明るい化け猫計画

~猫又育成のための自然療法研究ノート~

【猫の過剰グルーミング】人、ネズミ、鳥、猫の心因性脱毛

2009年11月14日 | 神経性皮膚炎/過剰グルーミング/脱毛
人間の抜毛症(脱毛症)と、ネズミの過剰グルーミングの相関性を示唆する記事をみかけ、チャクの過剰グルーミングにも何かヒントになるかなと調べています。

ネズミにも過剰グルーミングというか、抜毛症があるそうです。(2)(3)
興味深いのは、自分の体を対象とした過剰グルーミングとは別に、周りのネズミをお手入れしてくれる「床屋さん」タイプがいるところ。

集団で暮らすネズミの中に「床屋さん」役のメスがいて、周りのネズミをグルーミングして周り、彼女以外は毛がなくなってしまう。
で、その床屋さんをグループから外すと、違うメスが床屋さんの役割を継ぐんだそうです。

そういえば、昔おうちにハツカネズミがたくさんいたとき
世話役のメスが、周りのネズミを毛づくろいしすぎてよく怒られてました。

人間も、自分の毛髪だけでなく他人の毛を抜きたい衝動に駆られる人がいるようです。(6)

ネズミの場合、床屋さんになるのは必ずメスみたいで
猫の心因性過剰グルーミングも、有る調査では72%がメスとのデータがあります。(4)
人間も、抜毛症は女性に多いと言います。

個人差も多少あるのかと思いますが、人間の場合
イライラしている時と、TVなど観てリラックスしている時、ボーっとしている時に毛を抜きたくなったり、無意識に抜いていたりするんだそうです。

チャクのペロペロも、ストレスがかかった時だけではありません。
ソファーでリラックスしている時に始めたり、手持ち無沙汰でやっちゃうのかなぁと思うことがあります。

鳥にも過剰に羽を抜く異常行動があるそうです。(4)
ただ、野生の鳥で羽が無いと、飛ぶ時に弊害が出るし、寄生虫がつきやすかったり感染症にかかりやすく、生存率の低下に繋がるので、生存競争の激しい自然界でそのような自傷行為をするとは考えにくいそうです。

一方、インコやオウムなど飼われている鳥の10%に、このような異常行動がみられるとの報告があります。(4)

籠の中の鳥は、不安やフラストレーションに加えて、
空を飛ぶという本能が満たされないこと
仲間同士のグルーミングが無い(少ない)というのも大きな要因だそうです。

猫も、以前考えられていたよりずっと社会的な動物だということがわかってきています。(7)

多頭でも過剰グルーミングはあるようですし、猫密度が高ければそれはそれでまた問題が発生したりしますが、猫一人だと、ペロペロしたりされたりというコミュニケーションがない分、全部自分の体に向かってしまうのでしょうか。

猫科の野生動物についても、心因性脱毛症は考えにくいそうです。(4)
鳥と同じように過剰グルーミングによって、野生での適応度(環境に適応して、生存・繁殖する能力の度合い)が下がるためです。

しかし、捕獲された"元"野生動物では心因性脱毛症が確認されています。
外で暮らす動物にもストレスがかかることはありますが、発散するはけ口があるため、飼われている動物のように慢性的な葛藤を抱えることは、基本的にないそうです。

原因は「ストレス」というよりも、生得的な行動を阻害されることで生まれる葛藤(本能を満たせないための葛藤)ではないかという見解もあるようです。
過剰グルーミングを含む異常行動が、室内飼いに多いという話は色んな資料に出てきます。

あと、先日デズモンド・モリスの本を立ち読みしていて気づいたのですが
屋内猫というのは、鳥の羽をむしったり、獲物の内臓をひっぱりだすという経験をしませんね。

チャクは以前、ムートンの毛を激しく毟ることがあって、イライラしているのかと思ったのですが、毟るという行為がハンティングに連携した本能を満たして気持ちよかったのかもしれません。

