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主夫の徒然なるままに

「葬式は要らない」を読んで

「葬式は要らない」島田裕巳
アメリカドラマや韓国ドラマを見ていて葬式は、けっこう簡略なものだと、誰もが知っている。インドにいたっては、火葬のあとガンジス川に流すだけである。日本では、今でこそ見ることがなくなったが、華美は霊柩車が代表されるように豪華な祭壇を準備して儀式が行われる。

 仏教が、根本的に哲学的思想から始まったにもかかわらす、日本では、なぜ、葬式仏教になったのか、さらになぜあのように派手な葬儀が必要になったのか、その疑問にこの本は、答えてくれた。

 奈良時代に取り入れられた仏教は、当初、学問的色彩が強かった。次に輸入されたのが平安時代の「密教」である。疫病や天変地異の厄災を取り除き、祟りを抑え、個人の病を癒す現生利益をもたらす。密教では、現実世界の他のさまざまな世界が存在する。曼荼羅の世界や千手観音や不動明王などの異形の存在など、密教を認めることで現実は別の世界の存在を受け入れることになる。

 次の浄土信仰により死後の世界、特に地獄の恐ろしさが強調される。そこから極楽浄土への往生する方法が生まれる。庶民には、「念仏」。貴族は、末法思想に対して現生の贅沢な生活を死後の世界に求め、現生の極楽浄土を出現させようとした。代表的なものが、平等院鳳凰堂や中尊寺金色堂など。浄土を模した祭壇をつくるなど、ここに日本人の葬式が贅沢になる根本原因があった。
 親鸞による仏教の大衆化、禅宗により戒名をあたえる葬式の儀式が確立される。さらに江戸時代に庶民を把握するための檀家のシステムが完成。村社会の格式にとらわれる葬儀が一般化し、戒名による家の格が存在するようになる。

 さて、現在では、結婚式も葬式も「家」を基本とする歴史が長かったが、高度成長時代からの核家族が一般的になった。そのため、結婚式も「仲人」などもなくなり、簡素化された。同じく、葬式も「家族葬」などが一般的になりつつある。さらに「戒名」も自分で考えたり、僧侶をよばない葬式や散骨なども増加しているそうだ。

 この本では、高額な葬式費用、戒名費用などを詳しく述べ、最後は、葬式無用論についての意見も語られるが、結局は、どう生き、どう最後を締めくくるかを考えることが重要だと結論づける。
 楽しく読ませてもらった。


<主夫の作る夕食>
初めて「豚丼」を作ってみた。基本、砂糖と醤油でつくるのにびっくり!そんなに簡単なんだ!




<思い出の一枚>




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