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「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

7/15(火)NPO法人交通まちづくり戦略会議発足記念シンポジウムを開催します!

2014-06-17 23:42:32 | 日記
皆様、こんにちは。

この度、特定非営利活動法人交通まちづくり戦略会議(理事長:春田啓郎 由利高原鉄道代表取締役社長)は、下記の要領で発足記念シンポジウムを開催いたします。シンポジウム終了後は、春田社長ほか出演者を囲んでの懇親会も開催いたします。

皆様のご参加をお待ちしております。



【開催概要】
NPO法人交通まちづくり戦略会議発足記念シンポジウム
「地域交通を支えるために私たちができること」

この度、地域公共交通および地域医療を核とした地域づくりの必要性を啓発する事業を行い、地域住民が豊かに暮らせる地域づくりに寄与することを目的として、この趣旨に賛同する交通事業者経営者、研究者、および市民の参加による市民主導型シンクタンク「特定非営利活動法人交通まちづくり戦略会議」が、平成26年5月7日に設立されました。
 設立を記念して、公共交通および地域活性化に尽力してきた当会理事による講演会を行います。地域交通の現場で奮闘してきた経験者の生の声を皆様にお伝えし、今後の地域交通と地域活性化のためのヒントを参加者全員で考える機会としたいと存じます。多数の皆様のご参加をお待ちしております。


【プログラム】※出演者のプロフィールは、一番下をご参照ください。
平成26年7月15日(火)
18時45分~受付開始

19時00分~20時00分 基調講演「ローカル線は地域の宝」 春田啓郎氏
20時00分~20時10分 休憩

20時10分~21時10分 パネルディスカッション「地域交通を支えるために私たちができること」
 コーディネーター:大塚良治氏
 パネリスト:春田啓郎氏、谷島賢氏、上野理志氏、野田隆氏。

参加費:1,500円 交流会費:3,500円(21時30分~23時00分「UP五反田」)

申込方法:下記メールアドレスに、(1)住所、(2)氏名、(3)電話番号、(4)ご所属、(5)懇親会参加の有無、を記入したメールをお送りください。追って、ご返信いたします。なお、会費は当日受付にて申し受けます。

シンポジウム会場:五反田駅前会議室

申込先・お問い合わせ先:特定非営利活動法人交通まちづくり戦略会議
住所 :〒 107-0052 東京都港区赤坂3-21-5 三銀ビル3F
電話番号: 03-6674-1547  メールアドレス:nposct@yahoo.co.jp


【出演者プロフィール】
(基調講演・パネリスト)
春田啓郎氏 由利高原鉄道(株)代表取締役社長・NPO法人交通まちづくり戦略会議理事長。日本大学経済学部卒業後、東急観光(株)(現、トップツアー(株))に入社。同社を退職し、公募により由利高原鉄道(株)代表取締役社長に就任、現在に至る。

(コーディネーター)
大塚良治氏 湘北短期大学総合ビジネス学科准教授・NPO法人交通まちづくり戦略会議副理事長。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程後期修了(博士(経営学))、広島国際大学大学院総合人間科学研究科専任講師を経て、2011年より湘北短期大学総合ビジネス学科准教授に就任し、現在に至る。内閣府消費者委員会電気料金問題検討ワーキングチームメンバーを歴任。NPO法人四日市の交通と街づくりを考える会専務理事ならびに生活バスちばにう友の会顧問を務める。著書に『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)等がある。

(パネリスト)
谷島賢氏 イーグルバス(株)代表取締役社長・NPO法人交通まちづくり戦略会議理事。成蹊大学法学部卒業後、東急観光(株)(現、トップツアー(株))に入社。同社を退職し、イーグルバス(株)に入社。2000年より同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。英国国立ウェールズ大学MBA、埼玉大学大学院理工学研究科博士後期課程修了(博士(学術))。

野田隆氏 一般社団法人日本旅行作家協会理事・NPO法人交通まちづくり戦略会議理事。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了後、都立高校教諭を務める傍ら、鉄道旅行に関する著書を多数執筆。著書の詳しい情報は、野田隆氏の公式ホームページまで。

上野理志氏 NPO法人四日市の交通と街づくりを考える会理事長・NPO法人交通まちづくり戦略会議理事。四日市大学経済学部卒。近鉄内部・八王子線の存続問題をきっかけとして、Facebook上に「近鉄内部・八王子線同好会」を立ち上げ、管理人となる。その後同好会を母体として、NPO法人四日市の交通と街づくりを考える会を設立し、理事長に就任。2015年春より「四日市あすなろう鉄道(株)」への運行に移行する予定の内部・八王子線の活性化に尽力している。

