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『黄昏のベルリン』 連城三紀彦

2021年10月11日 21時36分00秒 | ■読書
「連城三紀彦」の長篇ミステリ作品『黄昏のベルリン』を読みました。


夜よ鼠たちのために運命の八分休符に続き、「連城三紀彦」の作品です。

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画家「青木優二」は謎のドイツ人女性「エルザ」から、第二次大戦中、ナチスの強制収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生まれた子供が自分だと知らされる。
平穏な生活から一転、謀略渦巻くヨーロッパへ旅立つ「青木」
1988年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた幻の傑作ミステリーがいま甦る。
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1988年(昭和63年)に発表されたスパイ小説… 東西ベルリンに集まるスパイ群像を描いた幻の傑作とも呼ばれている作品です。

 ■一章 最後の一日
 ■二章 過去への国境線
 ■三章 亡霊たち
 ■四章 第三のベルリン
 ■五章 黄昏から夜へ
 ■解説 戸川安宣


日本人の母親、外国人の父親を持つ画家の「青木優二」は、見知らぬドイツ人女性「エルザ」から接触を受けた… 「エルザ」によれば第二次大戦中、ナチスドイツのユダヤ人収容所ガウアーで、ユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生れた赤ん坊が「青木」だと言うのだ、、、

「青木」は平穏な生活から一転、謀略が渦巻くヨーロッパへ旅立つ… 四十余年を隔てて蘇える驚異の謎とは何か? 東京―パリ―ベルリン―ニューヨーク―リオデジャネイロを舞台にネオナチと反ナチの陰の戦い。

あの戦争終結直前、日本人「青木」の体に埋めこまれたナチの印しとは? 二転三転、意外極まる結末へ… 壮大かつ緻密な仕掛けの長編推理ロマン……。


日本の作品にしては珍しいグローバルな視点での作品でしたね… かなりインパクトの強い解なのですが、あの男が画家志望だとを知っていれば、主人公の職業が画家という点で、真相に気付く読者も多いかもしれませんね、、、

荒唐無稽な展開ですが、これくらい大胆な展開の方が中途半端な展開よりも清々しい感じがして良いですね… 東と西の入れ替えや、父親の正体、ネオナチとユダヤ人の保護組織等、巧くミスリードさせられる展開も愉しめました。

視点が目まぐるしく変わるし、変わるタイミングが分かり難いので、今が誰の視点なのかちょっと戸惑いもありましたが、中盤以降は文体に慣れて意外とサクサク読めました… 最後の最後まで誰が真実を語り、誰が嘘をついているのか、疑心暗鬼の状態が継続する展開も好みでしたね、、、

1980年代の謀略が渦巻くヨーロッパ、冷戦時代のベルリンを舞台にした、恋愛あり、アクションあり、トリックありの本格スパイ小説… ヨーロッパの香りのする日本産のミステリ小説でした。


以下、主な登場人物です。

「青木優二」
 画家、美術大学の講師

「エルザ・ロゼガー」
 ベルリンからの留学生

「マイク・カールソン」
 ニューヨークの清涼飲料水会社社員

「ソフィ・クレメール」
 ガウアー強制収容所の生存者

「ブルーノ・ハウゼン」
 東ベルリンから西ベルリンへ脱出した青年

「ホルスト・ギュンター」
 東ドイツの元大物政治家

「エドワルト・ヘルカー」
 ブルーノの世話をする男

「エディ・ジョシュア」
 ユダヤ系の演劇青年

「マリー・ルグレーズ(マルト・リビー)」
 元ナチス将校。「鉄釘のマルト」

「ハンス・ゲムリヒ」
 元ナチス親衛隊

「野川桂子」
 青木の生徒

「三上隆二」
 リヨンの通訳の青年

「山崎三郎」
 ベルリンの通訳の青年

「ニシオカ」
 ベルリンの日本人商社マン

「リタ」
 リオデジャネイロの娼婦

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