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『夢を売る男』 百田尚樹

2015年10月20日 20時00分00秒 | ■読書
「百田尚樹」のブラック・コメディ作品『夢を売る男』を読みました。


輝く夜風の中のマリアに続き「百田尚樹」作品です。

-----story-------------
『永遠の0(ゼロ)』「百田尚樹」、大暴走!!
最新書き下ろしは、出版界を舞台にした掟破りのブラック・コメディ!

敏腕編集者「牛河原勘治」の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。
自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、「スティーブ・ジョブズ」のような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦……。

本の出版を夢見る彼らに丸栄社の敏腕編集長「牛河原」「いつもの提案」を持ちかける。

「知っているか? 現代では、夢を見るには金がいるんだ」

牛河原がそう嘯くビジネスの中身とは。
現代人のいびつな欲望を抉り出す、笑いと涙の傑作長編。
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敏腕編集者「牛河原勘治」を主人公にした、出版界を舞台にしたブラック・コメディ作品。

 ■1 太宰の再来
 ■2 チャンスを掴む男
 ■3 賢いママ
 ■4 トラブル・バスター
 ■5 小説家の世界
 ■6 ライバル出現
 ■7 戦争
 ■8 怒れる男
 ■9 脚光
 ■10 カモ
 ■解説 花田紀凱


いやぁ… 面白かった、、、

出版界の舞台裏を描くという意味では「東野圭吾」歪笑小説との類似性を感じましたね。


「牛河原」のセールストークが素晴らしい、、、

○ISBN(インターナショナル・スタンダード・ブック・ナンバー)が付けられる
○国会図書館が保存する
○優秀な編集者や校正者が作品をブラッシュアップする
○新聞に新刊広告を掲載する
○全国の書店に出回る

等々で、自らの作品を出版したいという願望(夢)を持つ人々の心を掴み、ジョイント・プレス方式(出版費用の一部を作者が支払う… という説明をしているが、実際は全額を作者が支払い)による出版により作者の夢を叶える… 阿漕な商売ですが、それで作者の夢が叶い、本人が満足しているのであれば、それはそれで意味のある商売なのかもしれないなぁ。

そして、詐欺まがいの商売ばかりではなく、「牛河原」が編集者としての矜持(自負・プライド)を捨てていなかったことが証明されるエンディングは良かった… ブラック・コメディなのですが、最後はキレイにまとめてありましたね。


本書を読んで初めて知ったのですが、ブログの更新については英語よりも日本語の方が多いとか… 日本人って、自己顕示欲が強いのかなぁ、、、

「毎日、ブログを更新するような人間は、表現したい、訴えたい、自分を理解してほしい、という強烈な願望の持ち主だ。
 こういう奴は最高のカモになる」


という「牛河原」の言葉は、自分に向けられたような感じがして、色々と考えさせられました。


本作では「百田尚樹」自身のことを指摘した「牛河原」の言葉がありました、、、

「元テレビ屋の百田何某みたいに、毎回違うメニューを出すのは問題だがな。
 前に食ったラーメンが美味かったから、また行ってみたらカレー屋になっているような店に顧客がつくはずもない。」
 しかも次に行ってみれば、たこ焼き屋になっている始末だからな-」


「まあ、直に消える作家だ。(後略)」

本人が表現しているだけあり、「百田尚樹」作品への感想を端的に表していますね… 本書で「百田尚樹」作品を読むのは4作品目ですが、作風が全く異なり、類似性がないですからねぇ、、、

同じ作家の作品とは思えませんが、それぞれ別な魅力を持っており、新しい作品を読む度に驚かされますね。


次に読む作品も愉しみです。



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