jwmirage(ジェイダブリュミラージュ)の自由と放埓の日々

これからのモットーは "eccentric excellent"

ねじのお話

2007-01-17 01:23:28 | Weblog
ちょっとだけ気合の入った話をしてみます。

ねじ、というのはこれ非常に良く出来た代物でして、古くは種子島より伝わる鉄砲から(早送り)



で、接着、溶接などに対して「分解、再組立が可能である」という利点があるため多くの結合部に使用されています。

そもそもねじ、ってどうやってつながっているの? という基本的疑問があるのですが、なかなかこれに答えられる人は少ない。

ねじの締結理論としては、ねじの面への接触面とねじの「ねじ切り」部の接触面、この間を材料(鉄、正確には鋼)の引張強度で締め付けている、ということになります。

つまり簡単に言えばねじとナットの間の部分、ここが引っ張られることによって挟み込む、構造になっています。

ねじを締める、ある程度で固くなります。これが材料が引っ張られることでの締結力を発生している状態です。

これをまだ締め付ける。固くなってもまだ締め付ける。そうすると固かったのがわずかな間だけ固さが減ります。この後まだ締め付けると、ポキン、千切れてしまいます。

この固い状態、これが弾性力を発生している状態でして、ここからわずかに固さが減った間、この状態を弾性限界といいます。この状態でねじをはずすと(通常は)ねじ切り部で金属が延びているのが分ります。
この直後はほとんど無く、引っ張ると千切れる寸前の状態です。


問題は、エアガンに使われるねじの相手方は大抵雌ねじ、本体そのものということが往々にしてあります。こんなときに「締結力が発生するまで~」なんて締め付けると、本体の雌ねじ、通常は本体アルミかプラスチックなので、いわゆる「ねじがバカになる」ことになります。これを避けるためには、本当はJISガイドブックの「ねじ」を買ってきてM3+相手プラスチックの締め付けトルク、を調べるのが一番いいのですが、JISガイドブックなんてどこで買えるのか知らない、そもそもJISガイドブックってなんですかって話になるので、ねじロック、有名な商標名は「ロックタイト」をつけることでゆるみ止めになります。

このねじ、いいアクセントになって、KV-1戦車なんかに付いたり、『飛行艇時代』の飛行艇についていたりするのですが、KVについてるボルトってどう見ても拳骨サイズ。下手に敵弾当ったら千切れて内部の乗員に飛んできたりしたそうです。

最近の戦車に付いているねじは内部まで貫通しているわけではなくて増加装甲の仮付け(もっと良いものが出来たら取り替える)として付けてある訳です。

航空機の場合、ねじではなくリベット、であるのですが、用法的には同じであるものの、強度的にはリベットの方が落ちると解釈してよいようです。しかしそこは空気抵抗とねじれ応力との兼ね合いを計算して数、形が決まります。
かつ最近は接着も充分なものがあるため、CFRPなどの素材との兼ね合いを含めてリベットか、接着か、リベット+接着かを総合的に決めることが出来ます。


これであなたも次回からねじをバカにしない、かもしれない…。

何回やってもねじなめちゃう人っているんだよね…。