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『五匹の子豚』 アガサ・クリスティ (著),山本やよい (翻訳)

2017年06月12日 22時03分00秒 | ■読書
「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『五匹の子豚(原題:Five Little Pigs、米題:Murder in Retrospect)』を読みました。


ポワロの事件簿〈1〉ポワロの事件簿〈2〉ヘラクレスの冒険死との約束杉の柩に続き「アガサ・クリスティ」作品です。

-----story-------------
母は無実だったのです――娘の頼みに「ポアロ」の心は動いた。
事件がおきたのは16年前。
若い恋人に走った高名な画家を妻が毒殺、裁判の末に獄中死したのだ。
殺人犯を母に持った娘の依頼で再調査に乗り出した「ポアロ」は、過去へと時間を遡り、当時の状況を再現してゆく。
関係者の錯綜した証言から紡ぎ出された真相とは?
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1943年(昭和18年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇、、、

以前、映像化作品の名探偵ポワロ「五匹の子豚」も観たことがある作品… 6作品連続で「ポワロ」シリーズです。

 ■序章
  カール・ルマルション
 ■第一部
  1. 弁護人の話
  2. 検察側の話
  3. 青年弁護士の話
  4. 老弁護士の話
  5. 警視
  6. この子豚はマーケットへ行った
  7. この子豚は家にいた
  8. この子豚はローストビーフを食べた
  9. この子豚は何も持っていなかった
  10. この子豚は“ウィー、ウィー、ウィー”と鳴く
 ■第二部
  フィリップ・ブレイクの手記
  メレディス・ブレイクの手記
  ディティシャム卿夫人の手記
  セシリア・ウイリアムズの手記
  アンジェラ・ウォレンの手記
 ■第三部
  1. 結末
  2. ポアロの五つの質問
  3. 再構築
  4. 真相
  5. その後

 ■解説 千街晶之


「ポアロ」が過去の事件の真相を追う“回想の殺人”タイプの作品、、、

杉の柩と同様の3部構成で、第一部では依頼を受けた「ポアロ」が関係者を訪ね、第二部で“五匹の子豚”の手記によって事件当時の様子を各人の視点から描き、第三部では時を再び現在に戻して「ポアロ」による解決が図られる という展開になっています。

16年前に夫「エイミアス・クレイル」を毒殺した罪で終身刑を宣告され、獄中で死亡した母「キャロライン・クレイル」の無実を訴える遺書を読んだ「カーラ・ルマルション」は、母が潔白であることを固く信じ「ポアロ」のもとを訪れる… 彼女の話に興味を覚えた「ポアロ」は、あたかも“五匹の子豚”の如き5人の関係者との会話を手がかりに過去へと遡り、ついに真実へたどり着く、、、

ちなみに、“五匹の子豚”の如き5人とは…

一匹目:「エイミアス・クレイル」の親友「フィリップ・ブレイク」
二匹目:「フィリップ・ブレイク」の兄「メレディス・ブレイク」
三匹目:「エイミアス・クレイル」の愛人「エルサ・グリーア(現レディ・ディティシャム)」
四匹目:「アンジェラ・ウォレン」の家庭教師「セシリア・ウイリアムズ」
五匹目:「キャロライン・クレイル」の異母妹「アンジェラ・ウォレン」

のことで、「エイミアス」が殺害された当日に邸におり、「キャロライン」以外に「エイミアス」を殺害できる可能性のあった5人の人物です。

『序章』で、「カーラ」「ポアロ」を訪ねて母親の関与した真相の究明を依頼し、

『第一部』で、「ポアロ」は過去の事件の関係者に会い、各自の記憶をたどることで事実を照合し、会話の端々に犯人特定の糸口を見いだそうとし、

『第二部』で、「ポアロ」が受け取った、重要関係者5人(“五匹の子豚”)に依頼していた回顧の手紙の内容が示され、

『第三部』で、「ポアロ」は5人(“五匹の子豚”)それぞれに最後の質問を行い、ついに真実へたどり着く、

という展開で、徐々に真実の断片が明らかになり、最後に意外な結末が用意してあるという、とても愉しめる作品でした… 映像化作品を観ていなければ、驚愕の結末が愉しめたと思える作品です、、、

「キャロライン」が犯行を否定しなかったのは、妹の犯行だと勘違いして、妹への贖罪の気持ちもあって、自分が全てを背負ったんですよねぇ… 真相が判ると、悲しくてやりきれない感じがしましたね。

「アガサ・クリスティ」らしい展開でした… 面白かったです。



以下、主な登場人物です。

「エルキュール・ポアロ」
 私立探偵

「カーラ・ルマルション」
 事件の依頼者。エイミアス・クレイルの娘

「エイミアス・クレイル」
 画家。カーラの父

「キャロライン・クレイル」
 エイミアスの妻。カーラの母

「エルサ・グリーア」
 エイミアスの愛人(現レディ・ディティシャム)

「フィリップ・ブレイク」
 エイミアスの親友。株の仲買人

「メレディス・ブレイク」
 地主。フィリップの兄

「アンジェラ・ウォレン」
 キャロラインの異母妹

「セシリア・ウイリアムズ」
 アンジェラの家庭教師

「モンタギュー・ディプリーチ卿」
 勅撰弁護士。キャロラインの弁護士

「クエンティン・フォッグ」
 次席検事

「ジョージ・メイヒュー」
 弁護士

「ケイレブ・ジョナサン」
 クレイル家顧問弁護士

「ヘイル」
 元警視

「ジョン・ラタリー」
 カーラの婚約者






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