日本比較文化学会第36回全国大会「シンポジアム」パネリスト&「研究発表」司会を務めさせていただきました

2014-06-16 21:22:54 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年6月14日(土)に、JR小倉駅近くの北九州国際会議場(福岡県北九州市小倉北区)で日本比較文化学会第36回全国大会が開催されました。



私は「シンポジアム」パネリストと「研究発表」司会を務めさせていただきました。

「シンポジアム」テーマは「明るい未来社会構築のための比較文化的基盤研究に向けて」で、私は「夜行列車活性化に向けた一試案」と題して発表しました。国鉄分割民営化後夜行列車の廃止が続く一因として、JR各社にまたがる列車の削減傾向に長距離列車も該当することを指摘し、夜行列車運行のJR貨物への移管案を説明しました。



フロアからは多くのご質問をお寄せいただき、夜行列車に対する関心の高さを感じました。フロアからの主な質問項目と私の回答は、以下の通りでした。

(質問1)「ななつ星」のようなクルーズ列車が生まれたにもかかわらず、寝台列車が廃止となっているのはなぜか。私のような団塊世代は寝台列車に乗った人が多く、私自身も東京への主張に「あさかぜ」を愛用していた。定年退職し、これから寝台列車でゆっくりと旅行したいと思っていたのに、相次ぐ廃止はとても残念。
(回答1)JR各社にまたがる列車の料金収入は、それぞれの会社に分配されるため、JR1社当たりの収入が少なくなってしまうのと、車両や乗務員の管理に各社の調整が必要となり手間がかかることが衰退の一因。「ななつ星」は団体列車であり、客単価も高く、JR九州が収入を独り占めできるということと、イメージ戦略として運行していることが大きいのではないか。

(質問2)国鉄分割民営後、JRは儲かるところは徹底的に投資する一方、不採算のところは冷遇してきた。例えば、八高南線(八王子~高麗川)は利用者が多く電化したが、八高北線(高麗川~倉賀野)は非電化のまま放置されている。JR北海道問題や夜行列車廃止問題は、まさにJRの金儲け主義の犠牲ではないか。
(回答2)全く同感だ。分割の方法が誤りだった。政府100%出資の「日本鉄道グループホールディングス株式会社(仮称)」を設立し、同社にJR各社の株式を保有させることで、JR各社への適切な監督を行うスキームを作ることが必要であると感じている。

私の他の3人の発表は、次の通りです。

落合由治(台湾・淡江大学教授)「比較文化論の視点から見る台日CMの表現戦略」
佐藤静(宮城教育大学教授)「災害支援とコミュニケーション―心の支援とコミュニティーの再生・回復をめぐって―」
金賢廷(韓国・白石大学助教授)「日韓の言語行動の比較」


午後は、研究発表に移り、私は、羅暁勤(台湾・銘伝大学准教授)「海外インターンシッププログラムの実施効果及び問題点―インターンシップ生の観点から―」の発表の司会を務めさせていただきました。羅准教授の大学の学生が鳥取県三朝温泉の旅館で行ったインターンシップの効果と問題点についての発表であり、フロアから活発な質問が出されていました。

「シンポジアム」のパネリストおよび「研究発表」の司会にご指名いただいた日本比較文化学会の理事の先生方に心より感謝申し上げる次第です。

「生活バスちばにう」本日運行開始!

2014-06-09 22:46:22 | 日記
皆様、こんにちは。

本日平成26年6月9日(月)、北総線千葉ニュータウン中央駅~新鎌ヶ谷駅間を300円の運賃で結ぶ「生活バスちばにう」が運行を開始しました。

昨年2月に交通権学会前田善弘会員(現、NPO法人交通まちづくり戦略会議理事)のアイデアを私が千葉ニュータウン住民に伝えたことがきっかけで検討が始まり、印西・鎌ヶ谷両市の地域公共交通会議での承認を得て、本年5月末に、道路運送法第4条の路線バスとして国土交通省の認可を得ることができました。



朝の便には、印西市長や印西市議も視察にお見えになったとのことです。また、NHKやテレビ朝日、読売新聞など多くのマスコミが取材に来ていました。

また、私も千葉ニュータウン中央駅北口での発車式が始まる前にアルカザール前の「生活バスちばにう」のバス停付近で「友の会」メンバーとともにチラシ配布を行いましたが、多くの方に受け取って頂き、関心の高さを感じました。

