チャクの脱毛は少しずつですが良くなってきています。桃の皮程度だった毛が0.5~1cmぐらいに伸びてきました。それでもまだオヘソの下あたりはガジガジすることがあるので、ここだけはなかなか毛が伸びません。尻尾のおしゃぶりはしますが、自己授乳はしなくなりました。
チャクは近所の病院で診察を受けていますが、今のところ特に専門医は探してません。
主治医の勧めで
人工フェロモンを使いましたが効かなかったので、後は服を着せるか、カラーをつけるか、抗不安剤を投与するぐらいしか病院では指示できないと言われています。頼めば専門医を紹介してくれるかもしれませんが、主治医の治療方針とそう変わらない気がするし、近所の病院ですらものすごいストレスになっているのでタクシーに乗せて遠くまで連れていく気もちにはなれません。
肉が見えたり潰瘍になるほど舐めているのであれば投薬も仕方ありませんが、たまにプツプツができるものの今は落ち着いてきているし、今のチャクにカラーをつける気もステロイドを塗る気も(病院によっては、とりあえずステロイドを出して効けば心因性や内臓疾患ではなく皮膚の問題と判別するためにステロイドを出すところもあるよう)、抗不安剤を与える気もないので食事を変えたりフラワーエッセンスを試したり、私の生活態度を変えたり色々試しています。
猫さんの脱毛が始まって、まだ一度も病院に連れていっていない方がいらしたら、最初に病院で皮膚や内臓の問題が無いかどうか診断してもらってください。
チャクの脱毛は私の精神状態や生活態度が大きく影響しているように思えます。この二つが改善してきたことで、チャクの状態も良くなってきています。私もチャクと同じタイミングでほぼ同じようなエッセンスを飲んでいるので、私の情緒が安定することで相乗効果が出ているのかもしれません。
チャクが神経性皮膚炎と診断されてから、以前にも増して動物の心に興味が沸いてきました。ちょこちょこ調べ物をした中で、参考になったものを書き留めておきます。
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FELINE COMPULSIVE BEHAVIOR
Alice Moon-Fanelli, PhD, CAAB
Tufts University School of Veterinary Medicine
気になるとこだけ適当に抜粋
代表的な強迫行動(compulsive behavior)には、毛布を吸うウールサッキング、布などを食べてしまう異食、感覚過敏(hyperesthesia)、心因性脱毛(psychogenic alopecia)がある。最初は、感情の昂ぶりを身体を舐めるなどして落ち着けていたもの(転移行動)が、猫を不安にさせる刺激が続くことによって特定の行動を繰り返すようになり、しいては刺激との前後関係なしに繰り返すようになる。また、時間が経過するにつれ刺激の強さに関係なく強迫行動が誘発されるようになる。
【ウールサッキング】
人間の子供がお乳代わりに指をしゃぶる行為と似ている。6ヶ月未満で始める猫が多く、原因として早すぎる離乳、遺伝、不適切な養育環境や社会的刺激、欲求行動の神経制御機能不全などが指摘されている。ウールサッキングはオリエンタル系の猫によく見られる行動で、これを行う猫の約半分がシャムであるため遺伝的要素も大きいと考えられている。症状が進むと布を吸うだけでなく、輪ゴム、靴紐、ビニール袋などを食べてしまう異食に発展することがある。異食はウールサッキングとは別に、空腹、栄養失調、貧血、食物繊維の不足、糖尿病、腫瘍などが原因になっていることもある。
【心因性脱毛】
環境の変化が影響している心因性脱毛(過剰グルーミング)の場合は、隠れる、拒食、回避行動、緊張や神経質な状態等、行動の変化が伴うことが多い。
心因性以外の過剰グルーミングでは、寄生虫、食事、埃、花粉、菌類に対するアレルギーや過敏、膀胱炎、肛門膿の炎症、甲状腺機能亢進症といった身体的症状によるものがある。最初はこのような身体的症状が原因で始まった過剰グルーミングが、病気が治り原因が解消されても行為として残ることがある。
心因性脱毛はオスよりメスがなりやすく、年齢はあまり関係ないが思春期に発病することが多い。
過剰グルーミングを行う部位は、腹部、わき腹、背中、胸、脚部など。
純血種のオリエンタルや神経質な猫が発症しやすい。
過剰グルーミングは感覚過敏でもおきるため、軽度の感覚過敏は心因性脱毛と勘違いされやすい。
【感覚過敏】
