太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#438 取調室

2017年11月12日 | 太陽にほえろ!
「太陽にほえろ!」は全718話(PARTⅡは12話)。似たような事件、設定が出てきたとしても致し方ないことですが、
サブタイトルはかぶらないようにするのが大変だったと思います。
そんなたくさんのタイトルの中でも、今回の『取調室』は、印象深いもののひとつです。

なにしろ、『取調室』と聞いただけで、山さんの主演だとわかる。
「太陽」に限らず、古今東西の刑事もののなかで、一番『取調室』が似合うのは、われらが山さん(露口茂)じゃないでしょうか。


今回山さんが対決するのは、30代半ばで独立事務所を構えるエリート弁護士の草野(原田大二郎)。

草野の事務所に勤めていた女性が自宅の浴槽の中で絞殺死体で発見される。
第一発見者は、食事の約束をしていて迎えに来たという草野本人。
物取りの犯行にしては殺し方が念入りすぎるし、帰宅後、暖房もつけずに先に浴槽に湯をためているというのも不自然。

山さんは、早い段階から草野に目をつけ、一見完璧に見える彼のアリバイを洗い直す。

最初に観た時は、山さんと草野の取調室でのやりとりがスリリングで、ふたりの対決ものという印象でしたが、
あらためて観てみると、山さんはもちろん、ボス(石原裕次郎)以下一係のメンバーがアリバイを崩すために文字通り奔走していて、
一係対弁護士という構図でしたね。

エリート弁護士らしく鷹揚に構えている草野。
刑事ドラマあるあるの、取調室でカツ丼を勧めるドック(神田正輝)に対し、
「あなたが食べればいい。一食浮けば助かるでしょう」などと余裕の態度。

しかし、山さんは彼の前でわざと長さん(下川辰平)から捜査の結果を聞き(内容は聞かせない)、ドックにメモを託して
たびたび席を外させ、捜査が進展しているさまを見せつける。




草野が、自身のアリバイを証明するために取り寄せさせたパーティ会場の写真が、皮肉にもコンタクトレンズを落とした
というヒントを与え、そこから一気に山さんの攻めの取り調べが始まります。

さっきまで、悠然とした笑みを浮かべて向かい合っていた山さんが立ち上がり、口を挟む余地のない速さでたたみ込むように
核心に迫っていく。「でっち上げだ!告訴する」と立ち上がる草野。そこにドックが息を切らせて駆けこんでくる。
包みを受け取り、再び草野とふたりきりで最後の対決。

包みの中のコンタクトレンズを見て、狼狽する草野。
「うそだ。そんなバカな」
思わず漏れたひとことが命取りになり、ついに草野は落ちたのでした。

取調室に入ってからのふたりの対決は、そのまま露口さんと原田さんの演技合戦でもあり、
本当に迫力がありました。
表情、声、間…。撮影されたドラマでありながら、舞台を観ているような生々しいリズムとうねりを感じ、
息づまる数分間でした。

一係に戻り、草野が落ちたことを報告する山さんに、みんなの表情もパッと緩みます。
そこに、出前が届く。
お値段据え置きだったはずのざるそばが値上げしたと聞いたボスと山さん。



山さんww 最後まで持ってくわー。


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