同じ頃、過剰グルーミングを発症する前ですが、爪を激しく噛んだり、鏡の前でため息をつくことが多く、バッチのクラブアップルとチェリープラムを飲ませたことがあります。

その後、異常な爪噛みとため息はほとんど無くなったものの、ムートン毟りはおさまりませんでした。これは、猫の本能(種のテーマ)をなんとか満たそうとする行為だったからなのかもしれません。

異物は、喉につまらせたり、飲み込んで腸に詰まったりということが心配ですが
何か安心して毟らせてあげられるものがあったら、思う存分毟らせてあげたいです。
鳥の羽むしりを擬似体験できるオモチャとかあったらいいんだけどなぁーと思いつつ、人間はいったい何をやってるんだろう・・・と自己嫌悪になってきます。

以前、何かの番組で観たのはこちらかな あとり農園 犬や猫がちゃんと役割を持って人間と共生していて、こんな暮らしできたらって思いました。

そういえば、チャクは猫草を食べない分まで引き抜いていることがあります。
猫草なら安心だし、多少の慰めにはなるのかしら。

やはり、外の世界を人工的に再現するのは、なかなか難しいですね。

抗酸化作用があるとして、サプリなどで販売されているアミノ酸の一種 N-アセチルシステインが、人間の心因性脱毛症に効果があったというリサーチもありました。(5)

動物というのは、心地よいこと、気持ちいいことを繰り返す習性があります。
N-アセチルシステインを摂取することで、脳内の特定個所におけるグルタミン酸(興奮性神経伝達物質)濃度を抑え、毛を抜いた時の快感を抑える効果があるようです。

しかし、こちらも誰にも効くとはいかないようで、改善が確認できたのは56%

N-アセチルシステインは、猫の角膜炎に処方される点眼薬や、アセトアミノフェン(非ピリン系の解熱鎮痛薬に含まれる)中毒による肝機能障害の治療に使われているようです。

犬猫用のサプリでも含まれているものがあります。薬剤師ではないので詳しくは分かりませんが、抗うつ剤より副作用が少ないような気がします。

毛を抜いた時の快感に代わる喜びがあれば、毛は抜かなくなるのかもしれません。

おまけ
中国医学では、肝臓と目は密接な関係にあり、イライラすると肝機能を低下し、目にも悪いと言います。肝臓の酵素合成に必要なアミノ酸(N-アセチルシステイン)が情緒に影響したり、角膜炎の治療に有効というのが中国医学と重なっておもしろいなぁと思いました。


【参考】
(1)遺伝子操作でネズミに抜毛症
アメリカ国立精神衛生研究所 プレスリリース 2007年7月22日
(2)Barbering in Mice: Causes and Prevention
(3)Barbering in mice: a model for trichotillomania
(4)Trichotillomania
著者: Dan J. Stein,Gary A. Christenson,Eric Hollander 75-78
(5)Health Food Supplement May Curb Compulsive Hair Pulling
ScienceDaily (July 7, 2009)
(6)抜け毛症に悩むあなたへ。
(7)Clinical Behavioral Medicine For Small Animals (著者: Karen Overall MA VMD)
(日本語版は「動物行動医学―イヌとネコの問題行動治療指針 Karen L.Overall (著), 森 裕司」)
(8)N-アセチルシステインおよびスコルビン酸によるネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染細胞におけるアポトーシスとウイルス増殖の抑制
The journal of veterinary medical science 60(11) pp.1187-1193, s.v 19981100 [Index] Japanese Society of Veterinary Science
(9)猫におけるアセトアミノフェン中毒の治療に用いるN-アセチルシステインとメチレンブルーの単独または組合せでの比較 (1996)
月刊動薬 文献番号 66856



