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『夢幻花』 東野圭吾

2016年03月28日 21時07分00秒 | ■読書
「東野圭吾」の長篇ミステリ作品『夢幻花(むげんばな) 』を読みました。


禁断の魔術に続き「東野圭吾」作品です。

-----story-------------
黄色いアサガオだけは追いかけるな。

独り暮らしをしていた老人「秋山周治」が何者かに殺された。
遺体の第一発見者は孫娘の「梨乃」
「梨乃」は祖父の死後、庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、ブログにアップする。
ブログを見て近づいてきたのが、警察庁に勤務する「蒲生要介」
その弟「蒼太」と知り合った「梨乃」は、「蒼太」とともに、事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。
西荻窪署の刑事「早瀬」らも、事件の謎を追うが、そこには別の思いもあった。

「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自らが語る長編ミステリ。
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大阪の大学院生の「蒼太」は、父の三回忌で江東区木場の実家に帰るが… 兄「要介」は、父の三回忌よりも仕事を優先して出かけてしまっていた、、、

「蒼太」は、その「要介」を訪ねて来た「秋山梨乃」と知り合う… 職業を偽ってまで「梨乃」に接近し、ブログから「黄色い花」の写真を直ちに削除するようにと忠告した「要介」の真意は何なのか?

「梨乃」の祖父「周治」が殺害された事件に、謎の「黄色い花」が少なからず関係していると考えた「蒼太」「梨乃」は、二人で「黄色い花」の謎と事件の解明に向けて行動を起こす… 一方、西荻窪署の「早瀬亮介」は、息子「裕太」の窮地を救ってくれた正義感の強い老人「秋山周治」が、所轄の殺人事件の被害者だと知って驚く、、、

手掛かりが少なくとも絶対に迷宮入りにはさせない… と、犯人逮捕に向けて一人捜索を続けていた。


プロローグで触れられる1960年代に起きた日本刀を振り回す男による無差別殺傷事件、
幼少時から「蒼太」に疎外感や孤独感を与える家族(父母と兄)の行動、
10数年前に朝顔市で出会った「蒼太」と同年代の少女「伊庭孝美」の交際と突然の不自然な別れ、
「秋山梨乃」の従兄でアマチュアミュージシャン「鳥井尚人」の突然の自殺、
独居老人「秋山周治」の死の真相と植物(黄色いアサガオ)の謎、
10数年振りに「蒼太」と出会ったが、その直後に突然姿を消した「孝美」
「蒼太」の母「志摩子」の過去、、、

序盤~中盤にに提示された、ばらばらのピースが黄色いアサガオを軸にして、時代を超えてひとつに繋がっていくストーリー展開に引き込まれましたね… 全てが繋がり、そして脈々と受け継がれる負の遺産や、世代を超えて自らの宿命に真摯に向き合い使命を果たそうとする人達のことを知ったとき、深い感動が訪れる作品でしたね。

そして、「梨乃」は水泳競技に再挑戦し、大学で原子力工学を学んでいた「蒼太」は、原子力発電と自分の進むべき道を再認識していく… という明るい未来が期待できるエンディングは、なかなか良かったです。

きっと、東日本大震災を意識したエンディングなんでしょうね… 「蒼太」の将来に期待したいですね。




以下、主な登場人物です。

「蒲生蒼太(がもう そうた)」
 家族と離れ、大阪で原子力工学を学ぶ大学院生。
 原発が社会問題となって以来、自分の進むべき道について迷っているが、家のなかでも疎外感を味わっている。

「秋山梨乃(あきやま りの)」
 東京の高円寺で独り暮らしをする大学生。
 水泳でオリンピックに出ることを目標に頑張ってきたが、心の病にかかり、泳げなくなる。
 祖父の周治が育てている花に癒され、定期的に周治の家に通っていた。

「秋山周治(あきやま しゅうじ)」
 梨乃の祖父。
 退職後、西荻窪の自宅で植物を育てながら悠々自適の生活を送っていたが、何者かに殺される。在職中は、この世には存在しない青いバラを作り出す仕事に携わっていた。

「蒲生要介(がもう ようすけ)」
 蒼太の異母兄。警察庁勤務のエリート。
 梨乃がアップしたブログに記されていた「黄色い花」に反応し、偽の肩書きで梨乃に接近する。

「鳥井尚人(とりい なおと)」
 梨乃の従兄。
 アマチュア・バンド『ペンデュラム』を結成し、プロになることを夢見ていたが、突如、遺書も残さず自殺。

「早瀬亮介(はやせ りょうすけ)」
 西荻窪署の刑事。
 別居中の息子・裕太の恩人である秋山周治を殺した犯人を、自らの手で捕らえるために、熱心な捜査を続ける。

「早瀬裕太(はやせゆうた)」
 万引きの濡れ衣を着せられるが、秋山周治に助けられる。その周治が殺されたことで動揺。
 別居中の父に電話をかけ、捜査の進捗状況を尋ねる。

「蒲生 志摩子(がもう しまこ)」
 蒼太の母。警察官だった蒼太の父・真嗣(しんじ)を2年前に膵臓癌で亡くしている。

「日野 和郎(ひの かずお)」
 久遠食品研究開発センターの研究者。秋山周治が在籍していた当時の同僚。

「大杉 雅哉(おおすぎ まさや)」
 人気アマチュアバンド「ペンデュラム」のボーカルとギター担当。
 鳥井尚人と出会ってから、二人でプロを目指すようになった。

「伊庭 孝美(いば たかみ)」
 蒼太が中学生の時の初恋の人。医者の娘。



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