午前10時より発車式を催しました。「お試し乗車券」を先着100名様に無料配布することを告知していたこともあり、100名を超えるご参加を頂きました。お試し乗車券は即時配布終了となりました。



発車式には来賓として、北総線沿線が地盤の、椎木保衆議院議員、滝田敏幸県議会議員、および藤代政夫県議会議員のご臨席を賜りました。私も「生活バス友の会」顧問としてご挨拶をさせて頂きました。



発車式に続いてテープカットを行い、10時30分発新鎌ヶ谷駅行きを見送りました。

運行初日にもかかわらず、大勢のお客様にご乗車頂くことができました。高齢の方や主婦はもちろんのこと、女子大生をはじめとする若い女性にもご利用頂きました。また、所要時間もほぼ30分に収まる便が多く、さらなる利用増が期待されます。

「生活バスちばにう」は千葉ニュータウン住民と鎌ヶ谷観光バス有限会社がタッグを組んで実現した小さなバス路線です。皆様のご支援で大きく育てていただければと強く願っております。

なお、時刻表や回数券はバス車内の他、 千葉ニュータウン中央駅付近のコンビニエンスストア等でもお買い求め頂けます。販売箇所は、鎌ヶ谷観光バスホームページでご確認できます。

※写真2枚目・3枚目:「生活バスちばにう友の会」土屋氏撮影


※以下、過去の関連記事です。

「全てのステークホルダーに『メリット』を―『生活バスちばにう』が目指すもの」

「『生活バスちばにうミニ・シンポジウム』が開催され、コーディネーターを務めました」

「千葉ニュータウンバス運行を目指して行われたバス社会実験を振り返る」

西武鉄道の企業価値向上策―池袋線・新宿線特急料金の通算制導入を!

2014-04-26 07:19:25 | 日記
皆様、こんにちは。

西武鉄道やプリンスホテルなどを傘下に持つ西武ホールディングス(HD)は23日、東京証券取引所第1部に上場しました。終値でみた時価総額は6055億円で、2013年7月のサントリー食品インターナショナル(初値時価総額9640億円)以来の大型上場となった(『日本経済新聞電子版』2014年4月23日)模様です。今後、グランドプリンスホテル赤坂跡地や長野軽井沢の再開発等を通じて企業価値向上を目指すようです。

上場企業である以上、株主価値向上は至上命題と言えますが、従業員や顧客、地域等の他のステークホルダーの「利益」を擁護する「ステークホルダーアプローチ」の視点で経営を進めることが大切です。

つまり、鉄道会社にとって、株主、利用者、地域、自治体等がともに"win-win"になる方策を考える必要があります。

その方策として、私は西武池袋線と新宿線の特急料金の通算制とイールドマネジメントによる特急料金の値下げを提案しています(詳しくは拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)155~164ページをご覧ください)。

現状では、西武特急の料金体系を改善することで、さらなる乗車人員増と特急収入増を実現することが可能と考えています。

西武池袋線と新宿線では、朝通勤時間帯上り方面および夕方以降下り方面は多くの通勤客に利用されていますが、逆方面および日中時間帯は相当低い乗車率に留まっています。

また、西武特急の利用の大半は池袋線池袋~所沢間および新宿線高田馬場~所沢間であり、池袋線所沢~飯能・西武秩父間および新宿線所沢~本川越間の乗車率は低くなりがちです。

以下では実際に、西武新宿線の夕方上り方面特急の様子を見てみましょう。

昨日は、西武新宿線本川越18時30分発特急小江戸38号西武新宿行き(列車番号138)6号車に乗車しました。10000系10104編成7両(座席定員406人)による運行です。

本川越では一般列車は比較的多くの乗降がありましたが、小江戸38号は閑散としており、本川越出発時点で6号車は私一人だけでした。



その後6号車では、狭山市で2人の乗車があったものの、所沢と東村山からの乗車はゼロでした。

東村山では急行西武新宿行き(列車番号2682)を追い越しましたが、2682列車では若干の立席も見られる程多くの乗車がありました。

高田馬場では全号車で20人程の旅客が下車し、西武新宿で下車したのは全号車で10人前後だったようです。全区間での乗車人員は30人前後だったと推定されます。

西武新宿到着後、折り返し19時30分発小江戸35号本川越行き(列車番号35)となります。多くの通勤客でほぼ満席となっていました。



西武線特急日中時間帯および夕方上り方面は空気輸送なのが実態ですが、一般列車では多くの乗車があります。西武特急の場合、多くの旅客は速達性もさることながら、着席を求めて利用しています。つまり、一般列車が空いている(=空席がある)場合、わざわざ特急料金を支払ってまで着席を求めて特急を利用する旅客は少ない、ということです。