瞳孔の拡張、過剰グルーミング、過剰に背中の毛を逆立てる、異常な鳴き声を発する、自分の尻尾に驚いて駆け回ったり、いきなり興奮して走り出すジャンプするといった症状が特徴で、神経学的要因と強迫行動が絡み合った複雑な行動。感覚過敏による過剰グルーミングは、尻尾、わき腹、骨盤部などを集中的に激しく舐めるため自己攻撃行動と言える。このような攻撃的発作は自分の体だけでなく人間に向けられることがあり、かまって欲しいときに発作を起こすこともある。感覚過敏の猫は触られることに敏感で、背骨にそって体をなでると攻撃的な発作が誘発されやすい。
感覚過敏は通常1歳から5歳ぐらいで発症し、攻撃行動は夜と明け方におこりやすい。発作は数秒から数分で治まるが、その間隔はまちまち。ノミによる皮膚炎、食物アレルギー、椎間板疾患、脊椎の外傷、感染症、中毒症状、新生組織形成等が原因で起きることもある。
シャム猫やシャム系のMIXがなりやすい。
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チャクはウールサッキングはしないものの、代わりに自分の尻尾をしゃぶり、小さい時は何度か輪ゴムを食べたことがあります。グルーミングが酷くなったのは膀胱炎を発症した後なので、この辺にも原因がありそうです。チャクは雑種ですが、顔が逆三角形で小さくほぼ九頭身です。避妊後は体重が増えましたが、骨格は華奢で骨は細いのでオリエンタルの血が入っているように見受けられます。
夜中や明け方に走り回るというのは他の猫さんでも良く聞くし、フォックス博士の本でも狩りの習性が残っているだけだとしているので、これだけで感覚過敏とは言えなさそうです。ただ、チャクは見えない相手を追いかけたり脅したりといった行動も昔からあるので、多少その気はあるのかも。こういった異常な行動は、人間の目には見えない埃やチリにじゃれていることが多いとどこかで読んだことがあるので深く考えていませんでしたが、軽度の感覚過敏なのかもしれません。
つづきがあるのですが、また次の機会に・・・
【その他参考になった本】
『アニマルラーニング―動物のしつけと訓練の科学 』
著 中島 定彦
関西学院大学の心理学助教授で、動物の認知・行動全般の研究をされているそうです。
動物の学習と行動の基本理論を分かりやすく説明しています。
過剰グルーミングについて深くは触れていませんが、専門用語が易しく説明されているので、ちょっと専門的な本を読む時のカンニングペーパーとして役立ちます。何をしてもダメだ・・・というあきらめの現象「学習性無力感」がゴキブリでも確認されているというのが興味深かったです。薄いので持ち歩きにも便利です。
『うちの猫が変だ! 』
著 ニコラス・ドットマン
訳 池田雅之,伊藤茂
アメリカの動物行動学者で獣医師と一緒に問題行動に取り組んでおられるそうです。
基本的に薬物療法の話です。
セロトニンの量が増えると攻撃性は抑えられるが支配性は高まるのだそう。
問題行動が内猫に多く、半外飼いが主流のイギリスでは問題行動が少ないことを指摘し、猫を外に出すリスクに言及しつつも、屋内での監禁と不自然な生活スタイルが直接の原因と断言している点が興味深かったです。
『Clinical Behavioral Medicine for Small Animals 』
著 Karen L. Overall
こちらの和訳本は
『動物行動医学―イヌとネコの問題行動治療指針』として出版されています。
一般書を読んでも結局同じようなことしか書いてないので、もうちょっと何かあるかなと期待して購入しました。まだ途中なので特別役に立ちそうな情報があったら記事にします。
『コンパニオンアニマルの問題行動とその治療』著 工亜紀
以前、記事にしていますが読みやすい本です。
以前の記事はコチラ☆
『猫に精神科医は必要か』著 P.ネヴィル
訳 竹内和世,竹内啓
イギリスの大学病院で問題行動に取り組んでおられる動物心理学者。
心因性脱毛については数ページ程度で、対応としてはストレスの原因を取り除いて薬物療法をする程度のことしか書かれてませんが、色んな症例を一般読者向けの言葉で解説しています。基本的に半外飼いの猫が前提のようです。
過剰グルーミングの原因の一つとして、缶詰に含まれる保存料、防腐剤、香料、着色料や脂肪酸の不足を挙げていたのが興味深かったです。
『ネコのこころがわかる本―動物行動学の視点から』
著 マイケル・W. フォックス
翻訳 奥野 卓司, 蘇 南耀, 新妻 昭夫
獣医師であり行動学博士、マッサージ本も出している。
もともとは犬の研究が専門だそう。
過剰グルーミングは自慰的な転位行動とし深くは解説していませんが、猫の歴史や行動がコンパクトにまとめられています。
文庫サイズで持ち歩きが便利だし値段も手ごろなのでお気に入りの一冊。
他にも読みたい本は沢山あるのですが、絶版だったりお高かったりでなかなか手に入らないのが悲しいところです