「こんな状況でモチベーションが上がるわけない」「こんな仕事をさせられるばかりじゃ、モチベーションも下がっちゃうよ」などと言う人がいますが、どんなに不況で厳しい状況でも頑張り続けられる人もいるし、変わり映えしないルーティン仕事でもモチベーションをもって取り組んでいる人もいます。
結局、出来事や状況がモチベーションを決めるのではなく、その受け止め方がモチベーションを決めるのです。
ここで大事なのが出来事や状況とその受け止め方を区別することです。
そのことを自己物語の心理学の視点から見ていきましょう。
私たちは自分を主人公とする物語の世界を生きているということを前提に、さまざまな心理現象を解明していくのが自己物語の心理学の立場です。
自己物語の心理学では、「出来事の世界」と「意味の世界」を区別します。
そして、私たちが生きているのは、客観的な「出来事の世界」なのではなく、客観的な出来事のもつ意味を主観的に解釈した世界、つまり主観的な「意味の世界」ということになります。
言い換えると、私たちは、出来事が羅列された年表のような世界を生きているのではなく、それぞれの出来事を意味づけ、また出来事同士を因果関係で関連付けた物語の世界を生きているのです。
そこでは、何が起こったかが重要なのではなく、起こった出来事をどのように受け止めるか、つまりどのように意味づけるかが決定的に重要となります。
それによって物語の世界の様相が決まってくるのです。
たとえば、上司による叱咤激励や高すぎるノルマに対して、「ひどすぎる。きっと私は嫌われてるんだ」「もう、こんなんじゃ、やってられないよ」と感情的な反応を示し、モチベーションを低下させ、仕事もいい加減になるタイプがいるかと思えば、「相当期待されてるのかも」「これは自分を鍛えるチャンスだ」「無理かもしれないけど、やるだけやってみよう」と冷静に反応するタイプもいます。
あるいは、「酷い言い方だなあ。絶対に見返してやる」というように、一時的に感情的になっても、すぐに冷静になり、モチベーションを上げて仕事に集中するタイプもいます。
同期が昇進し自分は昇進見送りというような、いわば左遷的な異動に際しても、「もうダメだ」「やってられないよ」と感情的に反応し、モチベーションを低下させ、仕事がどんどんいい加減になっていき、潰れてしまうタイプがいるかと思えば、一時的に落ち込むことがあっても、やがて「見返してやる」と強気の感情反応に移行し、ものすごいエネルギーを仕事にぶつけていき、誰もが認めざるを得ないような力を付けていくタイプもいます。
こうしてみると、似たような状況でも、「もうダメだ」「どうにもならない」「どうせ無理だ」「こんなの、やってられないよ」とネガティブに受け止めるか、「たいしたことない」「何とかなる」「これは成長のための試練だ」「こんなことに負けてたまるか」とポジティブに受け止めるかで、モチベーションの方向は180度違ってくるし、それによって成果も大きく違ってくることがわかります。
そこで大切なのは、物事をポジティブに受け止めるクセをつけることです。
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