詩人の血

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

立原道造全集より

2018-09-25 14:54:31 | Weblog
魂を鎮める歌

陽は キラキラと
あちらの方で 光っていた
何か たのしくて 心は
陽気に ざわめいていた

超えて あなたが 行かれた
あちらの方で 陽は キラキラと
光っていた………何か かなしくて
空はしんと澄んでいた どぎつく

黒い花を 摘んで 花束をつくる
あのならわしよりも 心になく
美しい高さに 微笑みを
吹きながせ!

陽は キラキラと
あちらの方で 手のつけようもなく
光っている だれかが 騒いでいるのが
もう意味もないようだ

どぎつく 空は 澄んでいる
声もなく
炎のように
真昼が あちらへ 絶えて行く

超えて あなたが 行かれた
あちらの方で………滅んだ 星が
会釈して 微笑みを 空(くう)に
吹きながす 祭りのように

未知の野を 白い百合でみたすがいい
果たされず過ぎた約束が もう充たされようもない
わすれるがいい 海の上のさざなみが
生まれては また 消えるほどに!

『立原道造全集』第一巻

*最後の一連が今は亡き友を思い出す………
生きていれはいろいろな事が一緒に出来ただろうに………

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