ですから、一般列車乗車率が低い場合、それに応じて特急料金を引き下げることで、特急の需要を喚起することができるでしょう。

さらに、現在の特急通過駅(池袋線石神井公園、小手指、高麗、吾野等、新宿線小平、新所沢等)へ閑散時間帯に特急を停める方策を併せて実施することで、さらなる需要の掘り起こしが可能となります。

また、小江戸38号車内において、所沢では10分間の待ち合わせで特急むさし42号池袋行き(列車番号42)と特急ちちぶ31号西武秩父行き(列車番号31)に接続することが案内されていましたが、新宿線の特急と池袋線の特急を乗り継ぐと、それぞれ別々の特急料金が必要であることを考えると、新宿線特急と池袋線特急を乗り継ぐ旅客がどれほどいるのか、疑問に感じます。

例えば、本川越→飯能間を全て特急で移動する場合、本川越→所沢間360円、所沢→飯能間360円、合計720円の特急料金が必要となることを考えると、やはり特急の乗り継ぎは敬遠されるのではないでしょうか。

一方、池袋線と新宿線の特急料金の通算制が導入された場合は、本川越→飯能間の通算特急料金は420円となることから、お得感は確実に増し、需要が増えることは確実です。特急料金の割高感から乗車を敬遠していた旅客も特急にメリットを見出すようになるはずです。

実際に、特急料金の通算制は近畿日本鉄道が導入し、多くの旅客が特急乗継制度を利用しています。

また、JR東日本の首都圏エリアでも、改札口を出ない場合、普通列車グリーン車の乗換え(通算料金)が認められています。東北本線沿線在住の私の知人は、熱海や湯河原等からの帰りは普通列車グリーン料金の通算制を利用し、小田原や戸塚等で東海道本線普通列車グリーン車から湘南新宿ライン東北本線直通列車グリーン車へ乗り換えているそうです。

西武ホールディングス(HD)の大株主サーベラスは、西武特急料金の25%値上げを提案したとされますが(「経営改善には大きな疑問符 サーベラス提案の矛盾と欺瞞 西武vsサーベラス 全交渉秘録 ~猛犬はかくして牙を剥いた【後編】」『DIAMOND online』)、西武特急の乗車人員向上には、料金制度の見直しが有効な方策であると考えています。

さらなる乗車人員増と特急料金収入増を実現し、西武HDの企業価値を向上させるために、西武特急の料金体系の改善を提案いたします。


西武HD、初日終値1,770円 9年ぶり再上場 売り出し価格上回る
SankeiBiz 2014年4月24日(木)

西武鉄道やプリンスホテルなどを傘下に持つ西武ホールディングス(HD)は23日、東京証券取引所第1部に上場した。2004年12月に西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となって以来、約9年4カ月ぶりに株式市場に復帰。初値は売り出し価格と同じ1,600円で、終値は1,770円と初日の取引を最高値で終えた。東京都内で記者会見した後藤高志社長は「いい形で上場できた」と感想を述べた。

 終値ベースの株式時価総額は約6,055億円。上場する首都圏の私鉄の中では東京急行電鉄(8,137億円)、小田急電鉄(6,559億円)に次ぐ水準で、東武鉄道(5,377億円)などを上回った。

西武新宿線「小江戸」vs東武東上本線「TJライナー」

2014-04-15 16:20:23 | 日記
皆様、こんにちは。

昨日から今日にかけて、東武東上本線「TJライナー」、西武新宿線特急レッドアロー「小江戸」、そして小田急小田原線特急ロマンスカー「はこね」に乗車しましたので、乗車記をお届けします。今回は東武東上本線と西武新宿線を取り上げ、小田急小田原線特急ロマンスカー「はこね」の乗車記については、別稿でお届けしたいと思います。

