さて、今回はテレビCMで有名な建築会社の話です。
土地の名義変更と建築会社探しのためにチェンマイを訪問した5月は、3泊4日の旅でした。このとき父はチェンマイ空港ではじめてレンタカーを借りました。父がタイで車を運転したのは、ほぼはじめてでした。「ほぼ」というのは、去年の7月末に一度だけ、母の実家のあるカンペンペットという町で三菱のピックアップトラックを運転したことがあったからです。
その車は、3年前に父が親戚のために買ってあげた中古車でした。というより、母が父の知らない間に勝手に買ってしまった車というほうが正確です。去年僕は父と一緒に乗ったんですけど、途中からものすごい雨になって、前がほとんど見えなくなりました。とっても怖かったです。
日本には「バケツをひっくり返したような」という言い方があるそうですが、そんなもんじゃなかったです。まるで大きな滝壺の中に入り込んでしまって、抜け出したくても抜け出せないような感覚でした。
父は「全然見えないじゃん」とかブツブツ言いながら、それでも勘に頼って車を前に走らせたので、ものすご~く怖かったのです。それが父のタイ運転初体験でした。
ちなみにバンコクでは1回も運転したことがありません。バイクがいっぱい走っていて、滝壺の中よりも怖~いような感じがするからだそうです。
で、5月にチェンマイ空港で父は日産マーチという車を借りました。理由は、3日で8000円くらいと安かったから。ただそれだけです。カーナビ(タイではGPSと呼ぶそうです)をオプションで付け、さらに保険に入ったので3日間で1万2000円くらいになったそうです。
その車で、買った土地へ行ったり、登記所に行ったり、はたまた土地の売主の家へ行ったり、山の上にあるドイステープという有名なお寺に観光に行ったりしたんです。そして一番苦労したのが、CMに出てくる会社を訪問しようとしたときでした。
母がその会社に電話して場所を尋ねたところ、「カルフールの近くです」という答えが返ってきました。
父は、まず紙の地図を広げて大型スーパー・カルフールの場所を確かめました。さらにカーナビ上の地図で同じ場所を見つけ出して行先にセットしました。さすがにカーナビのおかげで、カルフールまでは割と簡単に行くことが出来たんだそうです。
ところが問題はそれからでした。カルフールの近くと言われたって、初めての父に会社がわかるわけがありません。
母がまた電話してもさっぱりわからず、ついに母と父の口論が勃発したのです。
「もう一度電話して、ちゃんと場所を聞けよ!」
「カルフールの近くだとしか言わないんだから、しょうがないでしょ。」
「お前の聞き方が悪いんだよ!」
「じゃあ、あなたが自分で聞きなさいよ!」
「何言ってんだよ。お前タイ人だろ!ちゃんと聞けよ!」
「何言ってんだよ。私はタイ人じゃないよ。本当は日本人だよ!お前のせいで日本にいられなくなったんじゃないかよ!」
もう延々と、こんなやりとりがあったに違いありません。もちろん父は日本語、母は怒ると口汚いタイ語を連発。想像できるのです。
何回電話しても場所が釈然としないので、いよいよ困った2人はついに知恵を出しました。ほんとは会社の方から先に言わなきゃいけないのに。
母はまた会社に電話して、「カルフールまで迎えに来て」と要求しました。そしたら15分くらいして、1台のオートバイがカルフールの駐車場にやってきました。
父はそのオートバイの後について走ったのですが、走りながら唖然としたそうです。何と、カルフールから7、8分、距離にして5キロほども走ったのです。
カルフールの近くに会社があるって、いったい誰が言ったの?
そりゃ5キロでも近いと言えば近いけど、そんなこと言ったら、バンコクとチェンマイは700キロほどあるけど、日本とタイより近いから、近いってことになるの?
日本とタイは4500キロほどだけど、日本とアメリカよりも近いから、近いって言えるの?
そんなわけで、会社のことよりも、そこに着くまでの印象があまりに強烈というか悪かったのです。そもそもその会社とは縁がなかったんだと僕は思います。夫婦喧嘩をさせておいて知らん顔をする会社は、そもそもサービスがなってないんです。そう思いませんか?
だって一軒の家を発注するかもしれない客が迷ってるときに、自分から「そこにいてください。今からお迎えにあがります。」って何で言えないのか、子どもは気が付かなくても、商売人だったらそれくらい考えてよ~、と父が言ってました。
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