にほんブログ村 猫ブログへにほんブログ村 猫ブログ 猫 ホリスティックケアへ

人気ブログランキングへ



【猫さんのサプリ】コロストラムで気になったこと

2009年11月10日 | 猫さんの食事
私は血管運動性鼻炎という、走り出しそうな名前の鼻炎を持っています

自律神経の調整が上手いこといかず、ストレスやちょっとした温度差で
くしゃみ、はなみず、目のかゆみ・・・と花粉症のような症状になります。

で、アレルギーやらなんやらネットサーフしていたら
コロストラムがアレルギーにいいとか、免疫アップになるという情報が沢山でてきました。

でも、サプリのショップなどで、コロストラムがある種の癌を増殖するリスクに触れているところは、あまり見かけませんでした。

コロストラムは犬猫にも使う人が多いようなので、気になったことをちょっと書いておきます。

google で 「コロストラム 癌」 を入力しても、ヒットするのは癌を抑制するという情報ばかり。

「コロストラム 癌」の検索結果↓
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%80%80%E7%99%8C&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=&aq=f&oq=

コロストラムが身体に良いと言われる理由の一つが、これに含まれるインスリン様成長因子1(IGF-1)です。

これは、私たちの肝臓でもつくられるホルモンの一種で、骨や細胞の成長を促します。
成長を促すので、健康な細胞もガン細胞も分裂と成長が活発になります。
加えて、過剰摂取すると健康な細胞が癌細胞に変わってしまう可能性がだいぶ前から指摘されています。

ためしに 「インスリン様成長因子1 癌」 や 「IGF-1 癌」 で検索したら、先ほどとは正反対の結果が続々とでてきました。

お時間がある方は、この違いを比較してみてください。

「IGF-1 癌」の検索結果
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=IGF-1+%E7%99%8C&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=&aq=f&oq=

「インスリン様成長因子1 癌」の検索結果
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%A7%98%E6%88%90%E9%95%B7%E5%9B%A0%E5%AD%901%E3%80%80%E7%99%8C&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=&aq=f&oq=

乳酸菌やキノコ類も、
癌やアレルギーに良いという説と、悪化するという説があります。

サイエンスはものすごい速さで進化しているので、昨日まで科学で肯定されていたものが今日は否定される、というようなこともよく起きます。
栄養のよしあしも、ころころ変わります。

牛乳一つとっても、
牛乳は骨に良い、成長に不可欠だ・・・
でも、戦後牛乳を飲むようになって日本人の乳癌が増えたよね?
いやいや、それは牛乳が悪いんじゃなくて牛の餌に入っている薬剤や環境汚染のせいだ
それっばかりじゃない、やっぱり乳に含まれているエストロゲンのせいじゃないか
乳癌だけじゃなくて他の癌も増えているんだから、原因はエストロゲンよりもIGF-1のほうじゃない?
でも生乳に含まれるラクトフェリンは抗がん作用があるでしょう・・・とまぁ色々です。

普通の食事であれば何かを過剰摂取する可能性は低いですが、サプリはギュっと栄養が詰まっています。
毒にも薬にもなる

なので、私はサプリを飲みません
チャクも必要最低限です

猫さんの体質や体調もそれぞれだし、
食事の好き嫌いによって摂取できる栄養が偏ったりもするでしょうから
サプリが良くないという気はありません。
それで調子がよいのならば、何の問題もないです。

ただ、人間に良いから猫に良いとも限らないし(実際、猫にはNGなものもあります)
よその猫さんに良かったから、うちの猫さんにも良いとも限らない。
年齢や体調によって調節する必要があるんだろうなと思います。


【参考】
「がんを知り、がんを治す―研究最前線と新薬開発 (別冊日経サイエンス 160)」「免疫を悪用するがん」38-47
自然免疫系が癌の増殖を助けてしまう仕組み、癌を攻撃すると考えられていたサイトカインが実は腫瘍促進因子として働いていた、生体組織検査で腫瘍が傷つくと転移のリスクが高まるなど、専門用語が多く難易度高めですが図入りで詳しく説明されています。

金沢大学付属病院 がん高度先進治療センター
http://syuyounaika.w3.kanazawa-u.ac.jp/contents/pages/20080130_0002.html
IGF-1が肝臓癌の増殖を促進する可能性に言及

はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~
http://ameblo.jp/vet/entry-10027425038.html
一部の人間用サプリに含まれるαリポ酸の危険性について言及されてます。

にほんブログ村 猫ブログへにほんブログ村 猫ブログ 猫 ホリスティックケアへ

人気ブログランキングへ