具さんやら、エキストラがいっぱいで、なに、これ、映画の撮影? 最初写真を見たときに感じた、映画の一シーンのよう、という印象は正解だったわけだ…。
 ○ルーブル美術館展
 サブタイトルが「美の宮殿の子供たち」ということで、ルーブル所蔵品の中から子供に関係した美術品を選び出したようです。ちなみに、この展覧会が、今回の大阪国立国際美術館のメインです。ルーブルっていうと考古学的な出品物が多そう、僕の趣味とは違うな、と思ってあまり期待していなかったのですが、少女のミイラなんかがあったりして、大体想像通りでした。
 でも、お気に入りの展示も見つけました。一点はレノルズの「マスター・ヘア」。肖像画家として名高い彼の代表作だそうです。もう一点は、15世紀ブルゴーニュで作られた石灰岩による「聖母子像」。作者不詳で、取り立てて重要な作品でもないようですが、うつむき加減で、愁いを帯びたやさしい女性の顔立ちを見ていると、心が温まるように感じます。
 さて、もう一つの展覧会も見たのですが、さすがに、4つ目は疲れてしまって、流すだけになってしまいました。下は、京都に早く着きすぎたので、時間つぶしに大階段付近の写真を撮ったものです。壁写真家としては、一寸ごちゃごちゃしすぎなので、もう少しシンプルなほうが良いなあと思います。お前の好みなんか知らんわ、と建築家に言われそうですが。Dscf1531 Dscf1535
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