この前、この本を開いたのはいつだったか
2年前?いや、3年前?
その位、手を伸ばさなかった本を読みました。
しばらく読み進めても
江戸時代の言葉遣いに慣れないせいか
なかなか物語の中に入っていけなくて
途中で本を置いてしまっていたのでした。
中途半端にしてしまうことが気になって
毎日、少しづつページをめくっていくと
半分を過ぎた頃から
いつの間にか物語の中にいる自分に気が付きました。
切腹を言い渡された武士が
その期日まで、自分のするべきことを淡々とこなしていく
そんな、潔くまっすぐな生き方に憧れを抱きました。
心が軽くなった言葉は
主人公の武士の息子・郁太郎と、その友達の源吉との
会話の中にありました。
郁太郎:「源吉は、嫌なことがあっても、すぐに笑い飛ばしてしまう
私は、いつまでも、くよくよと考え込んでしまう」
源吉:「それは、郁太郎が頭がいいからじゃろ。
おれは、頭が悪いから覚えてねえだけじゃ。
それになあ、おれは世の中に覚えていなくちゃなんねえことは
そんなに多くはねえような気がするんよ」
この源吉の言葉が、スッと心の中に飛び込んで来て
胸のつかえが取れたような気持ちになりました。
そうか、あれもこれもと心に詰め込むんじゃなくて
忘れてはいけないほんの少しのことを大切に
心に留めて歩いていけばいいんだ。
それは、温かい思い出だったり、言葉だったり 感謝だったり・・・
それが、これから、生きていく上での道しるべになってくれる。
そんなことを思いました。
最後は、悲しい結末にも関わらず
主人公・秋谷の生きざまが、あまりにも見事で
夏の終わりの夕刻に吹く涼しい風に当たりながら
蜩の声を聴いているようでした。
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