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『六花の印 連城三紀彦傑作集1』 連城三紀彦(著),松浦正人(編)

2025年04月07日 19時37分53秒 | ■読書
連城三紀彦の短篇ミステリ作品集『六花の印 連城三紀彦傑作集1』を読みました。
連城三紀彦の作品は、2年前に読んだアンソロジー作品『贈る物語 Mystery 九つの謎宮』に収録されていた『過去からの声』以来なので久し振りですね。

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大胆な仕掛けと巧みに巡らされた伏線、抒情あふれる筆致を融合させて、ふたつとない作家性を確立した名匠・連城三紀彦。
三十年以上に亘る作家人生のなかで紡がれた数多の短編群より傑作を選り抜いて全二巻に纏める。
第一巻は、第三回幻影城新人賞受賞から日本推理小説史上に名高い連作〈花葬〉を経て、第九十一回直木賞受賞作『恋文』に至る初期作品十五編を精選。
著者の知られざる顔を窺えるエッセイに加えて、巻末には編者による詳細な解題を付す。
時代を越えて今なお多くの読者を惹き付けて已まない著者の全貌が把握できる充実の傑作集。
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2018年(平成30年)に刊行された傑作集……精選された初期作品15篇に加え、エッセイや編者による解題が収録された作品です。

 ■六花の印
 ■菊の塵
 ■桔梗の宿
 ■桐の柩
 ■能師の妻
 ■ベイ・シティに死す
 ■黒髪
 ■花虐の賦
 ■紙の鳥は青ざめて
 ■紅き唇
 ■恋文
 ■裏町
 ■青葉
 ■敷居ぎわ
 ■俺ンちの兎クン
  *
 ■ボクの探偵小説観
 ■〈花葬〉シリーズのこと
 ■幻影城へ還る
 ■水の流れに
 ■母の背中
 ■芒の首
 ■哀しい漫才
 ■黒ぶちの眼鏡
 ■彩色のない刺青
 ■連城三紀彦をよみはじめるために 松浦正人

大胆な仕掛けと叙情あふれる筆致を融合させ、ふたつとない作家性を確立した連城三紀彦……30年以上に亘る作家人生のなかで紡がれた作品群を選り抜いて全2巻に纏める、、、

第1巻は、デビューから『恋文』の第91回直木賞受賞前後まで、伏線の妙やどんでん返しが冴え渡る名品・佳品を中心に収める……著者の知られざる一面を垣間見せるエッセイも併録して、近年再評価の進む巨匠の全貌が把握できる充実の傑作集。

独特の美しい筆致と意外な結末が愉しめる作品集でした……最も印象に残ったのは表題作の『六花の印』、、、

明治と現代、遥かに時を隔てたふたつの現場で同じにしか見えない緊迫した事態が進行し、緊張感を緩める間もなく思わぬ真相、驚きの終幕に辿り着く……歴史と罪が交錯した秀作でしたね。

その他では、

明治末期という歴史的な状況と日常を緊迫感をたたえた硬質な文体で再現し、御一新の時代そのものが動機となる『菊の塵』、

昭和初期の場末の娼館を舞台に、殺人事件を捜査する経験の浅い刑事と不幸な境遇においやられた娘の交流と激しく心を揺さぶられる結末が印象的な『桔梗の宿』、

15年前に別れた愛人が渡してきた薬……それは妻の命を救おうとする良薬だったのか? それとも妻を殺そうとする毒薬だったのか? 怖ろしく、そして、あまりにも哀しい結末が印象的な『黒髪』、

時間を逆流するような強烈な真相が忘れられない『花虐の賦』、

失踪者と捜索者……その風景が一変する結末の意外性が印象的な『紙の鳥は青ざめて』、

男女の機微の描き方が抜群に巧い恋愛小説の『紅き唇』、『恋文』、

の7作品が好みでしたね……久し振りに連城三紀彦作品を堪能できました。

幼少期から青年期の生活ぶりが窺えるエッセイも良かったな……この経験や記憶が連城三紀彦作品に活かされているんでしょうねー なかなか興味深かったです。

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