4月14日、東武東上本線池袋21時30分発「TJライナー8号」小川町行き(列車番号15)10号車に乗車しました。50090系51094編成による運行でした。

池袋を若干の空席を残して定刻に出発しましたが、9割を超える乗車率で、ほぼ満席でした。ふじみ野で若干名の下車があり、ここから多くの乗車がありました。東武鉄道は早ければ来年にも、朝上り「TJライナー」の運行を計画していますが、その際には現在の着席整理券による座席定員制自由席ではなく、全席座席制に変更することが予想されます(拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)144ページ)。そうしますと、現在行われているふじみ野からの無料乗車が維持されるのかどうかが焦点の一つとなります。今年に入って、3月20日・27日・28日に、池袋23時20分発の臨時「TJライナー」が運転されたことからも推察されるように、東武鉄道は「TJライナー」の運行時間帯の拡大やさらなる増便を検討しているようです。土曜休日の池袋21時台・22時台の「TJライナー」設定、川越や比企地方への行楽向け「TJライナー」など多様な列車設定を期待したいところです。



翌4月15日は、西武新宿線本川越(時の鐘と蔵のまち)06時09分発特急「小江戸2号」西武新宿行き(列車番号102)5号車に乗車しました。10000系10112最終増備編成でした。



本川越を各号車平均3人程度の乗車で出発しましたが、5号車は狭山市約20人、所沢4人と所沢までは比較的おとなしめの乗車に留まっていましたが、東村山で1人が下車したのと入れ替わって40人乗車があり、満席となりました。今日の「小江戸2号」を見る限り、東村山を特急停車駅に加えたことは大成功のようです。



それにしても気になったのは、本川越→所沢間の低乗車率と所沢からの乗車が少なかったことです。狭山市では、06時17分発「小江戸2号」を見送って、次の06時22分発急行西武新宿行き(列車番号2608)まで待つ旅客が多くいました。この中には、高田馬場・西武新宿方面の旅客だけでなく、所沢で西武池袋線に乗り換える旅客も相当する含まれているものと思われます。

現状では、仮に狭山市→池袋の全区間で特急に乗車する場合、狭山市→所沢間特急料金360円と所沢→池袋間特急料金360円の合計720円がかかります。狭山市→池袋間を利用する旅客の中には、狭山市→所沢間では一般列車を利用し、所沢→池袋間を特急利用する旅客も少なくないものと推測されます。利便性向上のためには、西武池袋線の特急料金と西武新宿線の特急料金を「通算制」にすることができれば、旅客は気兼ねなく、狭山市→池袋の全区間で特急に乗車することが可能となります。

仮に狭山市→池袋34.5kmを「通算制」にできれば、特急料金は360円となります。西武鉄道にとっても、乗車率が低くなりがちな、西武新宿線所沢~本川越間および池袋線所沢~飯能・西武秩父間の乗車率向上につなげることができるでしょう。狭山市→池袋ではをすべて一般列車で移動した旅客も、狭山市から乗車しても料金が変わらないと分かれば、新たな需要の掘り起こしにもつなげることも可能となるでしょう(詳しくは、拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)155~164ページをご覧ください)。

池袋・新宿~川越・本川越間には、西武新宿線、東武東上本線(+東京地下鉄副都心線)、そしてJR埼京・川越線の3ルートがあり、競合関係にあります。中でも、西武新宿線と東武東上本線には、通勤ライナーがそれぞれ運行され、日々多くの通勤利用があります。

上記3ルートの運賃と所要時間を比較すると、以下の通りです。



西武は、新宿と川越の両ターミナルが中心部からやや離れた位置にあるものの、乗換のなさやハイグレードな特急車両の運行で高品質なサービスを提供しています。

東武は乗換の手間はあるものの、所要時間の速さで優位に立っています。

JRは埼京線と川越線の直通列車を利用すれば乗換の手間は省けるものの、3ルートの中で運賃と所要時間が最も高くなっています。しかし、恵比寿以南および臨海副都心方面へのダイレクトアクセスが最大の魅力です。

また、「通勤ライナー」の比較では、西武新宿線では専用の特急車両が使用されているのに対して、東武東上本線では一般列車と「TJライナー」の兼用車両が用いられており、内装には格差があります。東武東上本線にも、西武レッドアローのようなハイグレードな特急車両が期待されるものの、日中時間帯の一定以上の乗車率が困難であることが見込まれる中では、実現可能性は乏しいと言えるかもしれません。

しかし今後、鉄道会社は少子化で乗車人員の減少が予想され、魅力的なサービスで潜在需要を掘り起こすことがますます重要になることは確実です。鉄道会社による斬新なサービスが提供されることを期待しています。