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『プレイバック』 レイモンド・チャンドラー(著), 清水俊二 (翻訳)

2016年11月24日 20時36分00秒 | ■読書
「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『プレイバック(原題:Playback)』を読みました。


チャンドラー短編全集3 待っているさらば愛しき女よに続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。

-----story-------------
女の尾行を依頼された「マーロウ」は、ロサンジェルス駅に着いた列車の中にその女の姿を見つけた。
だが、駅構内で派手な服装の男と言葉を交すや女の態度は一変した。
明らかに女は脅迫されているらしい。
男は影のように女について回った… そして二人を追う「マーロウ」を待つ一つの死とは?

正統派ハードボイルドの伝統を築いた「レイモンド・チャンドラー」が、名作『長いお別れ』ののち、4年の沈黙を破って発表した問題の遺作。
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「レイモンド・チャンドラー」の私立探偵「フィリップ・マーロウ」を主人公とする長編シリーズ全7作品のうちの最終作品(1958年発表)… 「レイモンド・チャンドラー」にとって遺作となった作品で、これまでのシリーズとは異なる「マーロウ」の行動等があって、謎を秘めた作品とも呼ばれているようです、、、

また、作中で「マーロウ」が語る、

「しっかりしていなかったら、生きていられない。
 やさしくなれなかったら、生きている資格がない」


"If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
 If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."


という印象的な科白が有名な作品でもありますね。


「マーロウ」は弁護士「クラウド・アムニー」からの依頼を受け、ユニオン駅で特急から降りた女「エレナー・キング」を尾行する… 彼女は駅で男と話した後、海辺の町エスメラルダへ行きホテルに宿泊した、、、

それを追ってホテルの隣室に泊まった「マーロウ」は、「エレナー」とユニオン駅で話していた男「ラリー・ミッチェル」の会話を盗み聞きし、「エレナー」「ラリー」に恐喝されていることを知る… その後、「エレナー」は別なホテルに移るが、「マーロウ」は、別な私立探偵「ロス・ゴーブル」から尾行されたり、ヤクザ者「リチャード・ハヴェスト」に襲われたり、雇い主の「アムニー」と交渉したり、「アムニー」の秘書「ヘレン・ヴァーミリア」との関係を深めたりしつつ、「エレナー」との接触を試み、徐々に「エレナー」に近付いて行く。

そして、ある夜、「エレナー」「マーロウ」の部屋を訪れ、彼女の部屋のベランダに「ミッチェル」の射殺死体があると言って助けを求める… しかし、「マーロウ」が部屋を訪ねてみると「ミッチェル」の死体は消えていた、、、

翌朝、ホテル側に確認すると、「ミッチェル」は夜中のうちに荷物をまとめて出発したという… しかし、「ミッチェル」の車に荷物を積みこんだと証言する車庫の夜警「セフィリノ・チャング」が死体となって発見されたことから、「マーロウ」は警察に事情を話し、協力体勢を取ることを決断する。

そして「ミッチェル」の車が無人の砂漠で発見される… その頃、エスメラルダの警察署に、「エレナー」の舅で「キンゾルヴィング」と名乗る老人が現れ、「エレナー」と結婚していた息子が「エレナー」に殺されたとして起訴していたことが判明、、、

無罪になったものの「エレナー」は、その土地を逃げ出し、どこか遠い土地で名前を変え、新しい人生を歩もうと西海岸へ逃げてきたのだった… 「マーロウ」は老人を追い返すとともに、「ミッチェル」が消えた謎を解き、真相を明らかにする。

レストラン経営者「クラーク・ブランドン」「エレナー」を愛してしまい、彼女を守るためにミッチェルを殺して運び出し、砂漠に車だけ残して、死体をヘリで運んで海に捨てた… というのが真相でしたが、「マーロウ」「エレナー」の幸せのため、「ブランドン」の犯行に見逃し、エスメラルダを後にする、、、

ロサンジェルスに戻った「マーロウ」『長いお別れ』(未読ですが…)で登場した金持ちの未亡人「リンダ・ローリング」がパリから国際電話をかけてくる… 彼女の誘いを受け、「マーロウ」はパリへ飛ぶことにする というハッピーエンドっぽいエピソードで本作は締めくくられます。


「レイモンド・チャンドラー」の遺作となった作品なので、これはこれで良かったのかな… という感じですが、、、

古くからのファンには、ちょっと納得いかない展開とエンディングのようですね。



以下、主な登場人物です。

「フィリップ・マーロウ」
 私立探偵

「クラウド・アムニー」
 弁護士

「ヘレン・ヴァーミリア」
 アムニーの秘書

「ベティ・メイフィールド(エレナー・キング)」
 謎の婦人

「ヘンリー・キンゾルヴィング」
 メイフィールドの義父

「クラーク・ブランドン」
 <ランチョ・デスカンサド>の経営者

「ジャック」
 <ランチョ・デスカンサド>のフロント係

「ルシル」
 <ランチョ・デスカンサド>の交換手

「ラリー・ミッチェル」
 ブランドンの友人。恐喝屋

「ロス・ゴーブル」
 カンサス・シティの私立探偵

「ジョー・ハームズ」
 タクシーの運転手

「ジャヴォーネン」
 <西風荘>の探偵兼副支配人

「セフィリノ・チャング」
 <西風荘>の車庫の夜警

「ヘンリー・クラレンドン」
 <西風荘>に滞在している老人

「マーゴ・ウェスト」
 <西風荘>に滞在している婦人

「リチャード・ハヴェスト」
 やくざ者

「アレッサンドロ」
 エスメラルダ警察の部長


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