自燈明・法燈明の考察

心のかたちについてー中間世②

 さて、J.L.ホイットン博士が見てきた世界について紹介して行きます。
 前の記事で紹介しました「輪廻転生ー驚くべき現代の神話」によると、精神科医でもあったホイットン博士は、退行催眠による前世療法に取り組む中、多くの患者が治療による効果が表れる事を目の当たりにすると共に、患者が語る物語の中の登場人物を体系化する研究を進めていたと言います。



 するとそこには、被験者が生死を繰り返す中、それぞれのカルマにより関係性は異なっていますが、いつも同じ魂と関係性を維持しながら関わり合っている事を発見したと言います。そしてそれぞれの生の時代で関わり合った事で遭遇する様々な事件などは、一見、脈絡が無い様に見えて、実は意味や目的があって、現在の生に繋がっている事が解ったというのです。

 今回参考にしている「輪廻転生」では、そのホイットン博士の研究内容について具体的な内容が幾つか明かされていますが、このホイットン博士が研究の先に行きついた事が、極めて東洋思想に近い事は、興味深いと思います。

◆中間世との出会い
 ホイットン博士は1973年秋に、自身の退行催眠の研究に確信を次第に深めつつある中で、トロント心霊研究協会の医学委員会に長期にわたる一つの実験を引き受けようと申し出ていました。博士はこの実験で、退行催眠が輪廻転生の研究に有用なのか確かめようとしていました。

 この実験の被験者を公募したところ、当時、前世への関心も高まっていた事から、50人の応募があり、その中からポーラ・コンシディンという女性を選びました。彼女はトロント市内の会社で仕事をするごく一般的な主婦で、選定の理由は安定した気質を持ち、催眠に誘導しやすいという事からでした。
 1973年の10月頃から、毎週火曜日の夕方になると、仕事をおえたポーラはトロント心霊協会本部に通い始めました。そしてそこの「黄色の間」でホイットン博士の催眠誘導により、彼女自身の転生の歴史を物語っていきました。約1年間かけて彼女が語った転生の歴史は次の様なものでした。

 〇マーサ・ペイン(女性)
  1822年アメリカのメリーランド州の農場に生まれ、子供の時に農家の階段から転落死する。
 〇マーガレット・キャンベル(女性)
  カナダのケベック州近郊に住む主婦。1707年には17歳で、後に毛皮を扱う猟師と結婚。
 〇オーガスタ・セシリア(女性)
  1241年当時34歳の尼僧。一生のほとんどをスペイン国境近くのポルトガル孤児院で過ごす
 〇テルマ(女性)
  チンギスハン時代のモンゴル族長の娘。(彼女はチンギスハンを「テムジン」と呼んでいた)。16歳の時に戦で殺害された。

 ポーラを退行催眠により過去世へと戻す中、ある時にマーサ・ペインの事を聞いていました、この時、ホイットン博士はマーガレット・キャンベルの事について確認したい事があったので、催眠誘導を行いました。

 「あなたがマーサになる前に戻ってください」

 この誘導によりマーガレット・キャンベルの口調に変わる事を期待していたのですが、ポーラは博士の前で、瞼をピクピクさせながら、抑揚のない口調でポーラは語りだしたのです。

 「私は・・・空の上にいます。農場の家や納屋が見え・・朝早く、太陽が昇り始めたばかり・・・刈り取りが済んだ畑は真っ赤に・・・真っ赤に染まっています。長い影が出来ています」

 ホイットン博士は耳を疑いました。マーガレットが「空の上」に居る訳がない、自分の誘導が間違えたのだと。しかしどんな間違いをしたのか、この時には見当も付きません。途方に暮れながら博士は質問を続けました。

 「あなたは空の上で何をしているのですか?」
 「私は・・・生まれるのを・・・待っています。母のする事を・・・見ています」
 「お母さんはどこにいるのですか?」
 「母は・・ポンプのところにいます。バケツに水を入れています・・・とても大変そう」
 「私の体の重みで・・・お腹に気を付けてと母に言ってあげたい。母体の為にも・・私の為にも。」
 「あなたの名前は?」
 「名前は・・・ありません。」

 この段階でホイットン博士はポーラの催眠状態を覚ましてセッションを終了しました。その後、今回、ポーラが語った内容を検討した結果、これは「あなたがマーサになる前の人物に戻ってください」と言うべきところ、博士が「あなたがマーサになる前に戻ってください」と誘導した事で、マーサ・ペインが誕生する前の状態、つまりマーガレット・キャンベルの後の中間世の一端に誘導してしまった事に気づいたのです。

 しかしホイットン博士は、果たして中間世というものが存在しうるのか。人は肉体を持たないで意識だけの存在というのがありうるのか考え込んでしまいました。そして博士は、実験の方針転換をするのではなく、まずはこの中間世という事について手掛かりをもとめ、チベット仏教の「チベットの死者の書」に辿り着いたというのです。

(続く)


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